「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

愛国心と修身教育の評価法

2007-05-08 05:27:29 | Weblog
道徳教育の評価法をめぐって”甲論乙駁(ばく)”なことをテレビで知った。
大方の意見は他の学科と同じような評価は出来ない、ということのよう
だった。戦前、戦中には修身教育があった。その教科書もあったし、通
信簿にも成績が記されていた。僕の記憶では修身の試験はなかった気
がする。どんな基準で評価していたのであろうかー。どうも他の学科がよ
ければ修身の成績もよかったみたいだ。多分当時の先生方も評価に困
ったのだと思う。

昭和20年度の僕の通知表(中学3年)が手元に残っていた。戦前に印刷
されもので、修身は国語、漢文、文法作文、歴史、地理とともに「国民科」
というグループに入っていた。国民として必要な科目ということなのだろう。
しかし、成績の記述はない。一学期は工場動員で授業はなかった。二、三
学期は修身は廃止されたからだ。興味深いのは戦後も「操行」(日頃の行
い)が通知表に残っている。ただ他の学科の評価が秀、優、良なのに対し、
「操行」だけは甲、乙で評価していた。「操行」も評価できるものではなく苦
肉の策だったのであろう。

教育関係者の一部には道徳教育は、戦前の「教育勅語」の復活だと誤解し、
愛国心の度合いをどう評価するのかーと心配している。修身教育にはそんな
基準も評価もなかった。愛国心は国民として当然なことだ。問題は道徳の評
値基準をどうするかといった枝葉の問題ではなく、いま日本人の誰でもが心
配している道徳の荒廃をいかにすべきかである。