愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

自民党の勝因は「ほかの政党よりましだと思われた」という消極的な理由63%と際立って多かった!やっぱり!

2016-07-16 | 16年参院選

テレビは参院選なのに

都知事選候補者選定問題を垂れ流した!

「野党」=民主党内の動きを連日垂れ流すことで

「野党ゴタゴタ・だらしない」論が連日流された!

安倍「安定」政権論=野党共闘「不安定」論が流された!

テレビは党首討論会と選挙報道は削減した!

全国32の一人区で野党共闘が成立したが

刺客候補者・自民党ぶっ壊す発言=小泉劇場のような

舛添カネ目事件のような

テレビ選挙報道しなかった!

テレビは「道半ば」のアベノミクスの検証と争点化を

徹底的に排除した!

テレビは憲法「改正」の具体的項目の争点化を避けた!

テレビは期日前投票を誘導した!

テレビは授業料・ブラック企業・奨学金・年金など

「ヤング民主主義」発揚のための企画は避けた!

テレビは「政治とカネ」問題の争点化をサボった!

 その結果が

偽装・偽造・やらせの

安倍内閣支持と自民党「大勝」を創りだした!

全て予定通りだった!

 内閣支持 上昇53%

2016年07月13日 12時11分
 
http://www.yomiuri.co.jp/election/poll/20160713-OYT8T50067.html?from=yartcl_popin 

読売新聞社は11~12日、参院選結果に関する緊急全国世論調査を実施した。

自民党と公明党の与党が、目標としていた改選議席の過半数を獲得したことを

よかった」と思う人は54%と半数を超え、「よくなかった」の35%を上回った。

自民党の獲得議席は「ちょうどよいくらいだ」が44%、少ない方がよかった」が39%、「多い方がよかった」が10%だった。

自民党の勝因を聞くと、「ほかの政党よりましだと思われた」という消極的な理由が63%と際立って多かった。

参院選の結果、自民党、公明党、おおさか維新の会など憲法改正に前向きな勢力が、参院でも改正発議に必要な3分の2を超えたことについては

よかった」が48%、「よくなかった」が41%だった。

今後、国会で憲法改正に向けた議論が活発に行われることを

期待する」と答えた人は70%に上り、「期待しない」の25%を大きく上回った。

内閣支持率は53%となり、参院選公示直前の前回調査(6月17~19日)の49%から上がった。不支持率は34%(前回38%)。

政党支持率自民党が41%民進党が10%おおさか維新の会5%公明党共産党各4%などの順だった。

2016年07月13日 12時11分 Copyright © The Yomiuri Shimbun(引用ここまで


政党支持率と実際の投票行動結果について

当日有権者106,494,872人(28.6.21現在)

投票者数58,086,458人 投票率54.69%

自民党 20,114,788(得票率35.4)(絶対支持率18.89)

公明党   7,572,960(得票率13.5)(絶対支持率07.11)

お   維   5,153,584(得票率09.2)(絶対支持率04.84)

日 こ      734,024(得票率01.3)(絶対支持率00.69)

改 革  580,653(得票率01.0)(絶対支持率00.55)

安倍政権派     (得票率60.4)(絶対支持率32.08)

民進党 11,750,965(得票率21.0)(絶対支持率11.03)

共産党   6,016,195(得票率10.7)(絶対支持率05.65)

社民党 1,536,238(得票率02.7) (絶対支持率01.44)

生 活 1,067,300(得票率01.9)(絶対支持率01.00)

安倍政権打倒野党4党(得票率36.3)(絶対支持率19.12)

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6年間の得票推移を視ると自民大勝か?敵失で議席が決まるのは小選挙区制トリックのため!野党共闘発展こそ!

2016-07-16 | 16年参院選

 安倍自公政権派と安倍政権打倒派の比例獲得票一覧

09年総選挙民主党政権交代=29,844,799票!

04年参議員選挙民主党21,137,457票!

07年参議員選挙民主党23,256,247票!

自民党政権奪還12年総選挙16,624,457票!

ねじれ解消13年参議院選挙18,460,403票!

                 10年参      12年総     13年参     14年総     16年参

自民 14,071,671 16,624,457 18,460,403 17,658,916 20,114,788

公明     7,639,432   7,116,474     7,568,080   7,314,236     7,572,960

お維(日維         12,262,228     6,355,299     8,382,699     5,153,584

みん   7,943,649     5,245,586     4,755,160

日こ(次世代)                                                          1,414,919        734,024

改革                                                                           16,597        580,653

民主   18,450,140     9,628,653    7,134,215      9,775,991    11,750,965

共産     3,563,556     3,689,159    5,154,055    6,062,962      6,016,195

社民     2,242,735     1,420,790    1,255,235      1,314,441    1,536,238

生活                           3,423,915       943,836      1,028,721    1,067,300

16参議院選挙

安倍政権派 34,156,009

野党4党派 20,370,698

 民主党政権誕生時の国民パワーをどう取り戻すか!

 本当に自民党は大勝したのか?なんだか変なマスコミ報道。

竹村英明の「あきらめない!」 2016年07月11日 | 政治
 
2016年参議院選挙が終わった。マスコミ各社の報道は与党圧勝、改憲勢力が議席の三分の二を獲得!というものだ。自民党が大勝し、民進党をはじめとする野党各党が敗北だと。しかし、選挙結果を見てみると「?」がつく。どうして、この数字で、そんな解説ができるのかと。
自民党は敗北していた!
選挙結果というものは、その時の数字だけで論じるべきではない。 前の選挙、さらに前々回の選挙結果との比較が必要だ。 とくに参議院選挙は3年ごとに議席の半数ずつが改選となるため、6年前の前々回との比較が重要だ。

自民党の2010年、2013年、2016年の参議院選挙区の結果はこうなる。39→47→36。
大勝の前回より減らし、なんと前々回よりも減っている。
2010年の選挙は、当時の民主党に政権を奪還されていた時代で、その時の菅総理の消費増税発言、その前の鳩山総理の沖縄への裏切りなどで、有権者が民主党に愛想をつかしていた時だ。 そのおかげで、自民党は政権奪還の足がかりとなる、参議院第1党の地位を取り戻した選挙だ。

安倍政権(第2次)で最初の参議院選挙となる2013年選挙では大勝するが、これが1人区のマジックだということは、かつて私が分析して見せたことだ。 大して得票数はないのに、野党側乱立の結果、当時31だった1人区で、自民党は29で勝ったからだ。 しかし、今回は32の1人区のうち取れたのは21。

勝ってはいるが、前回、前々回との比較で言えば「大負け!」というべきだろう。

これが、共産党による大胆な野党統一候補提案とそれに呼応した野党各党の実行の成果であることはいうまでもない。もし、野党統一候補が全一人区で成立していなかったら、自民党は「単独過半数」を確保どころか、単独で憲法改正の発議ができる162議席に迫る勢いとなり、確実に憲法改正へと進んだことだろう。
憲法改正はあるのか、ないのか
自民党の大敗を覆い隠しているのは、公明党の躍進である。

選挙区で3→4→7と増え、比例は前回同数の7だが総数で3増やし14とした。前々回は総数で9だったので着実に増やしていることになる。ただし、得票数でいうと、前々回は764万票、前回は756万票、今回は757万票なので、実は増えていない。6年前よりは減っているのだ。それでも議席数を増やしているのは、投票率の低下と選挙区(複数区)での薄氷の勝利のたまものだ。

もともと憲法改正には消極的な公明党が、これで憲法改正に「いけいけドンドン」の証明と思って前に進めるだろうか。
 
マスコミの言う憲法改正の発議ができる162万票というのは大阪維新の議席を足しあわせたものだ。大阪維新の松井代表は、自民党の憲法草案は、そのままでは受け入れられないとしており、発議する憲法改正の内容で合意ができるかは微妙だ。9条改憲をすすめ、国家非常事態条項をつくるというような、自民党改憲草案実現を目指す、コアの改憲勢力の勢いは、まだ首の皮1枚で押しとどめたという評価もできる。
意外に健闘している民進党
ボロ負けのように言われている民進党だが、選挙区では意外に健闘した
北海道(3人区)で2人、東京(6人区)でも2人、愛知(4人区)でも2人を当選させた。
野党統一候補も大健闘で、青森、山形、宮城、福島、新潟、長野、山梨では「統一候補」でなければ当選させることはできなかっただろう。
敗れはしたものの、秋田、奈良、愛媛、滋賀などは、本当に僅差の争いだった。
奈良は、大阪維新が候補者を出して11万票をとっており、それがなければ野党側が勝っていた。
ただ全般的に、相変わらず野党は東で強く、西で弱い。
中国、四国、九州では、一騎打ちでも自民党に勝てないところが多い。
それでも、同時に行われた鹿児島県知事選では脱原発を掲げた三反園氏が原発推進の現職を破り、保守王国に風穴を開けた。新しい風が吹き始める予感だ。
残念な平和派市民の迷走
今回の参議院選挙では、野党の統一候補実現という大きな成果があったのと裏腹に、戦争法反対、憲法改正阻止にはやるばかりに、全く逆の結果を生み出しかねない残念な行動があった
その主体となっている人たちが友人であったり、本来は信頼に値する方々だったりしたために、私個人としてなかなか波紋を引き起こすような発言ができなかったが、結果は想像どうりとなった。

まず三宅洋平である。

今回は25万票で、前回比例区で獲得した票よりは多いということを評価すべきかどうか。 彼は人は集めるが票は集められないようだ。大群衆が集まっているのに報道しないマスコミが悪い・・というような言い方で、これを済ませてはいけないのではないか。なぜ、あのやり方では票が集められないのか真剣に考えるべきであろう。

そして「国民怒りの声」。

小林節さんの怒りの気持ちはよくわかるが、これでは逆で安倍政権の後押しである。しかも44万票と「支持政党なし」よりも票が少ないとは・・。まったく選挙のなんたるかも、方法論もご存じなく無謀な挑戦をされたとしか思えない。これがどういう結果を引き起こしたかを見てみよう。民進党の比例区候補だ。

当選者を上から順に見ると、電力総連、自動車総連、電機連合、有田芳生をおいて、ゼンセン同盟、郵政グループ、そのあと自治労、日教祖・・と続く

何を言いたいかお分かりだろうか。上位はみんな旧同盟系。原発問題でいうと原発推進派である。
かろうじて自治労以下が脱原発。そして、これまで市民のために、協力してくれたこともある、現職、元職たちが続々落選しているのがわかる。

民進党の比例代表で当選者として残るには、最低20万票が必要と言われていた。ところがそのラインに届いたのは、電力総連、自動車総連、電機連合の3候補だけ。あとは軒並み20万票割れで、16位以下は10万票にも届かず。

この候補者たちの10万票はどこに消えたのだろう。

脱原発や人権問題、あるいはTPP反対で、本当は当選して欲しかった大事な候補者たちを引きづり落としたのは・・誰。

残念ながら「国民怒りの声」は、たった44万票とはいえ、民進党内順位を撹乱し、必要な人を引きづり落としてしまう効果はあったようだ・・と言わざるを得ない。
「怒りの声」に票を投じた有権者たちは、「支持政党なし」にわけも分からず投票するような有権者たちとは明らかに違うのだから。
結果的に、マスコミが言うところの「自民党大勝」に、多少の貢献はしてしまったと言わざるを得ないのだ。
最後に「統一候補」の難しさ
「支持政党なし」は、ほとんど棄権と同じだ。
自民・公明の別働隊などと言われたりするのも、莫大なお金(供託金だけで6千万円。他にポスター代やら何やら・・。)をかけて、人々を投票所に行かせて棄権と同等なことをやらせるという手の込んだ詐欺的な作業だからだ。

「国民怒りの声」や「新党改革」なども、もしかしたら同じことになる。だから、少しでも「有効な投票を」ということになるわけだ。

では、選挙区(1人区)で、絶対通りそうにない候補に投票するのはどうか。今回でいえば、群馬、栃木、福井、石川、富山など。そして中国地方、九州地方にはごろごろある。頑張れば勝てるのは、32の1人区のうち17か18だ。

四国の香川では、唯一の共産党候補による野党統一が実現したが、15万票差のダブルスコア以上で自民党候補に負けた。

他の野党が果たして、共産党候補のために本当に選挙活動をしたのかなとも思う。

この香川では2007年選挙では民主党が自民党に勝っている。その次の2010年には負けはしたが4万票差、2013年には7万票差と広がっている。2010年も2013年も共産党候補の票は3万票あまりなので、単独で10万票は取れない。他の野党の応援があったことは明らかだ。でも3年前には民主党だけで15万票近くを取っており、かなりの票が動かなかったと見るべきだ。

本気での野党共闘になっていない。これは申し訳ないが、共産党候補という候補者に起因することかも知れない。

勝つにはどうすれば良いのか。私たちはもう少ししたたかになる必要がある。

今回の候補者選びに、私たちは口出ししなかった。
政党間協議に任せたのである。 しかし、これは有権者側にとって「正しい姿勢」だったのだろうか。 他人事ではなく自分事に出来ていたのか・・という反省もある。

鹿児島県知事選では、絶対勝てるはずがないと思っていた挑戦を挑み、なんと勝ってしまった。
この伏線は前回選挙で、絶対に勝てない戦いに挑戦した候補者の存在だ。

原発の再稼動の是非という大きなテーマもあるが、有権者が他人事にしないこと、自分事として、最初は勝てなくても、少しずつ、少しずつ、票差を詰めていくことなのだなあということを教えられる。

みずから「候補者の候補者」を出し合い、議論し決めていくところから、民主主義ははじまるのではないだろうか。どんな候補者が良いのか議論し、出し合い、その中で「政治への意識」を鋭くして行きたい。

選挙はけして人気投票じゃない。(引用ここまで)
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日本をどうやって守るのだ!と憲法改悪を正当化する前に国民の命・財産・安心安全を切れ目なく守っているか!

2016-07-16 | 社会保障

憲法第13条・第25条の国家責任を放棄して

自己責任論・自助論イデオロギーを振りまき

国民を殺している国家!

憲法の言葉が活かされていない日本!

何故か!?

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

 自助論・自己責任論を吹聴して得をしているのは?

自助論・自己責任論で損をしているのは?

生活保護申請直後に一家心中、

行政の責任論だけで語れない深層

みわよしこ [フリーランス・ライター] 【第56回】 2016年7月15日

http://diamond.jp/articles/-/95683

2015年11月、困窮の末に生活保護を申請した高齢の夫妻と娘の一家3人が、申請から4日後に入水心中を試みた。なぜ、一家は保護開始を待てなかったのだろうか? 生き残った娘は、どのような判決を受けたのだろうか?

生活保護を申請した一家は

なぜ4日後に一家心中を決行したのか?

なぜ親子3人は利根川で入水自殺しなければならなかったのか

2016年7月10日の参院選は、改憲勢力の圧勝に終わった。私が最も気になるのは、日本国憲法第25条に定められた「健康で文化的な最低限度の生活」の今後だ。

何らかの理由によって実質的に「使えない」あるいは「使いにくい」社会保障・社会福祉は、人を殺す。あるいは人を傷つけ、部分的に殺す。これは「言葉のアヤ」ではなく、現在の日本で、現実に起こりつづけている出来事だ。

今回は、2015年11月に埼玉県で発生した一家心中未遂事件と、生き残った娘・Nさん(47)に対する裁判および判決を、生活保護ケースワーカー経験・社会福祉を専門とする大学教員経験を持つ寺久保光良氏のコメントとともに見てみよう。

2015年11月21日、Nさんは、認知症の母親(当時81歳)・頚椎圧迫から歩行が困難になっていた父親(当時74歳)とともに利根川で入水自殺を図った。両親は溺死したものの、Nさんは死にきれず生き延び、裁判の被告となった。産経新聞記事には、Nさんに父親が「一緒に死んでくれるか」と切り出し、入水したとき母親が「冷たいよ、死んじゃうよ」と抵抗したことなどが、生々しく紹介されている。

Nさんは、事件4日前の11月17日、居住地の市役所に生活保護を申請した。

74歳の父親は、バイクに乗って新聞を配達する仕事を続けていたが、入水自殺した2015年11月に退職。頚椎圧迫による運動障害で、バイクに乗れなくなったからだ。11月末には手術を受ける予定となっていたが、唯一の稼ぎ手を失った一家が父親の手術などの医療費を支払い、ついで今後の生活を維持するためには、何があればよいだろうか? もしも満額の老齢基礎年金があったとしても、生活保護を利用しないわけにはいかないだろう。そして、両親は無年金高齢者だった。

Nさん自身も、「働ける」と言える状態ではなかった。Nさんは高校中退後、就労していたりしていなかったり。記事には「仕事中に人の目が気になる」という記述がある。安定した就労を継続するにあたっての障壁が、何かあったのかもしれない。また2003年、母親が認知症など高齢に伴いやすい病気を患って以後、Nさんは献身的な介護を続けていた。3年前からは全く就労せず、母親の介護に専念していたという。

唯一の働き手であった父親が働けなくなった一家。介護・看病を必要とするのは両親の2人となり、担い手はNさん1人。一家が生き続けるためには、社会保障・社会福祉の利用しかないだろう

もちろん、そんなことは本人たちが最もよく理解していたはずだ。Nさんは11月2日、父親が退職する前に市役所を訪れ、生活保護の申請について相談した。市役所職員の説明を受けたNさんは、その日のうちに母親の要介護認定の手続きをしたという。Nさんが実際に生活保護を申請したのは、約2週間後の11月17日だった。父親が一家心中について口にしたのは、翌18日のことだった。

さらにその翌日、生活保護申請から2日後の19日、市役所職員は、実情を調査するために自宅を訪れている。私には、かなり速い対応であったと感じられる。Nさんが申請した時点で、一家の状況の深刻さは認識され、「早期の調査と保護決定が必要」と考えられていた可能性もある。遅くとも14日後の12月1日までには、「一家の誰も知らなかった先祖の遺産2000万円が見つかった」といったことでもなければ、保護開始となっていたはずだ。

しかし、一家を心中に踏み切らせる直接のきっかけとなったのは、皮肉にも、市役所の迅速な対応であった。

なお、市役所の対応は、雨宮処凛氏の記事「利根川介護心中未遂事件?『本当は生活保護なんて受けたくなかった』。逮捕後、三女が漏らしたという言葉の意味」に詳しい。本文中で雨宮氏も指摘しているとおり、むしろ良心的かつ迅速な印象を受ける対応だ。

救いの糸だったはずの生活保護

市役所からの調査が心中の引き金に

生活保護を開始するにあたってNさん一家の状況を調査するために訪れた市役所職員は、特に何か、嫌がらせめいたことをしたというわけではなさそうだ。前掲・産経新聞記事によれば、訪問調査の様子は、次のとおりであった。

 『翌19日、申請を受けて市役所職員が生活保護受給の審査のために自宅を訪れた。家族の生い立ちや、これまでの自分の生活を細かく聞かれた。

「仕事を転々として、高校も中退で惨めだと思ったけど、父も同じような感じで。親子で似たような人生だと、また惨めに思った」。

唯一の希望となるはずだった生活保護だったが、N被告はこの訪問をきっかけに「死ぬ日を早めよう」と決めたという

この記述からは、市役所職員(生活保護ケースワーカーまたは相談員であろう)が、圧迫感を与えず不愉快な思いをさせないように配慮を重ねて、淡々と生活歴の聞き取りを行っていた可能性が高いと思われる。しかし、もしもそうであったとしても、相手がそう感じるとは限らない

生活保護申請の場面で、申請した本人が行政に開示を求められる経歴や情報には、本人が「誇れない」「できれば語りたくない」「恥ずかしい」と思っていることがらが、かなりの確率で含まれる。しかし、語らなくてはならない。

市役所職員に尋ねられてNさんが語るのを父親が聞き、父親が語るのをNさんが聞き、二人が母親について語るのを互いに聞く数時間は、Nさんが「惨め」と繰り返すように、必死に寄り添ってかばい合って生きてきた自分たち家族が世間から見てどのような存在なのか、「世間目線」で再認識させられる残酷な時間であっただろう。

この訪問調査について、

元生活保護ケースワーカー・元山梨県立大学教授の寺久保光良氏は、

 「生育歴を根掘り葉掘り聞かれることで、彼女の自尊心が余計に傷ついてしまったのでは

 「生活状況や資産を聞いて必要か否かを判断すれば十分。さまざまな過去を抱える人がいる中で、聞き取り時は利用者への配慮が必要

とコメントしている(2016年6月24日、埼玉新聞記事。Web未掲載)。

次のページ>>  あまりにも「上から目線」の判決文


また2016年6月21日、初公判での被告人質問を報道した朝日新聞記事も、「生活保護調査『惨めになった』 利根川心中、三女初公判」と、生活保護開始までの調査が申請者を傷つける可能性をタイトルで訴え、さらに記事中で

 『生活保護で「お金の面は何とかなる」と考えていたが、父の病状悪化で悲観的になったと供述し、「母だけ残しても可哀想だし、家族一緒じゃないと意味がないと父に言われた。一人生き残って申し訳ない」と述べた

と、父親の病状悪化で悲観的になっていた当時の心情、さらに父親が「家族一緒じゃないと意味がない」という考えの持ち主であったことを紹介している。一家心中へと至ったのは、これらが最も不幸な形で複合してのことであろう。

あまりにも「上から目線」の判決文

求刑の懲役8年に対し、弁護側は執行猶予が妥当と訴えた。しかし、懲役4年の実刑判決が下った。

判決文には、

 「本件犯行に至る経緯、動機には、酌量すべきものがある。そうであるとはいえ、社会的な援助を受けて生きることもできたのに、認知症であったにせよ死ぬことに同意したわけではない母の殺害と、父の自殺をほう助する決断をした上、自ら心中の実行時期を早め、(略)主体的かつ積極的に本件犯行を行った被告人は、生命を軽視していたものといわざるを得ず、(略)相応に非難されなければならない

とあり、さらに「酌量減軽を検討すべき事案であるといえるが、執行猶予に付すべき事案であるとまではいえない」としている。

引用した判決文を一読して、私は怒りのあまり言葉が出なかった。

アンダーラインは、特に怒りを覚えた部分だ

背景には、生活保護を「恥」とする意識や家族主義がある。

一家の生活の中で、おそらくNさんの無意識のレベルに深く植え付けられたそれらの意識や考え方が、「主体的」「積極的」にNさんが獲得したものであるはずはない。

「一緒に死んでくれ」と父親に言われたNさんが逆らわなかったことを考えると、一連の出来事は

 「世の中からは『隠された』存在である一家が、強固な『血のつながり』による絆で結びついており、絆ごとブラックホールに飲み込まれようとしていた。最後の力を振り絞って『隠されていない』世界の生活保護に救いを求めた一家は、『隠されていない』世界の眩しい光とエネルギーによって『隠された』世界へと強く跳ね返され、心中に追いやられた

と解釈すべきではないだろうか? この視点からは、裁判と判決も

 『隠されていない』世界が、『隠されていない』世界の規範で、『隠された』Nさんの『隠された』ゆえの悲劇を裁いた

と見ることができる。

このことは、社会学用語の「サバルタン」を用いて説明することもできるのだが、正直に白状すると、何度か判決文を読みなおした私は、心のなかで「一体何様? 何だよ、そのエラソーな上目線は」と叫んでしまった。

なお、Nさんは亡くなった夫妻の三女にあたり、姉が2人いる。しかし結婚している姉たちに、母親の介護や仕送りを行う余裕はなかった。Nさん一人が「血縁」の結界から離れられなかったゆえの悲劇、とも見ることができる。もしもNさんが両親のもとを離れていれば、両親は地域・行政が支えるしかない。もしもそれが可能だったら、「他人行儀」が同時にもたらす風通しによって、親子3人での心中という悲劇は避けられたはずだ。

 

「社会的な援助」は絵に描いた餅

なぜ、そうなってしまうのか?

もちろん、一家心中(未遂)より、「社会的な援助を受けて生きる」の方がより望ましい。問題は、どの程度の実現可能性があったかだ。

雨宮処凛氏による記事「参院選と、利根川一家心中事件の裁判。」には、

 「介護保険料を払っていなかったことから、介護サービスに引け目を感じていたこと、お金がないから母を施設に入れられないと思っていたことも裁判で明らかとなった

とある。Nさんの両親は無年金だったため、介護保険料が「天引き」で徴収されていたわけではない。

介護保険料を1年以上滞納すると、介護サービスの利用料は、いったん全額自費負担となる。後に9割が返還されるのではあるが、困窮により介護保険料を払えない家庭にとっては、実質「介護保険は使えない」ということになる。

 「保険料を払っていないないのに使えている」という人が目立つようでは、「だったらバカらしいから保険料を払わない」という人々が増え、保険制度は維持できなくなる。

だから、未納・滞納に対する制裁の存在を、一概に「悪」とするわけにはいかない。

この点は、「何かを払っている」を前提としない生活保護のような「扶助」と「保険」が大きく異なるところだ。

しかし、「保険」の保険料を払えない人々のためにあるのが「扶助」だ。健康保険料・介護保険料・年金保険料を長期に未納・滞納のままにせざるを得ない人々にとっての救いの糸は、日本のほとんど唯一の「扶助」、生活保護しかない。

Nさん一家が施設入所も含め、介護保険を利用できる道は、生活保護しかなかった。生活保護のもとでなら、介護保険が未納でも、支払うべき費用の全額が生活保護の介護扶助の対象となる。

問題は、Nさんと父親が、「介護と医療の費用も、生活保護を受ければ心配しないでよくなる」ということを理解できるように説明されていたかどうかだ。

市役所職員が

保護開始になるという前提で申し上げますと、とにかく、介護や医療について、お金のことは心配しなくていいんですよ

と何回も繰り返して、やっと「安心していいのかも」と思われるかどうか、というところだろう。

さらに気になるのは、生活保護について、Nさんが「惨め」と繰り返したことだ。

困窮状態にあって、保険を利用することが実質不可能で、したがって生活保護しかないという状況の人々は、さらに生活保護のスティグマ感(烙印感・恥の意識)を乗り越えて、申請し、保護開始となって、やっと生活保護で暮らすことが可能になる。

困窮している人が、困窮によって「惨め」「恥ずかしい」という思いを募らせ、「恥を受け入れるか、生きるのを諦めるか」の究極の選択を迫られる。これが、まっとうな先進国の姿だとは、私には思えない。

次回は、両親の介護がきっかけとなって離職・住宅喪失、さらに生活保護を必要とするに至った男性に、たどって来た道・現在・思いを語っていただく予定だ。ブランド企業に勤務する企業戦士であった男性は、介護によって、どのように「生活保護しかない」という状況に至り、そして脱却したのだろうか?(引用ここまで 

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時事と共同の出口調査にみる改憲世論を検証すると中身のない「憲法改正」論のデタラメが浮き彫りになる!

2016-07-16 | 安倍式憲法改悪

「憲法改正」と訊かれて何を連想するか!

偽装・偽造やらせの「憲法改正」「風評」づくり

既成事実化の「弊害」が浮き彫りに!

国民の真の願いを全く無視をした

世論調査の弊害と姑息な策略浮き彫り!

疑似民主主義の世論誘導装置の世論調査は

真の民主主義とは言えない!

「改憲政党」支持者でも「改憲反対」が多い!

「改憲反対政党」支持者でも

「改憲賛成」がわずかだが存在する!

「憲法改正」「分からない」34.4% に浮き彫り!

 抽象的・感情的・感傷的「憲法改正」論に基づく

世論調査先行で

「憲法改正」を既成事実化してきた負の歴史を断罪!

憲法を活かす政治をサボってきた政治を断罪しない

情報伝達手段と政党を免罪する「憲法改正」論の

破たん浮き彫り!

実際の政治・暮らしに

憲法が活かされているか、否か

問わない世論調査の弊害浮き彫り!

 改憲反対は36%=賛成は3割切る

出口調査【16参院選】

時事通信 2016/07/10-21:41

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016071000255&g=elc&relid=1_2

時事通信が10日の参院選出口調査で、憲法改正の是非について尋ねたところ、

「賛成」が29.6%だったのに対し、

反対は36.0%で約6ポイント上回った。

「分からない」との回答も34.4%に達し、

改憲への理解が有権者に広がっていない実情が改めて浮き彫りとなった格好だ。

民意を読み誤るな

自民党は参院選後、衆参両院の憲法審査会で具体的な改憲条項の絞り込みに入りたい考え。

ただ、首相(党総裁)が重視する国民投票で、過半数を得られるめどが立っているとは言い難い情勢で、同党は慎重な国会運営を強いられそうだ。

「賛成」を選んだ有権者の比例代表での投票先を聞いたところ、

最多だったのは自民の59.6%。次いで、おおさか維新の13.4%公明の8.9%民進8.2%共産2.5%こころ2.5%となった。

一方、「反対」の有権者の投票先は、民進がトップで36.4%。以下、共産20.5%自民15.0%おおさか維新7.2%公明6.3%社民5.2%だった。()


安倍政権下で改憲反対」50% 共同通信出口調査

東京 2016年7月11日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201607/CK2016071102000186.html

写真

共同通信社は参院選で、投票した候補者名や政党名を有権者に質問する「出口調査」を全国で実施した。

「安倍晋三首相の下での憲法改正」について賛否を聞いたところ、

反対が50・0%に達し、賛成は39・8%にとどまった。

女性は賛成34・6%に対し反対52・6%

男性は賛成45・0%反対47・3%だった。

男女を合わせた年代別で

反対の最多は五十代の53・4%。四十代と六十代も50%を超えた。

賛成は二十代の48・0%が最も多く、十代の46・8%、三十代の45・3%と続いた。

支持政党ごとの比較では

自民党賛成70・6%反対20・8%に対し、

公明党賛成が48・5%で、反対は39・6%に上った。

与党支持層の間で、改憲への温度差が浮かび上がった

自民賛成が最も多かったのは二十代の72・7%。十~四十代はいずれも賛成が70%を超えた。

公明賛成が50%を超えたのは四十代の51・2%のみだった。

「改憲勢力」

おおさか維新の会は、賛成が46・4%で、反対の48・5%とほぼ拮抗(きっこう)。

日本のこころを大切にする党は、賛成51・3%反対44・0%だった。

安倍政権下の改憲阻止を唱える野党のうち、

民進党反対が86・0%で賛成の9・3%を圧倒。四十代以上でいずれも反対が80%を超えた。賛成が最も多かったのは十代の22・3%だった。

他の野党でも

反対共産89・4%、社民84・7%、生活85・7%を占めた。(引用ここまで)

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生前退位のNHK報道の真相を曖昧に既成事実化容認の全国紙社説だが政治利用には全く不問!

2016-07-16 | 天皇制

天皇は内閣の助言と承認により国民のために

この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ

①  憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。  国会を召集すること。  衆議院を解散すること。  国会議員の総選挙の施行を公示すること。  国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。  大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。  栄典を授与すること。 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。  外国の大使及び公使を接受すること。  儀式を行ふこと

朝日 生前退位/象徴天皇考える契機に 7/15 6:00

毎日 天皇陛下のご意向/国民全体で考えたい 7/14 4:00

読売 天皇「生前退位」/ご意向忖度して広範な議論を 7/15 8:00

日経 生前退位は静かな環境で議論深めたい 7/15 4:00

産経 陛下「生前退位」/ご意思うけ真摯な議論を 7/15 6:00

東京・中日 天皇「生前退位」/お気持ちを尊重したい 7/14 8:00

「生前退位」問題を発信したのは誰か!

曖昧にして既成事実化容認と推進を謀る!

朝日 象徴天皇としての役割を決してゆるがせにしない。今回のご意向にもこうしたお考えがうかがえる。 こうした状況下で陛下の考えが伝えられた。かつて秋篠宮さまの会見で「定年制」が話題になったこともあり、本来、政府や国会の側から議論をおこさなければならない課題だった。そんな思いを抱きつつ、これを機にぜひ検討を進めたい。

毎日 天皇陛下が「生前退位」のご意向を周囲に示されていることが明らかになった。82歳の陛下は、象徴天皇として憲法に定められた国事行為など公務を行っているが、ご高齢などで差し支えが生じる前に、天皇の位を皇太子さまに譲るお考えとみられる。

読売 天皇陛下が、皇太子さまに皇位を譲る「生前退位」の意向を持たれていることが分かった。宮内庁は、陛下が退位の意向を示されたことを否定している。象徴天皇である陛下が生前退位を口にされることは、政治的発言と見なされかねないためだろう。生前退位は、象徴天皇としての務めの重さと年齢について、考え抜かれた末のご意思だろう。お気持ちを忖度し、議論を重ねていくことが大切である。ご高齢の陛下の健康を気遣う国民の理解も得られよう

日経 現在82歳の天皇陛下生前に皇太子さまに皇位を譲り、退位する意向を持たれているという。周辺を通じて明らかになった。改めて日本の皇室のあり方を考える機会である。国民的な議論を深めていきたい。

産経 天皇陛下が、天皇の位を生前に皇太子さまに譲る退位の意向を示されていることが分かった。常に国民のために祈り、共に歩まれてきた陛下のご意思を受け止め、皇位継承のあり方にかかわる問題を真剣に考えていかねばならない。退位のご意向には、天皇の仕事は天皇自らが全うすべきだとの強いお気持ちを感じる。

東京 天皇陛下が「生前退位」の意向を示されていることが明らかになった。憲法にいう象徴としての務めを十分果たせる者が天皇の位にあるべきだとの考えなのだという。そのお気持ちを尊重したい。

象徴天皇として憲法に定められた「国事行為など公務

戦後自民党政権は

「内閣の助言と承認」の名の下に

「国事行為」と「公務」を曖昧にして

憲法違反・天皇の戦争責任を隠ぺい・不問にして

「象徴天皇制」を「定着」させてきた!

情報伝達手段のマスメディアも同罪だ!

朝日 82歳の陛下は、憲法が定める国事行為のほか、被災者のお見舞いや戦没者慰霊などで、皇后さまとともに精力的に各地を訪ねている。その姿に多くの国民が敬意と共感を寄せながら、体調を崩さないよう、祈りにも似た気持ちで見守ってきた。公務の削減も行われてはいるが、天皇の地位にある以上、責務を十全・公平に果たしたいという陛下の強い気持ちがあり、なかなか進んでいない。

毎日 常に国民とともにありたいとする姿は、大災害時など、被災者の悲痛に寄り添うように慰問し、手を握り、ひざを接して励まされる光景に象徴される。また、戦争がもたらした深い傷に思いを向け、国内外の戦跡慰霊の旅を続けられてきた。昨年はパラオ、さらに今年はフィリピンを訪れ、祈りをささげられている。ご高齢の陛下にとって負担は軽くはない。昨年は両陛下で約270件あった要人らとの面会を今年から減らし、見直すなど公務の軽減が行われているが、まだ十分ではない。陛下は行事でのお言葉でも推敲を重ねられ、事前の知識吸収も熱心であるという。また、従来の慣行にとらわれない柔軟な発想もされてきた。ご自身と皇后さまについて、将来の葬儀において従来の土葬ではなく火葬にし、お二人の陵を寄り添うようなかたちにすることを望まれたのもその一例だろう。これは一般の国民の目から見ても自然な家族観と受け止められた。 昨年12月、82歳の誕生日を迎えるに当たって、陛下は「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」「一つ一つの行事に注意深く臨むことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」などと述べられている。

読売 陛下は、公務に強い責任感をお持ちだ。今年もフィリピンへの慰霊の旅や熊本地震の被災者訪問などをこなされている。一方で、陛下は昨年末の記者会見で、行事の際の手順で「間違い」があったことや82歳という自身の年齢について言及された。

日経 陛下は55歳で即位された後、憲法に定められた外国の大使や公使の接受といった国事行為に加え、「国民に寄り添い、ともに歩む」というお考えから、数多くの災害の現場を訪れ、被災者を見舞われてきた。膝を折って避難所でお言葉をかける姿に、多くの国民が心を打たれている。さらに、第2次世界大戦の犠牲者を追悼し、平和を祈念するため、昨年はパラオ、今年になってフィリピンと海外の激戦地にも慰霊の旅を重ねられた。強い責任感、義務感で激務をこなされてきたが、高齢の陛下の負担を懸念する声はかねて宮内庁関係者や国民の間にもあった。陛下自身も加齢による体の変化について、昨年末の記者会見で「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と語られている。陛下は数年前には、公務の負担軽減について否定的な趣旨の発言をされたこともあった。今回、周辺に伝えられた生前退位の意向は、象徴天皇としての役割を遂行することの重要さと、自らの体調の変化を考慮し抜かれた末の判断とも思える。欧州では2013~14年にかけ、オランダやスペインなどで高齢や健康への不安などを理由に国王が生前退位した例がある。場合によっては摂政を置き、天皇の国事行為を代行することは可能だが、陛下のこれまでの発言からは「体が続く限り公務に当たり、できなくなった時には次へ譲る」とのお考えがにじみ出ているようにも見える。

産経 陛下は82歳というご高齢だ。平成15年に前立腺がんの手術、24年には心臓のバイパス手術を受けるなど大きな病を経験された。体力の衰えを感じながらも陛下はご公務を精力的にこなされてきた。皇后さまとともに、先の大戦における戦没者への「慰霊の旅」を続け、戦後70年の昨年はパラオ、今年1月にはフィリピンを訪問された。大災害では被災地に直接足を運ばれる。避難所で膝をつき、被災者を励まされるお姿に国民は勇気づけられた。一方で、陛下は昨年12月のお誕生日を前にした会見で「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と率直に語られている。ご公務の負担軽減は長年の課題で、宮内庁は外国賓客などとのご面会を減らしてきた。深夜に及ぶことがある宮中祭祀も、一部ご負担の軽減が図られてきた。しかし、陛下でなければできないご公務がある。式典へのご臨席の数も、公平性を重視して簡単に減らせない事情があった。陛下は皇室の伝統を守りつつ、時代の流れを踏まえたお考えや行動で、広く国民の敬慕を集めてこられた。公務や祭祀を陛下は極めて大事に考え、負担軽減について心苦しく思われているという。

東京・中日 八十二歳と高齢となった今も、憲法に定められた外国大使らの接受などの国事行為をはじめ、戦没者慰霊の旅や、大規模災害の被災地訪問など、皇后陛下とともに多くの公務をこなされている。戦後、本土と切り離され、七二(昭和四十七)年まで米軍統治下にあった沖縄県を繰り返し訪問しているのも、憲法に定められた「国民統合の象徴」としての役目を誠実、かつ精力的に果たされているからだろう。ただ、高齢に加え、心臓冠動脈のバイパス手術や前立腺がんの手術も受けている。公務の負担は重く、年齢に応じた公務の見直しが行われてはきたが、公平性の観点から抜本的な負担軽減には至っていないのが現状だ。天皇陛下ご自身も昨年暮れ、八十二歳の誕生日を前にした記者会見で「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました」と、老いや間違いを率直に認めている。天皇陛下の負担軽減には憲法に基づき、天皇の名で国事行為を行う「摂政」を置く方法もあるが、天皇陛下が摂政ではなく、生前退位の意向を示されたのは、国事行為や公務は、天皇自らが行うべきだとの強い気持ちと推察する。

国政に関する権能を有しない

象徴天皇制の天皇の地位は国民の総意に基づく

朝日 象徴天皇としての役割を決してゆるがせにしない。「天皇は神聖にして侵すべからず」の明治憲法の下、旧皇室典範は退位の規定を設けなかった。いまの典範が戦後つくられたとき、退位の是非も論点になったが、結局見送りとなった。天皇に重大な事故があった場合などは、摂政をおいて対応するきまりになっている。立場上、基本的人権にさまざまな制約が課せられているとはいえ、陛下もひとりの人間として尊重されてしかるべきだ。もちろん、天皇は国民統合の象徴であり、その地位は国民の総意に基づく。退位に道を開くとすれば、その要件や手続き、「前天皇」の地位をどう定めるかなど、課題は少なくない。議論の過程を透明にし、これからの天皇や皇室のあり方について、国民が考えを深める環境をととのえる。政府、そして、国民を代表し、唯一の立法機関として最終判断を下す国会には強くそのことを求めたい。

毎日  陛下は現行憲法下で初めて象徴天皇として即位し、そのあるべき姿を常に希求されてきた。今回明らかになったご意向も、「国民とともに歩む」象徴天皇としての観点から熟慮した、強い責任感の表れであろう。 象徴天皇としての役割を決してゆるがせにしない。今回のご意向にもこうしたお考えがうかがえる。

読売 退位を可能とした場合、天皇の自発的意思によらない強制退位が政治的思惑などによって起きる恐れを排除できない。天皇が望んだとされるケースでも、真意を確認するのは難しい。生前退位にはこうした問題点もあるからだ。皇室制度の根幹に関わる問題である。政府は担当チームを設け、水面下で検討を進めているというが、今後は有識者会議などの場で幅広く意見を求めるべきだ。まずは、陛下にかかる公務の負担をどこまで軽減できるのか、見極める必要がある。皇室典範は、天皇の公務などを代行する摂政を置くことを認めているが、天皇が重病になった時などに限られている。この要件を緩和し、陛下が退位しないまま、皇太子さまが摂政として公務にあたる選択肢はないのか。仮に生前退位を可能とする場合には、退位後の地位が検討課題となる。皇太子さまが新たな天皇に即位されると、秋篠宮さまが皇位継承順位の1位となる。その場合、皇太子は不在だ。皇室の将来を考えれば、秋篠宮さまの長男、悠仁さまの誕生で途絶えている女性天皇・女系天皇の議論も避けて通れない。

日経 いずれにしろ、退位となれば元号も変わるなど社会的、経済的な影響は避けられない。退位後の尊称や公務内容といった論点もあり、国会の場での幅広い意見の交換が欠かせない。象徴天皇制は戦後日本の平和と繁栄の支柱であったと言っても過言ではない。末永く守り続けるべく、静かな環境のもとで慎重な議論を求めたい。

産経 歴代天皇の歴史で譲位の例は少なくない。しかし、明治期に制定された旧皇室典範では皇位継承は天皇の崩御が前提となり、譲位の規定はなかった。現行の皇室典範には、この考え方が踏襲された。国家の基本にかかわり、憲法を改めるに等しい重要な事柄である。法改正を要し、同時に解決すべき課題もある。検討にあたっては、陛下のご意思を尊重しつつ、慎重かつ丁寧な作業が肝要である。皇位の安定的継承は国民の願いだ。その歴史を未来に引き継いでいくことに英知を尽くしたい。  

東京 日本国憲法は第一条で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と定める。天皇陛下の負担軽減には憲法に基づき、天皇の名で国事行為を行う「摂政」を置く方法もあるが、天皇陛下が摂政ではなく、生前退位の意向を示されたのは、国事行為や公務は、天皇自らが行うべきだとの強い気持ちと推察する。憲法を誠実に守られる気持ちを真摯に受け止めたい。憲法は皇位について「国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めているが、生前退位は、皇室典範に規定はなく、典範改正が必要になる。国会での落ち着いた環境での慎重な議論が必要となろう。

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