つづき
自らの身勝手を棚にあげて
他人の意見表明を「利己的」と断ずる武藤議員の
戦後教育への責任転嫁論の不思議!
戦後民主主義教育は
大日本帝国憲法と教育勅語の否定にあった!
これは憲法平和主義を根づかせる国際公約だった!
――ところで、武藤さんはなぜ政治家になったのでしょうか、政治信条は?
武藤 日本を守るためです。日本の伝統的な価値観を取り戻したいと考えたからです。
「日本を守る」と言いながら、国内の国民生活における命と財産は切れ目なく奪われている。この事実には目を背ける。黙殺するのです。日々繰り返されている国民の命が奪われている現実は関係ないとでもいうのでしょうか。しかも「日本を守る」ために、国家の最高法規である憲法平和主義・民主主義・立憲主義を否定している。ゴマカシではないのか。
――今回ツイッターの炎上を通して感じたことは?
武藤 ツイッターの発言は難しいですね・・・。
――ブログやフェイスブックとの違いを感じましたか。
武藤 はい。ツイッターはアカウントを10も20もつくって、しかも匿名でやっている人がいる。なりすましもあります。自分に反対の人は、組織立ってあるいは同一人物が大量に反論のコメントを書き込んでいる可能性がある。
――ツイッターのダイレクトメッセージは?
武藤 ダイレクトメッセージの多くは、賛成の人から来ています。攻撃をおそれて目立って書き込みができないから直接メッセージしましたという方が非常に多かったです。
――ツイッターで炎上しましたが、真意をフェイスブックに書きましたね。
武藤 フェイスブックは、匿名でなく実名なので、賛成反対問わず論理的なコメントも多い。
――批判で使われる言葉は?
武藤 バカ、アホ、死ね。スズメバチ戦法のように大量に攻撃を仕掛けてきます。平和を愛すると主張し、命を大切にしろという人が、攻撃的で暴力的な言葉遣いで批判してきます。
攻撃的で暴力的な言葉遣いは、重大な問題です。このような発言は黙殺しながらも、このような発言が発せられる社会にこそ問題があります。私も「愛国者の邪論」を名乗っています。だからこそ、発言には節度と正当性が必要不可欠です。私の場合は、完全に「防衛」上の理由です。本名を名乗ることができる日を構築するために、「愛国者の邪論」を名乗っています。この「愛国者の邪論」が支持されるかどうか、それは全て内容にかかっています。
――事務所はネット炎上中のこの数日間、どうでしたか。
武藤 電話、FAXは一時的にパンク状態に。わーと押し寄せてくる、ほとんどが批判のもの。しかしその後日常的に来るのは応援が多い。批判している人は組織だってやっている印象で、賛同者は組織でない個人が多いと感じています。
権力を握っていない国民が権力者に意見を言うのは、ある意味当然ですし、これは認められるべきものです。日本の歴史の中でも、「落首」「落書」などが、権力者に向かって発せられたことがあります。「愛国者の邪論」が、権力者に対して、どのような効果を持つか、それは全て内容にかかっています。
落首 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%BD%E9%A6%96
落書 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%BD%E6%9B%B8
ツイッター、空虚な「言葉」の応酬
1時間余り電話でのインタビューだったので実際はわからないが、予想に反し、武藤議員は裏表のない実直な性格の政治家だという印象を受けた。武藤議員には悪いが、幼稚な頭の構造で安倍首相の国家観の代弁屋かと思っていたが、そうではないようだ。
彼のブログを読むと解るが、バリバリの保守政治家である。
「保守」ではありません!「反動」です。いわゆる「保守」政治家が、日本の伝統をどれだけ破壊してきたか!そのことを黙殺することはできません。日本の農村社会を破壊してきたのはどんな政治が展開されたからか!高齢者を敬わない社会不調が蔓延してきたのは、どんな政治が横行したからか!こうした事実を視れば、自由」民主」党が、「自由」や「民主」を尊重しない、日本の伝統を「保守」しない政党であることが浮き彫りになります。
本当に「保守」であるならば、現在日本の病理現象を、どのように説明するのでしょうか。
ツイッター炎上を釈明する形で、彼がブログに書いた「国民に課せられる正義の要請」を読めば、よく理解できる。砂川訴訟の田中耕太郎元最高裁長官の補足意見『自国のことのみに専念』を国家的利己主義として解釈したり、岡本行夫・元外交官の「世界にいる日本人は、各国の軍隊や警察組織によって守られている」話を引用して、一国平和主義が如何に利己的な考えかを訴えている。
これらを引用するしか、資料を持ち合わせていないことそのものに、武藤議員の基盤の脆弱さが浮き彫りになります。
砂川最高裁判決が国家主権を否定し、司法の独立を投げ捨て、国民主権を葬り去ってつくりあげられた歴史を黙殺しています。国会の参考人発言を行った岡本氏の思想も、憲法平和主義を想定しないアメリカ万能論・日米軍事同盟抑止力論に基づく安全保障神話論です。これは現在の中東やアフガン、アメリカの現実を視れば、破たんしていることは明らかです。
「世界にいる日本人は、各国の軍隊や警察組織によって守られている」というのであれば、そのレベルで言えば、それは何も日本人だけではありません。「軍隊」と「警察組織」を同列に置き、自衛隊を派兵し、「警察的役割」を担わせようとする姑息が透けて見えてきます。軍隊と警察は別モノです。逆に言えば、自衛隊を警察力に変えていく展望が見えてきたように思います。その点では岡本氏と一致するかも知れません。
このことは、すでに、たくさん記事にしてきましたので、ご覧ください。
ツイッターの発言との落差を感じてしまう。それは36歳という若さから言葉足らずになって出た発言なのか、本音を思わず漏らしたものなのか、そこまではわからない。
ただ、一つ明らかなのは「利己的」という意味が、取り違えられている点だ。これは彼の不幸だ。橋下徹・大阪市長が「威勢の良いことを言うなら、お前がまず行け。国会議員を人身御供で前線に送り出すことを、本気で考える必要あり」とツイッターで噛みつかれていたが、空虚な言葉の応酬になっていると感じる。
武藤氏が使った「利己的」というのは、日本に合わない欧米の個人主義を利己的と表現している。利己的個人主義を生んだのは、戦後の教育であり、それに洗脳された若者の考えが「利己的だ」と言っている。
この逆に、「滅私奉公」があることは明らかです。「戦後の教育」をねつ造しています。以下ご覧ください。
文部省著作教科書「民主主義」http://homepage3.nifty.com/yeonso/edu3.htm
文部省「あたらしい憲法のはなし」http://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html
教育基本法 http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/a001.htm
児童憲章 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1298450.htm
夏目漱石「私の個人主義」http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/772_33100.html
ところが、ネットでの反対意見では、そのように受け取られていない。「戦争に行きたくない」ことを利己的だと言った、と受け取られている。朝日新聞が「安保反対デモの学生は自分中心」と批判記事を書いた同じニュアンスである。文脈を読めば、戦争に行きたくないのは利己的であり無責任な考えだ、と読めるが、これは武藤氏の発言の不用意さによって起きているように思う。真意は別の所にある。
残念なのは武藤氏がツイッター投稿の140文字制限を理由にしている点だ。これは間違いだ。140字ならそれなりの表現の仕方での発言が求められる。政治家は「言葉」が左右する仕事だから、ツイート前に投稿を推敲し、真意が伝わるように配慮できたはずだ。
政治家とソーシャルネットワークの未来
あきれるのは、マスコミの報道姿勢だ。「ツイッターの発言、撤回しないんですか?」と武藤議員を追いかけ回し、コメントを取ろうとする。コメントを取るのは仕事だからいいが、本当にピントがずれている。
なぜ撤回を迫るのか。「撤回します」「お詫びします」という答えが欲しいのだろうか。彼は「撤回しません」と言っていたが、この態度は政治家としては当然だ。
これは憲法99条を全く想定していない視点です。武藤議員は一般人ではありません!勿論、一般人であったも、権利を擁護する義務があるのは当然です。
こうした場当たり・その場しのぎの視点が横行し過ぎています。物事は全て関連しています。
3年前初めてネット選挙が解禁になった、参議院選挙を覚えているだろうか。ソーシャルメディアを選挙運動のための拡声器代わりに使う政治家が、実に多かった。多くが街頭での演説の様子や演説場所の連絡で、リアルな選挙の延長戦でしか使われなかった。
選挙が終わった途端、ソーシャルメディアでの発信をやめた政治家がいかに多かったか。武藤議員は、ブログ、ツイッター、フェイスブックを通して、今も自分の考え方や政治信条、報告を行っている。炎上してアカウントを削除したり、不都合なコメントを表示しないよう操作する政治家がいる中で、「撤回しない」「削除しない」姿勢は、政治信条がどうであれ、ポリシーを貫いている。
政策や人となりを知ることができる点が、ソーシャルメディアの利点である。ヤメロと言うことは、それを出来なくするということである。今回の不用意な発言から炎上したが、武藤議員の注目度は一気に高まった。彼の政治信条、政治家としての未来は、滋賀4区の有権者が、次の選挙で判断する。一部に「辞職しろ」という意見も出ているが、それを決めるのはあくまで有権者だ。
【滋賀報告】武藤議員の地元で落選運動 「戦場にはあなたが行け」 2015年8月8日 20:25 http://tanakaryusaku.jp/2015/08/00011711
反安倍のうねり SEALDsが動かした! 東大大学院教授が呼びかけた与党議員の落選運動に広がり2015年8月7日http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/162472
ソーシャルメディア上では、自分の立ち位置を考えずに、批判をされかねない発言をすると、炎上する傾向がある。政治家に限らず、有名人も同じだ。
政治家の例を挙げよう。
・池内さおり議員(共産党)
「ゴンゴドウダン」と政権批判して、湯川遥菜さん殺害報道に便乗したとツイッター炎上。テロリストの批判に手を貸す発言、空気を読めない発言が炎上の原因
・小西洋之(民主党)
米国議会での安倍晋三首相の演説を「ひどい棒読みだな。単語を読み上げているだけ。日本の高校生よりひどい」とツイートして炎上。悪口、揚げ足取りが炎上の原因
ツイッターが炎上する理由は、次の5点だ。
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① 不特定多数の人が読み、リツイートで拡散するスピードが速い
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② 発言に責任を持たなくてもいい、匿名の利用者が多い
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③ フェイスブックやブログと異なり、論理的に書く(文語体書く)のではなく、つぶやく(口語体で書く)ため、その時の気分や感情で投稿しがち
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④ 2ちゃんねる的なノリ、付和雷同、デマの拡散が起きやすいメディア特性
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⑤ 拡散の途中で、言葉に尾ひれがつき、違った意味に変容していく
そして、炎上のメカニズムは次のような流れだ。
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① 何でこの人が今こんなことを言ってるの!?
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② え?まさか。ウソでしょ
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③ この人、立場わきまえろよ
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④ 今、空気読めよ
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⑤ この発言(差別、自慢話、漏えい話、悪ふざけ)はないな
ただ、一番怖いのは、ネット炎上を恐れるばかりに、沈黙する社会だ。話題にわぁーと群がって、食い散らかして、さぁーと去って行く。言葉尻だけを捉え、ヒステリーに騒ぎ立てネットに拡散する。それを切り取ってマスコミが話題にする。同じ人間が何回もアカウントを変えて書き込み、炎上しているように見せかけることもできる世界だ。
ネットで話題になっている、炎上しているということだけで、マスコミも加担して騒ぎ立てる構造が、最近のネット炎上のパターンだ。そろそろこうした「言葉のリンチ」はやめたらどうか。
「言葉狩りがネットで進む」の未来形は、「沈黙する」社会だ。発言して批判を浴びるぐらいなら、黙っていようと皆が考えるのである。それは物事の本質を隠し、思考停止になる。当たり障りのない「言葉」が支配し、人を統制する、恐ろしい社会になる。(引用ここまで)
「言葉狩り」の前に「言葉の軽さ」を氾濫させたのは、誰か。明らかにする必要があります。「政治家は『言葉』が左右する仕事」という以前の問題として、人間は言葉を使ってコミュニケーションができる唯一の動物です。
「丁寧に説明する」「全く問題ない」「最高責任者は私だ」「積極的平和主義」「幸福追求権」「平和的生存権」「限定的」「一般的には」「全体として」「英霊」「尊崇の念」「警察予備隊」「保安隊」「自衛隊」「国際貢献」などなど、実態とかけ離れた言葉を使って、スリカエ・ゴマカシ・デタラメと大ウソのトリックで、国家の最高法規をズタズタにしてきたのは誰か。このことは、「玉砕」「転進」という言葉を使って、偽装・偽造してきた歴史と重なるものです。