「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

     「集団自決」 戦争が読めない変な判決

2008-03-29 07:03:58 | Weblog
沖縄戦時、座間味島、渡嘉敷島で住民の「集団自決」があったのは、軍の命令による
ものだと、ノーベル賞作家の大江健三郎氏が岩波書店発行の「沖縄ノート」(1970年)
に記述したのは誤りだと、島の守備隊長らが名誉毀損、本の発行差し止めを求めてい
た裁判で、大阪地裁の深見敏正裁判長は訴えを全面棄却した。

結論から言って、焦点をぼかしたおかしな判決である。(1)軍は住民に手榴弾を住民
に与えている(2)軍が駐屯していない島では「集団自決」が行われていないーという
のが訴えを棄却した主な理由だが、これは軍の”関与”の理由に当るかもしれないが
原告が訴えている軍命令があったかどうかの理由には当らない。肝心の軍命令につ
いては、はっきりしないとしている。

大江健三郎氏は「沖縄ノート」の中で現地取材もせず、守備隊長とも会っていないのに
”罪の巨魁”と悪者扱いし”集団自決”を最も忌むべき””呼ばわりしている。これは
国のため戦っていた梅沢裕・座間味島守備隊長(91)らに対して大変失礼である。しか
も梅沢氏は、自身「集団自決」命令を否定し逆に生き延びるよう説得している

沖縄戦時、大江氏は愛媛県旧大瀬村の国民学校5年生、深江裁判長は戦争を知らない
世代である。二人と戦争の空気が読めていない。僕は当時、敵の本土上陸に備えて江戸
川運河の拡幅工事に従事していたが、もし敵が攻めてきて、軍から手榴弾を渡されれば、
沖縄住民と同じように自決する覚悟は出来ていた。

戦後の平和時に、過去の狂気の時代についての空気もわからずに、物書きが変な理屈
で、当時のことを推察で書き、これを読んだ裁判官が推論するのは歴史への冒涜だ。