都知事選挙に投票した有権者は、以下のとおりです。
2012年有権者数10,619,652人 投票率62.60%
2014年有権者数10,685,343人 投票率46.14%
またしても、有権者の投票忌避行動が明らかになりました。これで、12年総選挙、13年参議院選挙と、民主党政権を誕生させた時から、投票忌避者はなくなっていないことが判ります。これが安倍政権を支えていることは明らかです。ということは、如何にして国民が選挙に参加する状態をつくりだすか、それが、大きなたたかいのような気がします。以下各氏の獲得表をみてみます。
舛添氏 2,112,879人
宇都宮氏 982,595人
細川氏 956,063人
田母神氏 612,388人
でした。後の候補者は省略します。
次は、投票行動にみる支持基盤の検証です。
前回の自民・公明推薦の猪瀬氏は433,896人でした。
今回自民公明推薦の舛添氏2,112,879人、石原氏応援の田母神氏610,865人の合計は2,723,744人で、猪瀬氏獲得表より1,615,192人も足りなくなります。この有権者が、棄権したのではないかと、思うほど、一致しています。
次は、安倍氏を応援した田母神氏と、自公の推薦を受けた舛添氏を支持した有権者は、参議院選挙の時の自民党公認の丸山氏1,064,660人、たけみ氏612,388人、公明党公認の山口氏797,811人の合計2,474,859人以上を獲得していることです。
ここにある意味危険な状況があるように思います。しかし、同時に、舛添氏だけを支持した有権者は、猪瀬氏を支持した有権者、参議院選挙の時に自民党を支持した有権者より少ないことです。ここに枡添氏の「完勝」ではないことが判ります。
その点で石原氏が応援した田母神氏を支持した有権者と自公を支持した有権者の思惑を検証してみる必要がありますが、自公勢力の「分裂」選挙の分析は、年齢や地域など、検証する必要があるように思います。舛添氏を応援した連合と原発の関係も同様です。連合の果たす役割も同様です。細川氏を勝手に応援した民主党と連合の関係も同様です。
次は、いわゆる「脱原発」候補です。宇都宮氏と細川氏の合計は1,938,658です。大健闘と言えます。それは、参議院選挙の際の共産党公認の吉良氏703,901人と無所属の「脱原発」候補山本氏666,684人の合計1,370,585人を大きく上回ったからです。しかも投票率が下がったなかでの大健闘でした。
しかし、課題もあります。「統一戦線とは何か」「選挙共闘とは何か」「都政(政権)公約とは何か」などが、イマイチ鮮明にできなかったこと、「脱原発」とそれ以外の都政の課題との区別と関連を鮮明にできなかったこと、「脱原発」の争点化を拒否したNHKの問題などがあります。このことは、今日の読売の社説、産経の主張を読むと、いっそう明らかになってきます。
もうひとつ見ておきます。石原氏を支持した有権者の数です。巨大都市、権力の中枢都市の選挙のあり方を検討する選挙戦略と選挙戦術の立て方です。
石原氏 99年 1,664,558人、03年 3,087,190人、07年 2,811,486人、11年 2,615,120人、
猪瀬氏 12年 4,338,936人
舛添氏 14年 2,112,979人
選挙結果を受けて、さまざまな視点からの発言がありますが、支持基盤としては、ますます「憲法改悪勢力」のしたたかさが浮き彫りになったように思います。しかし、それは同時に弱点もさらけ出したようにも思います。「統一戦線」の構築に成功すれば、安倍政権はひっくり返るということです。ここにも「脱原発勢力」の勢いを食い止めようとする原発推進派のしたかさと弱さが浮き彫りになってからです。細川・小泉共闘の意味が、今後明らかになってくると思います。しかし、国民のなかに根強くある「脱原発」志向は止まることはないでしょう。
もうひとつ、棄権・忌避者のことです。投票所に行きたくても行けない高齢者がどれくらいいるのか、検証していませんが、おそらく20%近くはいるのではないでしょうか。東京都の高齢化の深刻さを、ここでみるような気がします。さらに言えば、猪瀬氏を支持した有権者が、棄権したこと、これは民主党を支持した有権者が忌避をしたことと似ているような気がします。
もうひとつは、沖縄の基地問題を他人事のように観る「本土」の意識とフクシマの原発を他人事のように観る「都民」という構造です。これについては、今後検討してみたいと思います。
以上、今日のところは、これにて、オワリにしておきます。
愛国者の邪論 11日朝、若干、語句を加筆修正しました。