「北東アジア非核兵器地帯構想」の具体化こそ集団的自衛権行使論の根拠をなくす!
前号では、ナガサキの視点と提案について検証しました。
長崎市が「北東アジア非核兵器地帯構想」を提起したことの意味を愛国者の邪論なりにまとめておきます。
1.この構想の根底には、非人道兵器である核兵器を拒否する人道主義があります。
2.日本の非核三原則を具体化するという意味があります。当然日本において、非核三原則の法制化が具体化されていなければなりません。
3.この構想には、「わが国の500人以上の自治体の首長が賛同」しているということですが、これは非核自治体宣言、平和都市宣言運動の発展を意味しています。
4.この構想を実現していくためには、アメリカの核の傘の下の日本という枠組みから脱却していなければなりませんが、これは日米軍事同盟廃棄を展望しています。
5.この構想は、核兵器抑止力論、軍事抑止力論からの脱却を展望しています。
6.以上のことは、国際紛争を非軍事的手段、非軍事抑止力論、非軍事安全保障論に基づいて解決するという憲法9条の思想が貫かれています。
7.この方向性は、中国・北朝鮮の脅威を煽り、それを口実にして手段的自衛権の行使を抑止力として日米軍事同盟を深化させようとする米政府・安倍政権と真っ向から対決するものです。
8.憲法形骸化と否定を狙って次々と暴走のアクセルを踏んでいる安倍政権を打倒した後の憲法を活かす政権の政策として位置付けることを意味しています。
9.この構想を全国民的議論によって充実させていくための提案として位置付けることです。
10.この構想は「北東アジア平和共同体」への発展を含んだものです。現在頓挫している6か国協議会、日朝平壌宣言に基づく日朝合意を具体化させることと一体的にすすめていくべきものです。
このことはすでに記事にしてきましたので、ご覧ください。それでは、NHKなど、マスコミが、この提案をどのように伝えたか、検証してみます。ご覧ください。
北東アジア非核兵器地帯構想は黙殺されたしまった!その意図は!?
NHK 原爆の日 長崎市長「平和への不安や懸念」 8月9日 17時53分http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140809/k10013682731000.html
長崎に原爆が投下されてから69年となる「原爆の日」の9日、長崎市で平和祈念式典が行われ、田上富久市長は平和宣言で、集団的自衛権の議論をきっかけに国民の間に広がっている平和への不安や懸念に耳を傾けるよう、政府に対し強く求めました。
長崎市の平和公園で行われたことしの平和祈念式典には、被爆者や遺族などおよそ5600人が参列し、外国からは、アメリカのケネディ大使をはじめこれまでで最も多い50の国と地域などの代表が出席しました。式典では、この1年間に亡くなった人や新たに死亡が確認された人、合わせて3355人の名前が書き加えられた16万5409人の原爆死没者名簿が、奉安箱に納められました。そして、原爆が投下された午前11時2分に合わせて平和の鐘が打ち鳴らされ、全員が黙とうし、原爆で亡くなった人たちを追悼しました。
このあとの平和宣言で長崎市の田上富久市長は、広島市の平和宣言では触れられなかった「集団的自衛権」という文言を盛り込み、「『平和国家』としての安全保障の在り方にさまざまな意見が交わされている」と指摘しました。そのうえで被爆者たちの間では「平和の原点が揺らいでいるのではないかという不安と懸念が生まれている」として、国民の声に耳を傾けるよう政府に対し強く求めました。さらに、田上市長は「核兵器の法的禁止を求めている国々と協議ができる場をまず作り、日本政府は、核兵器の非人道性をいちばん理解している国として、その先頭に立ってください」と述べて、核兵器廃絶に向けて積極的に取り組むよう政府に要請しました。
続いて行われた平和への誓いで、被爆者代表の城臺美彌子さんも政府による集団的自衛権の行使容認に触れ、「武力で国民の平和を作ると言っていませんか。被爆者の苦しみをなかったことにしないでください」と述べて、政府の姿勢を批判しました。
被爆地・長崎での平和祈念式典で、政府が従来の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことへの懸念や批判が相次いだことについて、安倍総理大臣は式典終了後の記者会見で、「丁寧に分かりやすく説明する努力を続けることによって必ずご理解をいただける。平和国家としてのわが国の歩みはこれからも決して変わることはない」と、これまでの主張を繰り返し、改めて理解を求めていました。
首相「非核三原則堅持し核兵器廃絶へ」
安倍総理大臣は、長崎市で開かれた平和祈念式典であいさつし、唯一の戦争被爆国として、核兵器による惨禍が繰り返されることのないよう、非核三原則を堅持しながら核兵器の廃絶に取り組んでいく考えを強調しました。この中で安倍総理大臣は、「人類史上唯一の戦争被爆国として、核兵器の惨禍を体験したわが国には、確実に『核兵器のない世界』を実現していく責務がある。その非道を後の世に、また世界に伝え続ける務めがある」と述べました。そのうえで安倍総理大臣は、「核兵器の惨禍が再現されることのないよう、非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶に、また世界恒久平和の実現に力を惜しまぬことを誓う」と述べました。また安倍総理大臣は、「今なお、被爆による苦痛に耐え、原爆症の認定を待つ方々がいる。昨年末には認定基準の見直しを行った。多くの方々に一日でも早く認定が下りるよう今後も誠心誠意努力する」と述べ、原爆症の早期認定や被爆者の支援に引き続き取り組んでいく考えを強調しました。(引用ここまで)
時事 「核兵器ない世界」次世代に=平和宣言、集団的自衛権言及-69回目、長崎原爆の日(2014/08/09-11:55)
http://i.jiji.jp/jc/i?g=soc_30&k=2014080900148
平和祈念式典で、平和を願い放たれたハト=9日午前、長崎市の平和公園
長崎は9日、69回目の原爆の日を迎えた。爆心地に近い長崎市松山町の平和公園で、市主催の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が営まれた。被爆者や遺族、安倍晋三首相らが参列し、原爆死没者の冥福を祈った。田上富久市長は平和宣言で、「核兵器のない世界」を次世代に引き継ごうと世界に向けて呼び掛けた。集団的自衛権をめぐる議論にも言及し、政府に対し、不安や懸念の声に耳を傾けるよう要請した。
式典には、核保有国では、米仏ロ中のほか、インドが出席。米国のケネディ駐日大使も6日の広島に続き参列した。参列国は過去最多の48カ国となった。
犠牲者に水と花輪をささげた後、原爆投下時刻の午前11時2分、鐘の音などに合わせて1分間の黙とう。7月末までの1年間に死亡が確認された3355人の名前を記した原爆死没者名簿3冊を奉納した。死没者数は16万5409人となった。
平和祈念式典で、平和宣言を読み上げる長崎市の田上富久市長=9日午前、長崎市の平和公園
平和宣言で田上市長は、核兵器保有国や日本を含む「核の傘」の下にいる国に対して、核廃絶を目指す国々との協議の場をつくるよう呼び掛け、日本政府には唯一の被爆国として先頭に立つよう求めた。さらに、憲法に込められた不戦の誓いは、日本と長崎の原点と強調。集団的自衛権の議論の中で、被爆者が伝え続けた平和の原点が揺らいでいるとの不安や懸念の声に耳を傾けるよう政府に求めた。世界には「次の世代に『核兵器のない世界』を引き継ぎましょう」と呼び掛けた。
安倍首相は「被爆の辛酸をなめた私たちは立ち上がり、祖国を再建し、長崎を美しい街としてよみがえらせた」とあいさつ。被爆70年目となる来年は「核兵器のない世界」を実現するための取り組みをさらに進める決意を表明した。(引用ここまで)
長崎新聞 被爆69年 長崎原爆の日(2014年8月9日更新)
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/photonews/2014/08/09090819014078.shtml
長崎原爆の日を前に、慰霊と平和の明かりに包まれた爆心地公園=8日夜、長崎市松山町
被爆地長崎は9日、原爆投下から69回目の「原爆の日」を迎えた。来年の被爆70周年や核拡散防止条約(NPT)再検討会議の開催を控え、田上富久長崎市長は「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」で、核兵器廃絶への歩みを前進させるよう平和宣言で訴える。また、集団的自衛権の行使を認める閣議決定に関し、不戦の誓いが揺らぐのではないかという国民の懸念に向き合うよう政府に求める。
台風11号が九州に接近しており市は8日、同式典について協議。会場の平和公園に設置済みだった大テントは、強風対策で撤収した。9日の開場は午前8時半に1時間繰り下げ、献茶式など式典前行事は中止。雨天の場合、5千人分のレインコートを参列者に配布する。早朝、風雨で参列者の安全が確保できないと判断した場合、式典は中止し、平和宣言や被爆者代表の「平和への誓い」の読み上げは別途、検討する。
平和宣言では、核兵器を非合法化すべきだとの機運の高まりや、核保有国や「核の傘」依存国が非合法化に難色を示している状況を踏まえ、多国間の協議の場の設定を求める。また田上市長は、「(安全保障環境の)状況を示す表現」として、広島市が同宣言で言及しなかった「集団的自衛権」の文言を盛り込むことを表明している。
式典には過去最多の51カ国の代表や安倍晋三首相などが参列予定。式典終了後、被爆者5団体と安倍首相は市内ホテルで面会する。5団体は集団的自衛権の行使容認を批判する方針だ。全国で被爆者健康手帳を所持する人は3月末時点で初めて20万人を切った。県内は5万269人、前年同期比2468人減。平均年齢は長崎市78・93歳、同市外79・99歳で、高齢化が一層進んでいる。(引用ここまで)
朝日 「平和の原点揺らぐ」長崎平和宣言、集団的自衛権に懸念 2014年8月9日12時04分http://www.asahi.com/articles/ASG86675XG86TIPE03K.html?ref=reca
69年前、原子爆弾が投下された長崎市で9日、犠牲になった人たちを悼み、反核・平和の思いを新たにする平和祈念式典が開かれた。被爆者や遺族ら約5900人が参列。田上富久市長は平和宣言で、安倍政権が進める集団的自衛権の行使容認を踏まえ、憲法に込められた「戦争をしない」という誓いが揺らいでいる、と懸念を表明した。
【集団的自衛権】
平和公園であった式典では、原爆が投下された午前11時2分に合わせて参列者が黙禱(もくとう)を捧げた。
田上市長は平和宣言で、集団的自衛権の議論を機に、安全保障のあり方について様々な意見が交わされていると指摘。憲法に込められた不戦の誓いは、日本と被爆地・長崎の原点だとした上で、「その平和の原点が揺らいでいるのではないか、という不安と懸念が生まれている」と訴えた。さらに、「日本政府には、この不安と懸念の声に、真摯(しんし)に向き合い、耳を傾けることを強く求めます」と述べた。(引用ここまで)
朝日 核なき世界、なお遠く 「核の傘」頼み、変わらぬ日本 2014年8月7日01時37分http://www.asahi.com/articles/ASG865F5JG86UTFK004.html
杉崎慎弥、小林哲=ワシントン、駒木明義=モスクワ
【動画】69回目の広島・原爆の日=取材班撮影 傘を差して多くの市民が慰霊に訪れた平和記念公園=6日午前7時15分、広島市中区、青山芳久撮影
広島への原爆投下から69年を迎えた6日、広島市で平和記念式典が開かれた。参列した安倍晋三首相は「核兵器のない世界」の実現を述べたが、具体的な成果につながる動きは乏しい。核大国の米ロがウクライナ情勢をめぐって対立を深めており、国際的な核廃絶の機運も途絶えている。「核兵器の惨禍が再現されることのないよう、世界恒久平和の実現に、力を惜しまぬことをお誓いする」
安倍首相は式典でこう語った後、被爆者団体代表との会合で集団的自衛権の行使容認をめぐって異論を突きつけられた。「戦争のできる国にするものだ。閣議決定の撤回を求める」。(引用ここまで)
赤旗 被爆地 不戦誓う 長崎式典“安倍政権は耳傾けよ” 集団的自衛権に怒り 2014年8月10日(日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-10/2014081001_01_1.html
赤旗 「戦争する国」被爆地は拒否 「核なき世界」と相いれず 2014年8月10日(日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-10/2014081002_02_1.html
どうだったでしょうか?どこも「北東アジア非核兵器地帯構想」のことなど、一顧だにしていません。この提案は、長崎の原点を具体化したものですが、どこも集団的自衛権行使問題に集中しているのです。当然と言えば当然のことですが、この構想を具体化することこそ、集団的自衛権行使論の破たんを意味しているのですが、このことが、どこも判っていないのです。