「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          チベットの"文化大虐殺”

2008-03-17 06:40:53 | Weblog
チベットの首都ラサの暴動の模様をテレビ画面でみた。中国は暴動による死者は
10人と発表、一方亡命政府側は80人といっている。中国政府が全容を明らかにし
ないから真相は判らない。しかし、問題は死傷者の数ではない。チベット仏教の指
導者で、インドに亡命中のダライ・ラマのいうように、これは漢民族による"文化大
虐殺”である。

日本の歴史教育は伝統的に”大国主義”で、小国の歴史には触れない。ましてチベ
ットとかクルドといった”国のない民族”の歴史を教えない。歴史は繰り返すが、49
年前の1959年3月10日にもチベットでも中国に対する暴動が起きている。当時“駆
けだし”記者だった僕は恥ずかしながら、チベットについて、あまり知らず、中国共産
党軍によって占領され弾圧を受けている事実も知らなかった。もちろん、ダライ・ラマ
の名前も初めて聞く名前だった。その時読んだ本が河口慧海の「チベット旅行記」
(講談社学術文庫)だった。

河口慧海は黄檗宗の僧侶で1901年から03年まで、仏典蒐集のため単身チベットへ
渡り、仏教修行のかたわらチベット文化の研究や植物標本を蒐集し、帰国後これを
「チベット旅行記」にまとめている。この本を読めば解るが、チベットは中国の属国
ではなく、れっきとした文化、宗教を持ち、チベット語という単一言語を持つ単一民族
なのである。

今回のチベットの暴動は中国の覇権に対する抗議であり、大国のエゴに対する反抗
である。ダライ・ラマのいうように中国政府は”文化大虐殺”を行っているのだ。抗議
しよう。