以下の社説を読んで、これでは、日本の歴史認識は改善されないな、と思いました。ただ、この問題についての社説が、ここに掲示したものだけで、少ないのは、何故か、その点についても、以下のように考えてみました。それは、
実は、侵略戦争の反省の上にたってつくられた憲法の平和主義に違反して調印された日米安保条約、その後の日米軍事同盟を容認している日本のマスコミの弱点があります。その弱点は、
実は、戦後のポツダム宣言を否定する「逆コース」のなかで調印されたこと、ソ連に対する「抑止力」論として「反共の防波堤」づくりとして調印されたこと、そのなかで「戦争犯罪人」を獄中から解放し、免罪し、首相や閣僚にまで「登用」したこと、さらには戦争犯罪人を靖国神社に合祀したこと、戦前の亡霊の復活路線の積み重ねの上に現在があること、更には日米軍事同盟が日本の平和と繁栄をもたらしたとする思想があること、ベトナム・アフガン・イラクの無辜の民衆を殺しても、その戦争加担責任すら語らないこと、
以上説明してきたように侵略戦争である大東亜戦争を正当化する歴史認識を徹底して批判できない、また戦後の日米軍事同盟を容認し、その責任を曖昧にする日本のマスコミの欠点・弱点があります。このことは、同時に侵略戦争の反省の上にたってつくられた憲法の平和主義の多面的な適用と駆使、発展を曖昧にしてきた自民党政権を容認してきたことと結びついているのです。それは、
集団的自衛権の行使と9条は相容れないことは明らかですが、その前提についての議論、すなわち歴史が曖昧にされているのです。そもそも9条の第一項に明記されている「戦力」に当たらないとする「自衛隊」の矛盾を、9条の解釈・スリカエによってゴマカシてきたツケが、安倍首相の暴論の根拠になっていること、「戦争」・「威嚇」=「脅し」=「軍事的抑止力」・「武力行使」を否定し、国家の戦争権限=交戦権を否認したのですが、米国のはじめたベトナム・アフガン・イラク戦争に加担するなかで、上記の原則の空洞化を容認してきたツケが、今ここにきて吹き上がっているのです。
そういう視点でみると、安倍首相の思想と論理は、これまでの自民党の政策の延長線上にあるというべきです。安倍首相を批判する視点は、このことを曖昧にしていることを強調しておかなければなりません。文部省著作教科書「あたらしい憲法のはなし」をつくった時と大きく変更されてきたこと、すなわちボタンの掛け違いが、ここまで来てしまったということを論じなければならないのです。しかし、マスコミをはじめ政党の議論は、こうした論点から、紐解いていくことをしていません。だから思考回路が混乱したまま、以下掲載するようヘンテコナ社説が書かれてしまうのです。それは、
日米軍事同盟を根拠に、米軍基地を押し付けていうこと、無法・違法な訓練やイラク戦争に協力 加担させてきたこと、そして「財政難」としながらも「日米経済構造協議」なるもので、日米経済格差是正の名の下に、「内需拡大」「大型公共事業」を強制してきたこと、「思いやり予算」など、血税を湯水のように使っていること、更には集団的自衛権行使、憲法改悪、ゲンパツ再稼動、TPPなどを強要していることなどを曖昧にして、
「忠告をしてくれる友人」「オバマ大統領を真の友人として快く迎えたい」などと美化するのです。そればかりか、「何が同盟の不協和音を生んでいるのか、日米首脳会談の前に、安倍政権は冷静に考える必要がある」などと、安倍政権を激励しているのです。
日米合意を口実に辺野古基地移転を強要する安倍政権にもかかわらず、またオスプレイの配備を強行し、地位協定に違反して訓練を強行しているにもかからわず、「東アジアの安定を損なう事態を懸念する米国の出方を予想できなかった」安倍政権が「1強」に「おごるような言動を繰り返せば、国際社会からの孤立を招きかねない」などと、これまた安倍政権に「しっかりやりなさい!」と激励しているのです。沖縄の新聞にして、これです!
安倍政権の戦争認識を批判するマスコミが、アジアの批判に対しては、
「近隣諸国の過度の対日批判や挑発には毅然と対応しなければならない」
「中国や韓国が足並みをそろえて国際社会に向けて日本批判を強めている折である。日本の信用が損なわれるだけでなく、安倍政権が最重視する日米関係が漂流することにもなりかねない」
「このような事態が長引けば、中国、韓国の対日批判を勢いづけることになりかねない」
「中国や韓国とのさらなる関係悪化を憂い」
などと、大東亜戦争の中心がアジア侵略であったことを抜きにした、だからこそ中国・韓国が批判を強めていることを軽視して、アメリカの批判を重視した批判となっているのです。これも、日米軍事同盟優先論が浮き彫りになっているのです。これでは日米軍事同盟を廃棄して東アジア平和共同体構想などは、想定すらできないでしょう。日本のマスコミは、このような捻じ曲がった「日米関係」の総括すらできないでしょう。
こうした思想と論理に日米軍事同盟を容認する、美化するマスコミのスリカエがあります。これでは、安倍首相派の憲法を否定する発言や大東亜戦争を正当化する傲慢発言や妄言がなくならないのは当然です。マスコミにすれば、個々の事象は別個のものとして捉えているのか知れませんが、それは皮相な見方です。
根っこは一つなのです。大東亜戦争正当化と日米軍事同盟深化と憲法否定は、そして、それを操る現代で言えば、多国籍企業擁護ですが、これらが根っこのところで蠢いているのです。これらを一つひとつの事象のなかで意味づけ、国民的議論を呼び起こし、国民主権を発動させていくべきなのです。勿論、運動の進め方においては、一致点を重視しなければなりませんが、本質的議論をすることとは別の問題です。
以上を踏まえて、社説の検証に入りたいと思いますが、その前に、
今日の赤旗に掲載された記事を紹介しておきます。これはネットには掲載されていません!愛国者の邪論の視点からすると、とても理解できません!赤旗の政治性、思想性に疑問あり!です。しかも「強制連行中国で提訴」事件は写真入りで、その上に報道しているのです。ま、「請求へ」という次元ですので、レベルが違うということかもしれませんが、それにしても、先に述べたことを踏まえるならば、扱いとしては小さすぎます!一般の再審請求とは違うのです。
しんぶん赤旗 2月27日15面 砂川事件「誤判だ」東京地裁元被告ら再審請求へ
旧米軍立川基地(東京都)の拡張に反対するデモ隊の一部が基地内に立ち入ったとして起訴された砂川事件(1957年)の元被者会見し、東京地裁に対して同事件の免訴判決を求める再審請求手続きを通して、当時の裁判の正当性を問い直一同事件をめぐって東京地裁は59年3月、米軍駐留を憲法9条違反として被告を無罪としした(伊達判決)。しかし、検察側は跳躍上告して最高裁で同年19一月、この判決を破棄。東京地裁に差し戻して有罪判決が確定しました。しかし、近年の研究者らによる米国立公文書館の解禁文書の調査により、当時の最高裁長官が利害関係者であ進め方について密議を重ねていたことが判明。日本の司法の独立性が問われる問題として注目されてきました。元被告で「伊達判決を生かす会」の土屋源太郎共同代表(79)は、「全く不当な裁判であり、認めるわけにいかない」と強調。同席した吉永満夫弁護士はい最高裁判決は憲法が保障する「公平な裁判所」で出されたものでなく、その影響下にある有罪判決も「誤判だ」と説明しました。元被告とその遺族の4人が請求人となり、今春頃に手続きに入る見通しです。(引用ここまで)
偽りの、屈辱の、従属の自衛隊合憲論とその判決にもとづいて、9条解釈改憲が行われてきたのです。そういう意味で考えると、この再審請求の今日的意味は、全国的課題、歴史的課題と言えます。裁判所がどのように受け止めるか、日本の司法がアメリカに従属したまま、違憲立法審査権すら発動しないまま今日に至っていることを告発する裁判となるでしょう。
それでは、本題に入ります。以下の社説のテーマを一覧しておきます。なお。関係する部分の抜粋とします。ご覧ください。
朝日新聞 安倍外交/孤立への道を進むのか 2014/2/22 4:00
http://www.asahi.com/paper/editorial.html?
…解せないのは、一連の言動を「個人の発言」「放送法には違反していない」と繰り返す首相や菅官房長官の姿勢だ。こんな言いつくろいが世界に通じるわけがない。きっぱりと否定しなければ、首相の本心を周囲が代弁しているととられても仕方がない。…集団的自衛権はもともと米国が後押しし、昨秋の日米外務・防衛担当閣僚会合では、容認に向けた政権の動きを「歓迎する」としていた。ところが、歴史に真摯に向き合わない首相らの姿勢は、むしろ米国のアジア戦略の攪乱(かくらん)要因になっているとの見方が、米国内で急速に広がっている。先日、日本を訪れた米下院のロイス外交委員長は、首相の靖国参拝について「中国を利することになると心配している」と日本の議員団に語った。ロイス氏は、首相側近が批判した民主党ではなく、共和党の議員だ。こんな忠告をしてくれる友人がいる間はいい。異なる見解を排除するだけの外交姿勢は、このへんでやめにすべきだ。(引用ここまで)
中日/東京新聞 揺らぐ日米関係/友人の忠告に耳傾けて 2014/2/21 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014022102000142.html
「同盟復活」はすっかり色あせた。安倍政権は、その是非は別にして、集団的自衛権の行使容認や日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直しを通じて、日本の軍事的な役割分担を増やそうとしている。米海兵隊の新しい基地を沖縄県名護市辺野古に建設する手続きにも入った。…「同盟」関係の強化へ安倍政権が「努力」しているのに、なぜ米国は首相の靖国参拝を了としないのか、オバマ米民主党政権はアジア・太平洋地域を重視するリバランス(再均衡)戦略を掲げながら行動が伴わず、日本よりも中国を重視しているのではないのか…。そんな不満が、首相官邸と自民党内の一部にあるのだろう。…日米貿易摩擦の時のような「ガイアツ(外圧)」は心地よいものではないが、安倍政権に関わる人たちが、日米関係が重要であり、米国はかけがえのない友人だと、心の底から思うのなら、その忠告を突っぱねるのではなく、謙虚に受け止めるべきではないのか。歴史認識問題は、安倍政権の命取りになるとして、一昨年暮れの第二次政権発足後しばらくは抑制的な対応だった。しかし、昨年夏の参院選で自民党が勝利し、「一強」支配を確立した後は、タガが緩み始めている。近隣諸国の過度の対日批判や挑発には毅然と対応しなければならないが、先の大戦や植民地支配を反省し、強いた苦痛には心を込めて対応する。その真摯な態度が、近隣諸国や米国の日本に対する懸念を取り除き、この地域に平和と安定をもたらす。日本自身が不安定要因になる愚を犯してはならない。…安倍首相や政権の面々は、友人の忠告に耳を傾け、独り善がりの態度を改めるべきだ。それが近隣諸国との関係改善につながり、日米間のわだかまりをも解消する。四月にはオバマ大統領を真の友人として快く迎えたい。これは決して米国のためではない。日本自身のためである。(引用ここまで)
信濃毎日 溝深める日米/問題の根は首相にある 2014/2/22 10:05
http://www.shinmai.co.jp/news/20140222/KT140220ETI090007000.php
中国や韓国が足並みをそろえて国際社会に向けて日本批判を強めている折である。日本の信用が損なわれるだけでなく、安倍政権が最重視する日米関係が漂流することにもなりかねない。問われているのは、自身の歴史認識であることを首相は肝に銘じるべきだ。アジアの人々に対する加害の責任と反省を相手にしっかり伝え、関係改善の一歩を踏み出さなくてはならない。…「首相の本音」を側近が代弁していると受け取られかねない事態である。日本の政治指導者には過去の歴史と真摯に向き合う姿勢が見られない—。こんな認識が広まっていけば、日本は国際社会の中で孤立してしまう。安倍政権は中国に対抗するために対米依存を深める一方、歴史認識問題をめぐって関係を悪化させている。この矛盾を抱えたままでは日本外交の幅は狭まっていくだけだろう。危機感を持って立て直しを急ぐべきだ。(引用ここまで)
神戸新聞 日米関係/同盟を揺るがす不協和音 2014/2/23 10:05
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201402/0006729966.shtml
…ただでさえ、中国や韓国との関係が冷え込み、首脳会談すら開けない状態が続く。頼みとする米国との足並みの乱れは、近隣外交の立て直しをますます困難にする。そうした自覚はなかったのか。…このような事態が長引けば、中国、韓国の対日批判を勢いづけることになりかねない。米国との溝は深まり、肝心の国益も危うくなる。保守色に強くこだわる首相の姿勢が側近らの行き過ぎを招いているとすれば、自民「1強」のおごりや気の緩みとしかいいようがない。何が同盟の不協和音を生んでいるのか、日米首脳会談の前に、安倍政権は冷静に考える必要がある。(引用ここまで)
中國新聞 日米関係/あつれき 解消するには 2014/2/15 10:00
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=32041&comment_sub_id=0&category_id=142&category_list=142&localfrom=column
強固な同盟を誇ってきた日米関係に隙間風が目立つ。決定打となったのは、安倍晋三首相の靖国神社参拝だろう。中国や韓国とのさらなる関係悪化を憂い、「失望した」というコメントまで米大使館から飛び出した(引用ここまで)
沖縄タイムス 揺らぐ日米関係/首相の歴史認識がとげ 2014/2/24 6:07
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=63551
首相の靖国参拝が、中国や韓国の反発を招くことは容易に想定できた。東アジアの安定を損なう事態を懸念する米国の出方を予想できなかったのなら、衛藤氏の首相補佐官の資質が疑われる。政府は進退は問わない意向だが、首相の明確な説明責任が求められよう。…首相につながる人脈から、このような発言が相次いでいるのはなぜか。首相自身の歴史認識が問われているのである。しかし、歴史認識をめぐる首相やその周辺の発言が、日米双方の溝を深めている。米紙ワシントン・ポストは首相の靖国参拝に伴い、日本がアジアで危機を引き起こす可能性に警鐘を鳴らす記事を掲載した。安倍政権が「1強」におごるような言動を繰り返せば、国際社会からの孤立を招きかねない。(引用ここまで)