「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

民間刑務所と昭和30年代の日本

2007-05-15 05:20:01 | Weblog
山口県美弥市に民間管理運営の刑務所が出来た。その収容棟の部屋を
テレビの画面で見たが、ベッドにテレビ、個人用のテーブルまで備えており
一見ビジネス・ホテルと身まちがうほどである。拘束さえなければ、昭和
30年代の日本の企業の宿直室よりはるかに豪華だ。

昭和37年暮、僕は海外取材でクェートのカフジ海底油田の前進基地を訪
れた。日本のアラビア石油が試掘を始めてまもなくの頃だったが、日本から
来た技術者たちはカマボコ型の宿舎で生活していた。カマボコ型宿舎という
のは、戦後すぐ進駐軍が日本にもちこんだ簡易住宅。まわりの壁から屋根
までトタン張りで、アラビアの砂漠の直射日光を浴びると、内部は灼熱、僕
は、いたく同情した記憶がある。

当時の日本の企業は従業員の福祉厚生などあまり配慮しなかった。また従
業員もそれが当たり前のことと思っていた。僕はそのころ仕事の関係で週に
三回、宿直勤務についていたが、宿直室は二段の”蚕棚”ベッドの大部屋で、
男の汗が充満していて眠れるものではなかった。

美弥の民間刑務所を見て、昭和30年代を想い出し、日本もリッチになったも
のと思った。だが半面、これまでする必要があるのだろうかーとも正直思った。
刑務所は刑務所である。経済効率だけ考えて、刑務所の持つ矯正面がおろそ
かになっているのではないだろうかー。
国の刑務所の収容過剰が民間刑務所の発想となったと聞くが、発想が本末転
倒しているようにも思える。