迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

緩寒暖談。

2024-03-16 19:33:00 | 浮世見聞記


神田駿河薹で、大寒櫻がだいぶ笑ひ始めたのを見る。



今年の櫻の開花は三月最終週云々、その前に再び寒の戻り云々、



一進一退で春は訪れる云々、一歩さがって二歩進む、か。



その先の神保町古書街で、古書一冊のために参千圓を遣ふ。



良い資料を少しでも安く手に入れやうとの貧乏魂胆で足を運ぶ私らしくもないことだが、その一冊は前回見つけた時はそのお値段ゆゑに諦め──但しそれだけの値打ちのある一冊ではあった──、しかし時を經て、無用意な私の前へ不意討ちで再び現れる。

これはもふ御縁だ……。

たぶん、三度目はないだらう。

おかげで薄い財布はさらに薄くなったが、しかし心は充實感で膨らんだのだから、それは生きた参千圓だったのだ。



三月十六日は鐵道のダイヤ改正實施云々、



トウキョウ圏のJR線では通勤電車の快速が消え行く一方で、北陸新幹線の金澤から敦賀までの延伸が、話題の中心云々。



……しかし、當地の人々には惡いが、今回の延伸區間は特に何か大きな呼びモノがある土地ではない。 



開通は全く未定のやうだが、やはり京都まで全通して、東海道線新幹線の“第二ルート”の機能を果してこそ、北陸新幹線は真価を發揮するやうに思ふ。


先月下旬に信州上田を旅行した際、信越本線の橫川~輕井澤間の“碓氷峠越え”が未練がましい遺跡をのこして廢線となってゐるため、仕方なく東京から上田までの片道だけ件の新幹線を利用したが、時期と時間帯のマズさも手傳って混雑繁盛満員御禮、這ひ出すやうに上田驛で“脱出”して、



第三セクター化した旧信越本線の“しなの鐵道”115系に乗り換へた時は、



その快適なガラ空きぶりに、やっと人心地ついたものであった。 



私にとって、やはり鐵道の旅はかうでありたい。












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