「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      高校生の自活は危険 会津事件

2007-05-18 04:53:28 | Weblog
会津若松の高校3年生の異常な母親殺人事件は、あまりに異常すぎて
コメントも出来ない。会津若松には会津藩いらい「什」(じゅう)の伝統が
あり、その七か条の掟の一つには年長者に背いてはならないとある。
そして、その掟は”ならぬことは、ならぬものなり”と総括している。しかし
今回の事件は、常識外の病的な事件で「什」の掟ではどうにもならない。

事件の原因などは今後専門家の間で究明されると思うが、多少会津地
方を知っている素人の推理によると、一番の原因は辺境地の学校格差
ではないかと思う。少年の家族の住む町にも県立高校があるが、家族
は地元では成績のよかった少年に期待して若松の進学校に入学させた。
少年の町から若松までは片道ローカル線で2時間弱、毎日の通学はちょ
っと出来ない。

高校3年生といえば戦前の旧制高校1年である。旧制高校ではほとんど
が全寮制をとっていた。先輩と後輩との交遊を通じて人間形成を学んだ。
寮のない都会の私立学校では、学生の大半は親類や三食付の下宿から
通学していた。アパートの一室を借り自活しながら勉強している学生はほ
とんどいなかった。この年代は身体は大人だが、精神的には未熟なこと
を昔の人は知っていたのかもしれない。

僕にも同じような経験がある。札幌に勤務していた時、下の娘が東京に進
学していた兄姉を頼って同じ東京の高校に入学したいというので、つい許
してしまった。とくに問題が起きたわけではないが、今回の事件から随分
危険なことをしたと今になって反省している。