アセアンの会議について、論評する日本のマスコミの意図的偽り報道について、以下の記事を書きました。
赤旗はマスコミのふりまくデマイデオロギーと対峙せず!ネットに戦争放棄条約記事を配信せず!大渇!(2013-10-14 10:11:23 )
今日から「新聞週間」に入るそうです。そこで以下の毎日の社説を読み、日本のマスコミの現状とマスコミが歴史のなかでどのような役割を果たしたか、教訓化できていない現状とその思想は、アセアンにおける戦争放棄条約を黙殺する報道姿勢にも顕著であることがわかります。そこで、その根源に何があるか、検証してみることにしました。まず、社説の以下の部分です。
毎日 新聞週間/報道の使命胸に刻んで 2013/10/14 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20131014k0000m070096000c.html
…昨年12月の衆院選を経て自民党中心の政権に交代した。また、今年7月の参院選で与党が過半数を獲得して衆参のねじれが解消した。安倍政権はこうした強力な政権基盤を背景に、憲法改正や憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に積極的な姿勢を見せている。(引用ここまで)
国民の絶対支持率が3割に満たない安倍政権を「強力な政権基盤」を持つ政権として評価することそのものに違和感があります。また、「強力な政権基盤」を持つ安倍政権を誕生させるうえで、マスコミの果たした犯罪的役割を指摘しない訳にはいきません。それは、二大政党政治の破綻をとりつくろう装置として、また自民党政治の補完勢力である維新やみんなの党を第三極勢力ともてはやし、偽りの「政権の枠組み」論を報道したこと、参議院選挙でも、ねじれ解消論という偽りの「政権枠組み」論、「政権運営」論にスリカエたことは不問です。
これらの偽りの「政権枠組み」論報道に終始した二つの国政選挙の投票率をみれば、偽りのスリカエ報道が、国民に投票忌避という行動を取らせてしまったことは明らかです。自民党政権の行き詰まりを打ち破る二大政党のもう一つの旗頭である民主党への期待を煽って政権交代を実現した時の国民の熱気に表れた現実とは違っていますが、マスコミが政策上の真の対決軸を国民に報せないという点では同じです。その結果、安倍政権の「積極的な姿勢」を許しているのです。このことは民主主義という点で大問題です。この社説は、このことを不問にしているのです。
…さらに安倍政権は、臨時国会で特定秘密保護法案の成立を目指している。機密情報を漏らした公務員の罰則強化が柱だが、情報を得ようとする記者や一般市民も処罰対象になり得ることが懸念されている。日本新聞協会は「憲法が保障する取材・報道の自由が制約されかねない。民主主義の根幹である国民の知る権利が損なわれる恐れがある」として、法案概要への危惧を表明した。いくつかの新聞は法案の問題点の分析報道を積極的に展開している。(引用ここまで)
安倍政権の「積極的姿勢」は「民主主義の根幹である国民の知る権利が損なわれる」として批判していますが、その批判内容は、そのままマスコミに突き刺さるものです。それは選挙報道や政治報道を見ても判ります。それは直近で開催されたアセアン会議の評価報道にも顕著です。戦争放棄条約の締結問題を、国民に報せないことに、端的に示されています。憲法第9条を条約化させる動きがアセアンに起こっているのに、何故報せないのでしゅうか。本来は、日本が主導すべき問題です。全く不思議です。
戦前戦中、治安維持法をはじめとする法律が言論弾圧の道具として使われた歴史を忘れてはならない。公権力の行使が適切かどうかを監視するのは、報道の最大の使命だ。報道機関としての毅然とした姿勢がもちろん問われるが、役割を果たすためにも、厳しい目で法案をチェックするのは当然だ。(引用ここまで)
治安維持法の歴史をいうのであれば、この法律が上程され審議された時、日本のマスコミはどのように報道したか、またこの法律に反対する運動をどのように国民に報せたか、毎日は検証すべきです。更に言えば、政友会と憲政会(民政党)の二大政党政治が果たした役割、二大政党政治の行き詰まりを利用した軍部の白色テロに対してどのような論陣をはったか、自己検討すべきです。「公権力」とはどのような権力であったか、それを厳しい目でチェックできなかったのは、しなかったのは何故か、自己検討すべきです。
その自己検討を徹底して行なってこそ、現代社会における「公権力」に対して「報道の最大の使命」「報道機関としての毅然とした姿勢」「役割」を果たすことができるのではないでしょうか。治安維持法時代も現代も、表れる現象は違っていても、人権と民主主義・平和主義を擁護するのか、否定するのか、事の本質は同じなのです。
次はアセアン報道について、全国紙はどのような社説を書いたか、検証してみます。朝日・東京は社説を掲載していません。
読売 東アジア会議/海洋安定へ秩序作りが急務だ 2013/10/11 2:00
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20131010-OYT1T01458.htm
毎日 東南アジア外交/海の秩序へ連携さらに 2013/10/14 4:00
http://mainichi.jp/opinion/news/20131014k0000m070095000c.html
日経 ASEANの結束促し連携を 2013/10/11 4:00
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO60951230R11C13A0EA1000/
【主張】東南アジア外交 「対中国」で期待に応えよ 2013.10.11 03:38 [主張]
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131011/plc13101103390003-n1.htm
ポイントは、以下のとおりです。
1.以下の指摘をしていながら、それでも戦争放棄条約締結問題について、どの社説も指摘していません。ここにマスコミの憲法平和主義に対する致命的退廃ぶりが浮き彫りになります。
読売
計11か国の首脳らが、南シナ海問題や同海域での行動を法的に拘束する中国とASEAN間の「行動規範」に言及し…南沙諸島問題などで揺れる南シナ海の安定には、ルールが不可欠という認識は確実に広がっている。
毎日
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国が領有権を争う南シナ海で、紛争防止のための国際的ルール作りが求められているが、道のりは遠そうだ。
日経
地域の安定を揺るがしかねない火種となっている南シナ海の島々の領有権などをめぐる問題で、中国は実力を背景に攻勢を強めている。これに対し米国は、日本などとも協調し、国際法に基づく問題解決や航行の自由の確保を中国に促してきた。…ASEANが結束して海洋の安全保障に取り組むことはアジアの安定にとって大切だ。
産経
軍事力、経済力の増大を背景とする中国に対して、日本はあくまで「法の支配」と「共通の価値観」を訴え、理解を広げていくことが重要だ。
2.以上のような紛争の平和的解決にむけた取り組みの発展に対して、あくまでも中国の「脅威」と「不信」を煽っているのです。
読売
中国が、海洋での勢力圏拡大を依然として狙っているのは、間違いないだろう。習近平政権発足後、中国は表面的にはASEANに対して融和的な姿勢を示すようになった。領有権問題では譲歩しないまま、経済協力拡大や善隣友好条約締結を呼びかけ、経済力に裏打ちされた微笑外交を展開している。ASEAN諸国の警戒心を解き、日米への接近を防ぐ狙いだろう。
毎日
実効支配を強める中国に対し、フィリピンが国連海洋法条約に基づく仲裁を求め、両国の対立は激しさを増す。…中国は、今年9月にASEANと行動規範の策定に向けた協議を始めたが、実際には海軍力増強を背景に実効支配を強める戦略を崩していない。行動規範づくりには慎重だ。
日経
地域の安定を揺るがしかねない火種となっている南シナ海の島々の領有権などをめぐる問題で、中国は実力を背景に攻勢を強めている。これに対し米国は、日本などとも協調し、国際法に基づく問題解決や航行の自由の確保を中国に促してきた。それだけに、オバマ大統領の欠席は残念だ。中国が一層強気になるのではないか。東南アジア諸国の間で米国のアジア政策に対する疑念が浮上するのではないか。そんな不安を抱く。…ASEANの中でもフィリピンに絞って攻勢をかけ、他の国々には利益と微笑をふりまくことで、ASEANが一体となって領有権問題に取り組むのを防ぐ。そんな戦略が浮かび上がる。
産経
東南アジア諸国連合(ASEAN)関連の首脳外交で、安倍晋三首相が中国の海洋拡大阻止への連携を訴えた。地域の平和と安定のため、日本の一層の貢献を求める声は少なくない…首相は会見で、ASEANとの関係について「一段の高みに持ち上げたい」と語った。中国の「力」に対抗すべく結束を固めてもらいたい。
3.中国「脅威」論と「不信」感の行き着く先は、安倍自公政権の「積極姿勢」、すなわち「積極的平和主義」の推進に貢献しているのです。ここに日本国憲法の平和主義を活かすのでなく否定する安倍自公政権に対するマスコミの応援団ぶりは、戦争放棄条約調印に向けた努力を迫るのではなく、アメリカとの連携を前提とした安倍首相への期待の言葉にみるように、その立ち居地がいっそう浮きぼりになってくるのです。まさにスリカエ・トリック・ナチス的手口という構図が見えてきます。
この視点の延長線上に浮かび上がってくるのは、南シナ海は、「日本の生命線」論です。その「生命線」を守るために日米比連携論、集団的自衛権行使論が出てくるのは必至です。それは石破自民党幹事長発言が示しています。戦争放棄条約問題をスルーする日米軍事同盟容認派の日本のマスコミは、日米軍事同盟深化派の野望をどこまで見抜いているのでしょうか。戦前のマスコミの過ちを教訓化できない思想が見えてきます。
産経
中国の海洋拡大阻止への連携を訴えた。地域の平和と安定のため、日本の一層の貢献を求める声は少なくない。こうした期待に応えるため、首相は集団的自衛権の行使容認などの安保政策強化を急ぎ、日本が対中連携で米国とともに中心的役割を担えるよう努力すべきだ。…首相はまた、南シナ海の問題に言及し、「力による現状変更の動きを大変懸念している」と中国を牽制(けんせい)した。その上で、尖閣諸島(沖縄県石垣市)を念頭に「共通の課題として連携したい」とASEAN諸国に呼びかけた。日本への期待の高まりの背景には、中国が地域で海洋進出を強める中で、米国の存在感が相対的に低下していることがある…フィリピンに対しては、7月の安倍首相訪問の際、同国の海上警備能力の向上のため巡視艇10隻の供与を表明した。ベトナムにも巡視艇の供与を検討している。こうした要請には積極的に応じるべきだ。
読売
安倍首相が、海洋は国際公共財であり、「航行の自由」などの原則が尊重されるべきだと強調したのはもっともだ。ケリー米国務長官も「航行の自由は太平洋の安全保障の要」と歩調を合わせた。
毎日
ASEANを舞台に日米両国と中国がけん制し合う構図は従来と変わらなかったが、今回は米国の存在感の低下と中国の攻勢が目立った。安倍政権はASEANとの連携をいっそう強め、海洋の秩序づくりを後押ししてほしい。…中国の動きを懸念する米国は、スービック海軍基地などの再使用に向けた協定締結をフィリピンと協議している。東シナ海で沖縄県・尖閣諸島の領有権を巡って中国と対立する日本も、フィリピンの海上警備力向上を支援するため巡視艇を供与する準備を進める。東アジアサミットでは、安倍晋三首相を含む11カ国の首脳らが、南シナ海での航行の自由確保や、法的拘束力のある国際的ルール「行動規範」策定の必要性に言及した。…安倍首相は、11月にラオス、カンボジアを訪れれば、在任中にASEAN10カ国全てを訪問する初めての首相になる。中国の圧力を懸念するASEANとの連携は重要で、今後もASEAN重視外交を堅持してほしい。
日経
ASEANが結束して海洋の安全保障に取り組むことはアジアの安定にとって大切だ。それは日本の国益でもある。安倍晋三首相がASEANとの関係強化に力を入れているのは理にかなっている。安全保障面の協力でも具体的な成果を急いでもらいたい。
4.「侵略戦争の評価を後世の史家に委ねる」と言っておきながら、身勝手な歴史認識を表明している菅官房長官と読売の戦前の戦争責任論、歴史認識論こそ、憲法の平和主義の具体化である戦争放棄条約調印を拒否することが明白になりました。それを批判しないマスコミの思想も浮き彫りになりました。
中国の仕業として中国に武力侵攻し、それらの行動を正当化し、アメリカから鉄と石油の戦争資源を購入するため「事変」として宣伝し、15年も「戦争」をした天皇制政府。
米英に対しては防衛戦争として宣戦布告(米国及英国ニ対スル宣戦ノ詔書・宣戦の詔書)した天皇制政府。
しかも、点と線しか占領できなかった中国大陸に軍隊の主力を貼り付けなければならなかった天皇制政府。
援蒋ルートによる中国支援と国共合作の抗日民族統一戦線に苦戦を強いられた皇軍と天皇制政府。
こうした事実を認めない歴史認識がどのような歴史観・歴史認識にもとづいているか、原爆投下によって戦争終結(戦争終結の詔書・終戦の詔書・現代語訳)を余儀なくされたという歴史認識が、どのような思想に基づくものか、その歴史認識が戦後の反共の防波堤論に与して、現在の日米軍事同盟容認・深化論がでてくることを、告発しなければなりません。
菅・読売史観のような誤った歴史認識が、未だに継続されていることが何を意味しているか、どれほど、いわゆる日本の「国益」を損ねているか、明瞭です。このことを清算する国民的運動が必要ではないでそうか。国際的にみても恥ずかしい限りです。
読売
中国には依然、日本と真摯(しんし)に向き合う姿勢が見られない。崔天凱・駐米大使は米国での講演で、日本の一部の政治家は、第2次大戦の敗因は米国の原爆投下だと思っており、「米国の反発さえ買わなければ何をやってもよいと信じている」と述べた。事実を歪曲(わいきょく)した、的外れな発言だ。菅官房長官が「自国の立場だけに立ったプロパガンダで、論評するに値しない」と切り捨てたのは当然だ。日本も中国の宣伝戦に手をこまねいてはいられまい。中国が、戦後日本の平和国家としての歩みや国際貢献を無視し、何ら根拠のない主張を重ねているのは看過できない。
毎日
日本と中国、韓国との首脳会談は今回の一連の会議の際にも実現しなかった。海洋の安全保障のためには中韓両国との関係改善に引き続き努力することも忘れてはならない。
以下、原爆投下の意味と崔天凱・駐米大使の発言を伝える記事を掲載しておきます。ご覧ください。
原爆投下、市民殺りくが目的 米学者、極秘文書で確認 1983年8月6日 ...2013年8月9日
オリバーストーン「原爆投下が戦争を終わらせるのに必要だったというのは ... 2013年8月5日
日本の政治家、国際秩序を認めよ…駐米中国大使 (2013年10月9日19時10分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20131009-OYT1T00888.htm
【ワシントン=今井隆】中国の崔天凱・駐米大使は8日、ワシントン市内で講演し、第2次世界大戦の勝利は中国や米国を含む連合国の人々のものだとした上で、「日本の政治家はこれが第2次世界大戦後の国際秩序だと認めるべきだ。これに挑戦してはならない」と主張した。崔氏は、「日本の一部の政治家は、米国に2発の原子力爆弾を投下されたから第2次世界大戦で負けたと思い込んでいる。だから、米国の反発さえ買わなければ何をやってもよく、他の国々の懸念を気にかける必要はないと信じている」とも語った。(引用ここまで)
日本は中国にも敗北=歴史認識でけん制-駐米中国大使(2013/10/09-11:36)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013100900238
【ワシントン時事】中国の崔天凱駐米大使は8日、ワシントン市内で講演し、日中間の歴史問題に関し、「日本は米国が投下した2発の原子爆弾のみにより第2次大戦に敗れたのではなく、平和を愛し、ファシズムに反対した中国や米国を含む連合国とその人民に敗れた」と主張した。日本側の歴史認識見直しの動きをけん制する狙いとみられる。崔大使は、原爆投下だけが降伏を余儀なくされた要因とする考えは「極めて不適切かつ危険だ」と指摘。第2次大戦に勝利した連合国を中心とする体制が、現在に至る国際秩序だと日本の政治家は認めるべきだとして、「これに挑戦してはならない」と語った。また、日本の政界には歴史認識を見直そうという「不穏な傾向」があり、それは中国のみならず米国やアジア諸国の国益を害すると強調。「(日本の一部の政治家は)米国の反発さえ買わなければ何をやっても良く、他の国々の不安は気にする必要はないと信じている」と批判した。さらに、日米両国が中国の軍備増強などを念頭に防衛協力のための指針(ガイドライン)再改定に合意したことについても言及。アジア太平洋地域を有望な市場と見て協調の道を歩むか、紛争の危険に満ちた潜在的戦場と捉えるか、二つの見解が存在すると述べた上で、「(日米両国が)誤りなく選択するよう望む」とくぎを刺した。(引用ここまで)
中国・崔氏発言に反論=菅官房長官 (2013/10/09-12:10)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201310/2013100900381&g=pol&relid2=1_1
菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、中国の崔天凱駐米大使が「米国の反発さえ買わなければ何をやっても良く、他の国々の不安は気にする必要はないと信じている」などと日本を批判する講演を行ったことに関し「自らの国の立場だけに立って、まさにプロパガンダの一つではないかとさえ思えるような発言だ。論評するに値しない」と反論した。(引用ここまで)