「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         47年前のイエメンの想い出

2009-11-26 05:43:33 | Weblog
イエメンで地元部族民に拉致されていたJICA(國際協力機構)プロジェクトの
日本人技師が8日ぶりに解放された。なにより無事でよかった。この関連の
テレビを見ていた老妻が部族民の一人が口をもぐもぐさせて話をしているのを
みつけ”あれは何か”と僕に聞いてきた。

1962年11月、僕は新聞社の移動特派員として王制崩壊直後のイエメンに約
1週間滞在した。47年も前の昔だが、いまだに当時のことを鮮明に覚えてい
る。アデンからプロペラ機でタイズ飛行場に降り立った時の異様な体験だ。
民族衣装の兵隊が腰に刀を下げ、肩から銃を吊って(写真)口をもぐもぐさせて
僕らをにらみつけてきた(ようだ)。通訳に聞くとカートという特産の野菜をガム
のように噛んでいるのだという。

イエメンは"幸福のアラビア”という別名があるが、それは紀元前7世紀、シバ
の女王の時代で、今は世界の極貧国の一つで、わが国も10年近く前から草
の根無償金援助で学校を建てたり医療施設を援助している。僕が訪れた半世
紀ほど前には貨幣もなく18世紀のオーストリアの擦り切れたコインが流通して
いた。

当時のイエメンは貧困と同時に政治的には米ソ東西の狹間にあって絶えず混
乱していたが、今もアルカイダ系の組織によるテロが続発し、その温床になって
いるとの説がある。日本人が好むモカ・コーヒーは、首都サヌアの外港モカから
積出されるコーヒーだが、最近日本では基準値を超える有害成分が検出され輸
入が禁止されており残念だ。