「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       オバマ大統領とイスラムの空気

2009-06-06 06:18:08 | Weblog
中東歴訪中のオバマ米大統領はカイロで行った演説の中で「私はキリスト教信者
が、先祖にはイスラム教徒もいるし、自分も少年時代インドネシアで「アザーン」
(祈りへの呼びかけ)を聞きながら育った」と挨拶した。

オバマ大統領は1967年から4年間、インドネシア人の地質学者と再婚した母親と
一緒にジャカルタで育ち現地の小学校に通っている。僕も1967年ジャカルタに勤
務し、オバマ少年が住んでいた家の近くでホテル住まいをしていた。多分、僕もオ
バマ少年が聞いた同じモスクの「アザーン」を聞いた。

イスラム教徒は一日に5回、定められた時間にメッカの方向に向かって祈りをする
が、これに先だってモスクから「アザーン」の声が流れてくる。今は拡声器によるが
オバマ少年の頃は信徒のナマの声によるものではなかっただろうかー。異教徒で
も異国で聞く「アザーン」-とくに日の出前の第1回の「ファジュル」を夢うつつで聞
くのは旅愁を誘って好いものだ。

しかし、イスラム習慣のない日本では「アザーン」はおろか、信徒の祈りさえ騒音と
なる。ある研修施設で日本人職員が声がうるさいと部屋の戸を叩き問題になったこ
とがある。「アザーン」を聞きながら育ったオバマ大統領である。歴代の大統領に比
べれば、イスラムの空気は理解できよう。「相互利害と尊敬に基づき米国と世界の
イスラム教徒とが”新しい始まり”になる」ことを心から願っている。