「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          米軍のイラク進駐とその代償

2009-06-29 05:37:32 | Weblog
6月いっぱいでイラクの都市部から戦闘服の米国軍兵士の姿が消える。2003年
3月の戦争開始以来、6年3か月ぶりである。米軍の完全撤退は2011年で、まだ
先だが、とにかく街から”迷彩服”がなくなるのは平和への第一歩だ。でも現地
からは、依然として市場に仕掛けられた爆弾が爆発したりして多数の死者が
出ている。大丈夫なのだろうかー。

わが国では敗戦によって連合軍の占領がサンフランシスコ平和条約(1951年9月)
まで約6年続いた。この占領期間は、イラク戦争開始から現在までの期間とほぼ
同じなのだが、この間、占領軍も住民もほとんど犠牲者が出ていない。これに対し
て、イラクでは現在までに米軍、連合国軍含めて4629名(米国防総省資料)が、戦
闘、非戦闘で死亡、民間人は推定で10万人近くが犠牲になっており、今なお犠牲
者が出ている状態だ。

イラク戦争の発端はなにだったのか?ブッシュ米大統領(当時)はイラク国内で大量
破壊兵器が製造され、これがテロ集団、アルカイーダに渡るのを防ぐという口実で
戦争を開始したが、まったく誤報か作り事であったことは、いまや周知だ。"独裁者”
サダト・フセイン元大統領を裁判にかけて処刑してもイラクの騒動は治まらない。情勢
判断の誤りから来る占領政策の誤りだ。敗戦後の連合軍による占領は、わが国にとって
大変不幸であったが、占領中に犠牲者がでなかったのは不幸中の幸いであった。