「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         59年前、朝鮮戦争が始まった頃

2009-06-25 04:05:10 | Weblog
なぜか朝鮮戦争が始まった日のことを昨日のように覚えている。もう59年も前になる。
来年で暦が一巡する前のことだがー。昭和25年6月25日、僕が大学2年の時だ。朝鮮
半島出身のS君(朝鮮総連勤務)が”戦争が始まった”と、大声をあげて教室に入って
きた。戦後5年も経ち、正直いって僕はそれを聞いても興奮せず対岸の火事みたいな
気持ちだったが。

後年、機会があって当時のことを調査したが、この昭和25年という年はある意味では
日本の戦後のターンニングポイントであった。自衛隊の前身、警察予備隊がGHQ(連合
軍総司令部)の強い要請で創設されている。それも朝鮮半島情勢の急迫で、戦争が
勃発して僅か2か月後の8月にである。38度線の国境を越えた北朝鮮軍は3日で韓国
の首都ソウルを占領、電撃的に南下してなんと29日には福岡県など西日本には空襲
警報まで出ていた。

この年の秋、母校の外堀を埋めて出来たばかりの運動場で警察予備隊の訓練が始まっ
た。僕らはこれを見て”性懲りもなく、また軍事教練か”と醒めた目で批判したのを
覚えている。しかし、当時の朝鮮戦争の戦況をみると、GHQがあわてて「警察予備隊」
の名前で事実上の軍隊を日本政府に要請し、政府も断りきれずこれに応じたかが理解
できる。

あれから59年、朝鮮半島は戦火こそ消えたが、緊迫した情勢は昔のままだ。北朝鮮は
当時の軍事作戦を暗号で”暴風”と呼んでいたそうだが、もう”暴風”だけは結構である。
ただ、僕らも59年前の歴史を教訓として覚えておこう。