「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

      メールの時代 消えた手紙文の美しさ

2009-06-08 05:15:41 | Weblog
Eーメールの時代である。僕ら年寄りでも最近はめったに手紙を書かないし、貰わな
くなった。今に「拝啓」「敬具」「前略」「早々」といった手紙の慣用句も死語になって
しまうのではないだろうかー。それにつれて心の篭った挨拶文に接する機会もなくな
ってきた。メールではどうしても必要最小限度のことしか書かないからだろう。

昨日、東北の山中の老人ホームで施設長をしている知り合いの女医の方から宅急便
でお米が贈られてきた。そして包みの中にこんな暖かい手紙が添えられてあった。

「時の流れは速いもので、田畑に目を向けると、いつの間にか田植えが終わり、畑の白
いビニールから葉タバコが可愛らしい芽を出しています。山では緑の樹木から山吹や藤
が黄や紫の色鮮やかな花を咲かせており、目を楽しませてくれています。この町に勤務
するようになってから五回目の春を無事に元気で迎えることが出来感謝しております。
こちらでは思わず深呼吸をしてしまうほど空気が澄んでいます。豊かな土壌の生活用水
が入らない田圃で生産され,機械乾燥ではなく天日干しで乾燥させたお米が手に入りま
したので、ぜひ召し上がって頂きたく些細ではございますが送らせて頂きます」

メールではこんな心の篭った文章はかけない。大自然の恵みの中でとれた心の篭った
贈物を夫婦で手をあわせ、感謝しながら早速頂戴した。