安倍自公政権派と安倍政権打倒派の比例獲得票一覧
09年総選挙民主党政権交代=29,844,799票!
04年参議員選挙民主党21,137,457票!
07年参議員選挙民主党23,256,247票!
自民党政権奪還12年総選挙16,624,457票!
ねじれ解消13年参議院選挙18,460,403票!
10年参 12年総 13年参 14年総 16年参
自民 14,071,671 16,624,457 18,460,403 17,658,916 20,114,788
公明 7,639,432 7,116,474 7,568,080 7,314,236 7,572,960
お維(日維) 12,262,228 6,355,299 8,382,699 5,153,584
みん 7,943,649 5,245,586 4,755,160
日こ(次世代) 1,414,919 734,024
改革 16,597 580,653
民主 18,450,140 9,628,653 7,134,215 9,775,991 11,750,965
共産 3,563,556 3,689,159 5,154,055 6,062,962 6,016,195
社民 2,242,735 1,420,790 1,255,235 1,314,441 1,536,238
生活 3,423,915 943,836 1,028,721 1,067,300
16参議院選挙
安倍政権派 34,156,009
野党4党派 20,370,698
民主党政権誕生時の国民パワーをどう取り戻すか!
本当に自民党は大勝したのか?なんだか変なマスコミ報道。
2016年参議院選挙が終わった。マスコミ各社の報道は与党圧勝、改憲勢力が議席の三分の二を獲得!というものだ。自民党が大勝し、民進党をはじめとする野党各党が敗北だと。しかし、選挙結果を見てみると「?」がつく。どうして、この数字で、そんな解説ができるのかと。
自民党は敗北していた!
選挙結果というものは、その時の数字だけで論じるべきではない。 前の選挙、さらに前々回の選挙結果との比較が必要だ。 とくに参議院選挙は3年ごとに議席の半数ずつが改選となるため、6年前の前々回との比較が重要だ。
自民党の2010年、2013年、2016年の参議院選挙区の結果はこうなる。39→47→36。
大勝の前回より減らし、なんと前々回よりも減っている。
2010年の選挙は、当時の民主党に政権を奪還されていた時代で、その時の菅総理の消費増税発言、その前の鳩山総理の沖縄への裏切りなどで、有権者が民主党に愛想をつかしていた時だ。 そのおかげで、自民党は政権奪還の足がかりとなる、参議院第1党の地位を取り戻した選挙だ。
安倍政権(第2次)で最初の参議院選挙となる2013年選挙では大勝するが、これが1人区のマジックだということは、かつて私が分析して見せたことだ。 大して得票数はないのに、野党側乱立の結果、当時31だった1人区で、自民党は29で勝ったからだ。 しかし、今回は32の1人区のうち取れたのは21。
勝ってはいるが、前回、前々回との比較で言えば「大負け!」というべきだろう。
これが、共産党による大胆な野党統一候補提案とそれに呼応した野党各党の実行の成果であることはいうまでもない。もし、野党統一候補が全一人区で成立していなかったら、自民党は「単独過半数」を確保どころか、単独で憲法改正の発議ができる162議席に迫る勢いとなり、確実に憲法改正へと進んだことだろう。
憲法改正はあるのか、ないのか
自民党の大敗を覆い隠しているのは、公明党の躍進である。
選挙区で3→4→7と増え、比例は前回同数の7だが総数で3増やし14とした。前々回は総数で9だったので着実に増やしていることになる。ただし、得票数でいうと、前々回は764万票、前回は756万票、今回は757万票なので、実は増えていない。6年前よりは減っているのだ。それでも議席数を増やしているのは、投票率の低下と選挙区(複数区)での薄氷の勝利のたまものだ。
もともと憲法改正には消極的な公明党が、これで憲法改正に「いけいけドンドン」の証明と思って前に進めるだろうか。
マスコミの言う憲法改正の発議ができる162万票というのは大阪維新の議席を足しあわせたものだ。大阪維新の松井代表は、自民党の憲法草案は、そのままでは受け入れられないとしており、発議する憲法改正の内容で合意ができるかは微妙だ。9条改憲をすすめ、国家非常事態条項をつくるというような、自民党改憲草案実現を目指す、コアの改憲勢力の勢いは、まだ首の皮1枚で押しとどめたという評価もできる。
意外に健闘している民進党
ボロ負けのように言われている民進党だが、選挙区では意外に健闘した。
北海道(3人区)で2人、東京(6人区)でも2人、愛知(4人区)でも2人を当選させた。
野党統一候補も大健闘で、青森、山形、宮城、福島、新潟、長野、山梨では「統一候補」でなければ当選させることはできなかっただろう。
敗れはしたものの、秋田、奈良、愛媛、滋賀などは、本当に僅差の争いだった。
奈良は、大阪維新が候補者を出して11万票をとっており、それがなければ野党側が勝っていた。
ただ全般的に、相変わらず野党は東で強く、西で弱い。
中国、四国、九州では、一騎打ちでも自民党に勝てないところが多い。
それでも、同時に行われた鹿児島県知事選では脱原発を掲げた三反園氏が原発推進の現職を破り、保守王国に風穴を開けた。新しい風が吹き始める予感だ。
残念な平和派市民の迷走
今回の参議院選挙では、野党の統一候補実現という大きな成果があったのと裏腹に、戦争法反対、憲法改正阻止にはやるばかりに、全く逆の結果を生み出しかねない残念な行動があった。
その主体となっている人たちが友人であったり、本来は信頼に値する方々だったりしたために、私個人としてなかなか波紋を引き起こすような発言ができなかったが、結果は想像どうりとなった。
まず三宅洋平である。
今回は25万票で、前回比例区で獲得した票よりは多いということを評価すべきかどうか。 彼は人は集めるが票は集められないようだ。大群衆が集まっているのに報道しないマスコミが悪い・・というような言い方で、これを済ませてはいけないのではないか。なぜ、あのやり方では票が集められないのか真剣に考えるべきであろう。
そして「国民怒りの声」。
小林節さんの怒りの気持ちはよくわかるが、これでは逆で安倍政権の後押しである。しかも44万票と「支持政党なし」よりも票が少ないとは・・。まったく選挙のなんたるかも、方法論もご存じなく無謀な挑戦をされたとしか思えない。これがどういう結果を引き起こしたかを見てみよう。民進党の比例区候補だ。
当選者を上から順に見ると、電力総連、自動車総連、電機連合、有田芳生をおいて、ゼンセン同盟、郵政グループ、そのあと自治労、日教祖・・と続く。
何を言いたいかお分かりだろうか。上位はみんな旧同盟系。原発問題でいうと原発推進派である。
かろうじて自治労以下が脱原発。そして、これまで市民のために、協力してくれたこともある、現職、元職たちが続々落選しているのがわかる。
民進党の比例代表で当選者として残るには、最低20万票が必要と言われていた。ところがそのラインに届いたのは、電力総連、自動車総連、電機連合の3候補だけ。あとは軒並み20万票割れで、16位以下は10万票にも届かず。
この候補者たちの10万票はどこに消えたのだろう。
脱原発や人権問題、あるいはTPP反対で、本当は当選して欲しかった大事な候補者たちを引きづり落としたのは・・誰。
残念ながら「国民怒りの声」は、たった44万票とはいえ、民進党内順位を撹乱し、必要な人を引きづり落としてしまう効果はあったようだ・・と言わざるを得ない。
「怒りの声」に票を投じた有権者たちは、「支持政党なし」にわけも分からず投票するような有権者たちとは明らかに違うのだから。
結果的に、マスコミが言うところの「自民党大勝」に、多少の貢献はしてしまったと言わざるを得ないのだ。
最後に「統一候補」の難しさ
「支持政党なし」は、ほとんど棄権と同じだ。
自民・公明の別働隊などと言われたりするのも、莫大なお金(供託金だけで6千万円。他にポスター代やら何やら・・。)をかけて、人々を投票所に行かせて棄権と同等なことをやらせるという手の込んだ詐欺的な作業だからだ。
「国民怒りの声」や「新党改革」なども、もしかしたら同じことになる。だから、少しでも「有効な投票を」ということになるわけだ。
では、選挙区(1人区)で、絶対通りそうにない候補に投票するのはどうか。今回でいえば、群馬、栃木、福井、石川、富山など。そして中国地方、九州地方にはごろごろある。頑張れば勝てるのは、32の1人区のうち17か18だ。
四国の香川では、唯一の共産党候補による野党統一が実現したが、15万票差のダブルスコア以上で自民党候補に負けた。
他の野党が果たして、共産党候補のために本当に選挙活動をしたのかなとも思う。
この香川では2007年選挙では民主党が自民党に勝っている。その次の2010年には負けはしたが4万票差、2013年には7万票差と広がっている。2010年も2013年も共産党候補の票は3万票あまりなので、単独で10万票は取れない。他の野党の応援があったことは明らかだ。でも3年前には民主党だけで15万票近くを取っており、かなりの票が動かなかったと見るべきだ。
本気での野党共闘になっていない。これは申し訳ないが、共産党候補という候補者に起因することかも知れない。
勝つにはどうすれば良いのか。私たちはもう少ししたたかになる必要がある。
今回の候補者選びに、私たちは口出ししなかった。
政党間協議に任せたのである。 しかし、これは有権者側にとって「正しい姿勢」だったのだろうか。 他人事ではなく自分事に出来ていたのか・・という反省もある。
鹿児島県知事選では、絶対勝てるはずがないと思っていた挑戦を挑み、なんと勝ってしまった。
この伏線は前回選挙で、絶対に勝てない戦いに挑戦した候補者の存在だ。
原発の再稼動の是非という大きなテーマもあるが、有権者が他人事にしないこと、自分事として、最初は勝てなくても、少しずつ、少しずつ、票差を詰めていくことなのだなあということを教えられる。
みずから「候補者の候補者」を出し合い、議論し決めていくところから、民主主義ははじまるのではないだろうか。どんな候補者が良いのか議論し、出し合い、その中で「政治への意識」を鋭くして行きたい。
選挙はけして人気投票じゃない。(引用ここまで)