「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          菊の香高き 菊の肩かけ

2009-11-04 04:58:03 | Weblog
昨日11月3日は「文化の日」の祝日。戦前は明治天皇の誕生日で「明治節」といい
元旦、紀元節(2月11日)天長節(4月29日)とならんで四大節、つまり国民が祝う
四つの大きな祝日であった。戦後64年、かって「明治節」を祝った記憶のある日本
人も少なくなってきた。

「明治節」の当日は学校で式があり”アジアの東、日いづるところ”で始まる式歌を
合唱、学校からお祝いの紅白の饅頭を貰ったものだ。子どもだった僕は式歌の三
番”秋の空澄み、菊の香高き”の”香高き”の意味がわからず誤って”肩かけ”だと
思っていた。

昭和の10年代には、まだ女性は着物姿が多く、学校の遠足の集合写真をみると付
き添いの母親はみな着物を着ている。僕が誤って記憶していた”肩かけ”は着物の
女性が冬、防寒用に肩にかけたショールである。

「明治節」の季節の頃、かっては東京でも町のあちこちで菊作りの家がみられたが最
近はわが家の周辺ではほとんどなくなった。戦前この季節、東京では両国の旧国技
館や多摩川園遊園地などで菊人形展が開催され、多勢の人出で賑わったが、今はど
こでもやっていない。菊人形展は、江戸時代から続いていた伝統の催しだけに寂しい。
これも時代なのかもしれないが、次第に社会にうるおいがなくなってきた感じがする。
社会のとげとげしさは、こんなところに原因があるのかもしれない。