「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     明治 大正生れの母親に感謝   

2007-05-14 05:18:23 | Weblog
「母の日」はいつから日本の社会に定着し始めてきたのだのだ
ろうかー。僕には記憶がない。明治26年生れの母親は昭和5
1年、83歳で世を去った。生前、僕は「母の日」に贈物をしたこ
とはなかった。

米国ウェストバージニア州の教師が亡き母親の追悼に白いカー
ネーションを母の勤めていた教会学校へ贈ったのが、そもそも
「母の日」のいわれだという。1907年というから今年で百年。
1914年から米国では5月の第2日曜日が国の祭日となって
いる。母親の日頃の苦労をねぎらい、感謝を捧げるのが目的
だといわれる。

僕は戦後、外国から入ってきた風習はあまり好きではない。”バ
ター臭い”し、”商売の臭い”が強すぎるからだ。だが「母の日」だ
けはよい。年に一回、母親を想い出し、母親に感謝するのは日
本人の気持ちにもマッチしている。

日本では明治、大正生れの母親は一番苦労された世代である。
戦争中「愛国の母」として愛する息子や夫を戦場に送られ、その
まま奪われた方もいる。「岸壁の母」と歌われ、息子の戦場から
の帰還を港で待ち続けた母親もあった。

僕の母親は幸いそんな経験はなかったが、食糧難による栄養不
足から一人娘を結核で死なせている。当時都会の母親は食糧の
配給が遅れ、田舎への買出しが日課だった。箪笥から自分の着
物を引き出し、お米や卵、野菜などと交換した。僕もモンペをは
いた母親が手製のリュックを担いで買出しから帰宅した姿を、昨
日のように想い出す。お母さん有難う。