首都圏で麻疹(はしか)が流行している。わが"Alma Mater(母校)でも全
学部と大学院が休講となり、1万2千人の学生が19日まで学校を休んで
いる。麻疹といえば百日咳、水疱瘡などと同じように幼児期の病気と思っ
ていたが、最近は成人もかかるようになってきたのだ。
僕は小学校1年の時、麻疹にかかって学校を休んだ。なぜ覚えているかと
いうと、ちょうどそのとき、朝日新聞の「神風号」が東京ーロンドン間を94時
間の記録で飛び日本中が沸き立っていた。僕は病床でこのニュースを聞い
た。昭和12年4月4日のことである。
成人の麻疹罹病(りびょう)率が高くなったのは、幼児期に子供同士の接触
の機会が少なくなってきたからだという説がある。確かに昔に比べて幼児同
士が外で遊んでいる姿を見かけない。母親も自分の子供が病気にかかると、
すぐに学校や幼稚園を休ませる。伝染病の流行防止には、このほうがよい
のかもしれないが、昔流の僕の目には過保護とうつる。
伝染病は幼児期にうつるのがよいのか、それとも成人になって罹病するのが
よいのか知らない。ただ麻疹は幼児病と思い込んでいる世代には、世の中
一般の”幼児化現象”の一つぐらいに見える。
昭和23年、僕が母校に入学したときも母校は6月1日から1か月の休校にな
った。このときは麻疹の流行ではなく、食糧不足からであった。米がなく学生
食堂は閉店、弁当持参もできないほど窮迫していた。この年は結局3か月の
長い夏休みとなった。
学部と大学院が休講となり、1万2千人の学生が19日まで学校を休んで
いる。麻疹といえば百日咳、水疱瘡などと同じように幼児期の病気と思っ
ていたが、最近は成人もかかるようになってきたのだ。
僕は小学校1年の時、麻疹にかかって学校を休んだ。なぜ覚えているかと
いうと、ちょうどそのとき、朝日新聞の「神風号」が東京ーロンドン間を94時
間の記録で飛び日本中が沸き立っていた。僕は病床でこのニュースを聞い
た。昭和12年4月4日のことである。
成人の麻疹罹病(りびょう)率が高くなったのは、幼児期に子供同士の接触
の機会が少なくなってきたからだという説がある。確かに昔に比べて幼児同
士が外で遊んでいる姿を見かけない。母親も自分の子供が病気にかかると、
すぐに学校や幼稚園を休ませる。伝染病の流行防止には、このほうがよい
のかもしれないが、昔流の僕の目には過保護とうつる。
伝染病は幼児期にうつるのがよいのか、それとも成人になって罹病するのが
よいのか知らない。ただ麻疹は幼児病と思い込んでいる世代には、世の中
一般の”幼児化現象”の一つぐらいに見える。
昭和23年、僕が母校に入学したときも母校は6月1日から1か月の休校にな
った。このときは麻疹の流行ではなく、食糧不足からであった。米がなく学生
食堂は閉店、弁当持参もできないほど窮迫していた。この年は結局3か月の
長い夏休みとなった。