「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

        「軍艦マーチ」と戦後レジーム

2007-05-26 06:19:14 | Weblog
戦後生まれの学者が新聞のコラムに「軍艦マーチ」の感受の可否が
日本人が戦後レジームから脱却できるかどうかの試金石だ、と書い
ていた。彼は昨年自衛隊の艦上で「軍艦マーチ」を聞き、このような
結論に至ったようだ。

僕は「軍艦マーチ」を聞いても彼のような感動は受けない。彼が引用
している日露戦役当時の小学生は「軍艦マーチ」を聞きながら「日の
丸」を振って艦隊を送っただろうが、戦中を生きてきた世代の多くは
「軍艦マーチ」に対して異なった感情を持っている。

彼は敗戦後の日本人が娯楽の場(パチンコ屋)で「軍艦マーチ」を聞
いたのは、戦後の日本に巣食った、ニヒリズムからだ、と書いている
が、果たしてそうだろうかー。戦争中「軍艦マーチ」は大本営の戦果を
伝えるラジオの曲だった。敗戦直前、この曲(ニュース)にだまされた
国民もいる。それよりも戦争の悲惨さを直接体験した世代にとっては、
単純に、この曲を”戦後レジームからの脱却への試金石”にされてはた
まらない。

敗戦から60年、僕らは新生日本、平和な日本を再建した。たしかに憲法
自体には、今の時代にそぐわなくなってきた項もある。改憲には反対で
はない。が、自衛隊の艦上で「軍艦マーチ」を聞いただけで、この感受
が戦後レジーム脱却への試金石とされては困る。

僕らの世代には、いまなお「国防色」(カーキ色)に対してアレルギー
がある。戦後の日本はニヒリズムではない。今の時代よりも国民は元気
にあふれていたと思う。「戦後レジーム」はそんなに悪かったのか。