「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       ”ルック・イースト”とされた国はいま

2008-03-12 06:55:21 | Weblog
先日のマーレシア総選挙で統一マレー連邦組織(UMNO)を中心とする与党連合
が過半数を制したものの議席の三分の二の安定数を維持できなかった。39年ぶ
りである。同国のドン、マハティール前首相の言葉を借りればUMNOの指導者は
日本人なら当然”ハラ”を切るほどの敗退であった。

マハティール氏が首相であった1980年代の日本は、高度成長期の絶頂にあり、
”Japan as No-1"(エズラ・ボーケル著)と世界からおだてられた時代であった。
当時の日本人はバブル景気に酔いしれ、一方では自信に満ちていた。マハティ
ール氏が、この時期に日本や韓国に学べと"ルック・イースト”政策を唱えたの
もうなずける。僕も東京で、マレーシアから来たこの研修員の面倒をみた。

"ルック・イースト"政策の背景には、複合国家である同国のマレー人種優先の
”プリブミ”(土地の息子という意味)政策があった。ところが、先日の選挙ではイ
ンド系住民や華人から不満の声が出てきて”プリブミ”にもほころびが見えてき
たようだ。そして"ルック・イースト”もかってのような活気がなくなった。

責任はわが国にもある。東南アジアにおける日本の経済力は退潮し、かっての
ような力強さを失っている。国内をみれば、くだらない政治論争で、金融の舵取
役の日銀総裁さえ、決められない状態が続いている。マハティール首相のいう
ような”ハラ”をきってまで仕事する、責任ある政治家がいなくなった。これでは
"ルック・イースト"されなくなるのも当然だ。