「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       ゴミで埋まった悲劇の町の動物園

2008-03-02 07:21:11 | Weblog
インドネシアの邦字紙「じゃかるた新聞」(www.jakartashimbun.com/top.shtml)
の3月1日版は、ゴミに埋もれたポンティアナックの動物園訪問記を写真入りで
紹介している。動物園は予算不足からか荒れ放題。鰐(わに)の飼育舎は空き
カンや紙くずが散乱し、オランウータンは二頭が2m四方の檻の中に閉じ込め
られ、檻からスナック菓子の紙とミネラルウォーターの空きボトルをつかんだ手
を突き出している。別の檻のオランウータンの子供二頭は、活発な子供らしささ
え失っていたという。

ポンティアナックは西カリマンタン(ボルネオ)の州都で、赤道直下の町である。
豊富な森林に恵まれ、自然動物の宝庫である。平成12年、僕はこの町の郊外
マンドールにある戦時中の慰霊塔に参詣、花輪を奉げてきた。悲しいことだが
戦時中ポンティアナックに駐屯していた海軍の特警隊(憲兵)が住民を虐殺して
いる。インドネシア側は21037人としているが、わが国とオランダの推定では
1500人前後とされている。戦後この事件の責任を問われ、海軍の特別根拠地
司令官2人を含む16人がBC級裁判で処刑されている。

インドネシアの地方の動物園の管理は悪い。40年前西スマトラのブキティンギ
の動物園を訪れた時も、僕は「じゃかるた新聞」の記事と同じように管理の悪さ
に驚いたが、ポンティアナックのようにゴミで埋まった飼育舎はなかった。戦争
中の悲劇があった町だけに、僕は動物園の惨状にショックを受けた。

毎年6月28日が虐殺悲劇の記念日で、州知事はじめ数千人の関係者がマンド
ールの慰霊塔を詣でる。日本からも当時ポンティアナックにおられた方々がで
かけていたが、今は皆さん高齢で参加できなくなってきた。