時事通信の「世論調査」結果が、17日の午後、発表されました。この世論調査を見ていて、オリンピックのジャンプやフィギュアスケートなどの採点と、天と地のほど乖離していると覆いました。五輪など、各種競技の採点方法は、あらゆる視点から点をつくるようになっているようです。スポーツによってはビデオ判定を取り入れているものもあります。
しかし、以下の時事通信の記事を読むと、極めて大雑把な世論調査をなっていることが判ります。こうして作り出された偽りの世論調査に基づいて、安倍首相の居直り・不道徳・憲法否定発言が繰り返され、とうとう独裁宣言まで飛び出してきたのです。このことについては、この間繰り返し指摘してきましたので、今回は、この時事通信の記事を検証して、いることにしました。
1.この世論調査は、「全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式」で実施したとありますが、その方法や内容は不明です。結果だけです。しかし、「%」が示されることで、数字が独り歩きしています。百人であっても、一万人であっても、10万人であっても、「60%」だけが独り歩きしていくのです。
(1)どのようにして2000人を選んだのか。
(2)「全国の」というのは、よく判りません。男女2000人を全国47都道府県で単純化すると、どうでしょうか?などと余計なことを想像してしまいます。それほど曖昧な世論調査です。
(3)「有効回収率は63.7%」=1274人、と言いますが、男女比も年齢も地域も判りません。
(4)どのような質問をしたのか、誘導質問はなかったのか、など、「個別面接方式」も曖昧です。
(5)因みに
①単純化すると、47都道府県で割ると42.55人、男女公平にすると、男女各21.27人ということになります。
②各県の男女21.27人をどのように選んだのでしょうか。
③しかも、年齢は?
④地域は?都市部か郊外か?
2.具体的にみてみます。
「有効回収率は63.7%」=1274人を基準に考えてみると、以下のようになります。
(1)支持政党について
支持政党なし |
62.2% |
792.428人 |
支持政党あり |
37.8% |
481.572人 |
(2)内閣支持率について
内閣支持率 |
53.7% |
684.138人 |
内閣不支持率 |
26.8% |
341.432人 |
内閣支持不支持不明 |
19.5% |
248.430人 |
(3)各党の支持率をみると、
自民党 |
24.7% |
314.678人 |
公明党 |
3.6% |
45.864人 |
民主党 |
3.0% |
38.22人 |
日本維新の会 |
1.7% |
22.30774人 |
みんなの党 |
0.3% |
3.822人 |
結いの党 |
0.2% |
2.548人 |
生活の党 |
0.2% |
2.548人 |
社民党 |
0.6% |
7.633人 |
共産党 |
1.9% |
24.206人 |
合計 |
36.2% |
461.82674人 |
①ところが、1274人の36.2%は、461.188人です。その差は、僅差です。
②「支持政党あり」37.8%(481.572人)との差は20人(1.569%)は、「上記以外のその他の政党の支持者」であると考えられます。
(4)「内閣支持率」の内訳はどうでしょうか。
内閣支持率 |
53.7% |
684.138人 |
自民党 |
24.7% |
314.678人 |
公明党 |
3.6% |
45.864人 |
合計 |
28.3% |
360.542人 |
マイナス |
25.4% |
323.592人 |
①内閣支持率の内訳の差=不足について
安倍内閣と真っ向勝負している共産党以外の、自民亜流政党である民主・維新・みんな・ゆい・生活、フラフラ政党である社民の各政党の支持率を合計すると、6.0%(77.07874人)となります。
②それでも19.4%=246.51326人、足りません。
③それを補うためには、「支持政党なし」62.2%=792.428人の中から、不足分の19.4%=246.51326人の国民が安倍内閣を支持していることにします。
④そうすると、「支持政党なし」の中で、「内閣支持」19.4%=246.51326人との差は、42.8%=545.91474人となり、この人たちが、「内閣不支持」ということになります。
そこで、以下をご覧ください。
(5)「安倍内閣支持」53.7%=684.138人以外の46.3%の内訳をみると、
①「内閣不支持率」26.8%=341.432人
②「内閣支持不支持不明」19.5%=248.43人を「支持していない」という意味で「不支持」と考えると、589.862人となります。
③「内閣支持率」53.7%=684.138人と拮抗していることが判ります。
④その差は、7.4%=94.276人しかありません。これが安倍内閣の支持率の実態です。しかし、このことは、全く無視されて、あたかも高支持率を維持しているかのように見られています。トリックです。
(6)「支持政党なし」層の「内閣不支持」42.8%==545.91474人と、「内閣不支持率」46.3%=589.862人、その差は43.94726人となります。率にすると、3.4495%しかないことが判ります。ここでも安倍内閣の支持率の偽りぶりが浮き彫りになります。
(7)曖昧な世論調査においても、安倍内閣の偽りの高支持率が浮き彫りになったのではないでしょうか。時事通信の記事の書き方を検証してみてください。
3.具体的な政策をみてみます。
(1)消費税率の10%への引き上げについて
時期を当面先送りすべきだ |
42.1% |
536.354人 |
10%にする必要はない |
30.5% |
388.570人 |
予定通り10%にすべきだ |
24.8% |
315.952人 |
合 計 |
97.4% |
1240.876人 |
不 明 |
2.6% |
33.124人 |
①4月増税「中止」という選択祇を省いていくことが最大の特徴です。共産党の「中止法案」を黙殺することの意味、その主張の根拠を黙殺することの意味を問わねばなりません。
②4月の時点とその後の事態を抜きにして10月時点における10%増税を前提にした調査を行っていることは世論誘導の典型です。これでは安倍内閣の政策支持を前提にしているということになります。5%から8%増税への布石を打ってきた時の手口と同じです。
③このような世論誘導の手口が、国民の意識にどのような影響を与えるか、そこが最大のポイントです。
④それにしても、マスコミを使って、これだけ世論誘導しても、増税に対する国民の反対感情は賛成にはならないのです。ここが運動のポイント、安倍内閣・増税派の弱点と言えます。
(2)安倍晋三首相が実現を目指す、企業収益を雇用や賃上げにつなげる「経済の好循環」について、
期待できる |
37.3% |
475.202人 |
どちらかといえば(期待できる) |
||
期待できない |
57.4% |
731.276人 |
どちらかといえば(期待できない) |
||
合 計 |
94.7% |
1206.478人 |
不 明 |
5.3% |
67.522人 |
①「内閣支持率」53.7%=684.138人
②「内閣不支持率」46.3%=589.862人
③「支持政党なし」の「内閣不支持」42.8%=545.91474人
④安倍内閣の経済政策に「期待できない」層は57.4%=731.276人といるにもかかわらず、この中から安倍内閣を支持している人がいるのです。何故このようなことが起こるか!
⑤上記の数字を見れば「安倍内閣支持」の基盤の弱さがハッキリするのではないでしょうか?その点で、安倍首相を応援するマスコミの果たしている犯罪的役割が浮き彫りになります。国民生活が悪化と劣化を更に深めていった時、マスコミはどのようにして、その責任をとるのでしょうか。
(3)安倍内閣を支持する理由(複数回答)について
リーダーシップがある |
18.0% |
|
他に適当な人がいない |
16.7% |
|
首相を信頼する |
14.9% |
|
(4)安倍内閣を支持しない理由(複数回答)について
期待が持てない |
11.9% |
|
政策が駄目 |
10.6% |
|
首相を信頼できない |
9.9% |
|
①各項目の内容は曖昧です。イメージ・感情優先です。これは、マスコミの印象操作の犯罪的役割を象徴する質問です。こんな項目で内閣支持率が大手を振って席巻しているところに、日本の民主主義の劣化が見られます。主権者不在です。感覚民主主義は擬似民主主義です。非常に危険です。だから投票行動において、棄権者が増えるのです。
②世論調査は主権者である国民の判断(意識・要望)を問う具体的に調査する質問項目にすべきです。それはスポーツの審判の基準を参考にすべきです。誰もが納得する判断基準を使うべきです。世論調査の項目について、マスコミは、世論調査すべきです。
③政策判断について、不明の意見についても、具体的に何が不明なのかを聴くべきです。そこに政策の不備と政策の徹底化についての雑さが見えてくるからです。特定秘密保護法の審議のなかで見えてきた曖昧さは、そのことを示しています。
④消費税増税についても、中止か続行か、先延ばしかをきちんと質問すべきです。その際のそれぞれの主張の根拠となるべき事例を具体的に列挙して調査すべきです。
以上、下記の時事通信の世論調査結果を報道する記事を検証してみました。安倍内閣の高支持率が印象操作にもとづく、偽りの「記事」であることが浮き彫りになったのではないでしょうか。しかし、その「世論調査」でさえも、具体的に見ていくと、大ウソとデタラメとトリックがちりばめられていることが透けて見えてきます。
問題は、こうした国民意識の深層にある要求・気分・感情をどのように政治革新の方向に発展させていくか、そこにかかっているように思います。ということは、安倍政権とそれを応援する勢力の野望は、必ず破綻するということです。しかし、その破綻する前に、政治を変えていくことが大切です。何故か。犠牲者が、これ以上出ないという理由があるからです。国民の苦悩を、できるだけ早く改善していくこと、これが憲法擁護派、活かす派の責任であるように思います。
内閣支持微増53%=不支持26%-時事世論調査(2014/02/17-15:05)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014021700532
時事通信が8~11日に実施した2月の世論調査に よると、安倍内閣の支持率は前月比1.1ポイント増の53.7%となった。政府・与党が特定秘密保護法の成立を急いだ昨年12月にいったん5割を割り込んだが、1月に反転、堅調に推移している。2月の不支持率は同1.0ポイント減の26.8%だった。
調査は全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は63.7%だった。 内閣を支持する理由(複数回答)は、多い順に「リーダーシップがある」18.0%、「他に適当な人がいない」16.7%、「首相を信頼する」14.9%。支持しない理由(同)は「期待が持てない」11.9%、「政策が駄目」10.6%、「首相を信頼できない」9.9%の順だった。 政党支持率は、高い順に自民党24.7%(前月比0.1ポイント増)、公明党3.6%(同0.3ポイント減)、民主党3.0%(同0.9ポイント減)。自民党が2位以下を大きく引き離す状態が続いている。民主党は政権転 落後の最低だった昨年10月(2.9%)に迫る水準となった。
その他の政党の支持率は、共産党1.9%、日本維新の会1.7%、社民党0.6%、みんなの党0.3%。結いの党と生活の党がともに0.2%。支持政党なしは62.2%。
消費税10%、反対3割=4割が先送り-時事調査 (2014/02/17-15:08)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014021700535
時事通信の2月の世論調査で、2015年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げについて尋ねたところ、「時期を当面先送りすべきだ」が42.1%となり、「10%にする必要はない」も30.5%に上った。「予定通り10%にすべきだ」は24.8%にとどまった。
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_zeisei20131212j-04-w420
一方、安倍晋三首相が実現を目指す、企業収益を雇用や賃上げにつなげる「経済の好循環」について、「期待できる」は「どちらかといえば」を含めて37.3%だった。「期待できない」は「どちらかといえば」を含め57.4%で、否定的な見方が強いことがわかった。 調査は8~11日、全国の成人男女2000人を対象に個別面接方式で実施。有効回収率は63.7%。