
大田區東雪谷の雪ヶ谷八幡神社を参拝す。
謂れ因縁故事来歴については“お仲間”に譲って私は省略、境内にはこの社にゆかりのある橫綱大鵬が奉納した「出世石」が、いかにも力士らしい風情で一際目をひく。

橫綱に出世できたのも當社のおかげと、大鵬が感謝をこめて奉納云々、努力と實力と、なにより“運”と云ふ最大の援護があって名は成せるものなればこそ、それは一握りといふ希少価値を持つ。
私のやうな面倒くさがりには、しょせん縁の無い話し。
現在(いま)の生き方に大して不満もないのだから、ムダな高望みなどしないに限る。
……のくせに、神前で「シアワセになれますやうに」などと、その一握りに一縷の望みを掛けてゐる哀れなオトコが、ここにゐる。