「翁」の“どうどうだらり……”の如く、古人の代にして既に意味が通じなくなってゐる古文古語はいくつもあるやうで、今日ラジオ放送された寶生流「女郎花」の主題“女郎花のくねる”も然り。

通ひ婚の時代、男の足が遠のひたことを嘆ひた女は川に身を投げて命を絶ち、女を葬った跡に生えた女郎花が自分を避ける様を見た男は嘆きのあまり同じく川へ身を投げる──
かくの如く、相手を信じたいがゆゑの究極の選択が、“女郎花のくねる”の真意云々。
女は川に身を投げた時點で、結局は相手を信じられなかったと云ふことだ。
嗚呼、愛とは苦しく、そして烈しいもの──
「あたしゃ、そんなの真っ平ゴメンだね……」
私はハッキリしたものだけを信じ、愛する。
さう、
自分自身と、
お・か・ね。