「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

「話す」「書く」英語が苦手な高校生

2015-03-20 05:45:54 | Weblog
文科省が高校三年生を対象にして英語力を調査したところ、英検の中学生卒業程度のレベル三級以下の生徒の割合が「話す」が87.2パーセント、「書く」が86.5パーセントと、「聞く」75.9パーセント、「読む」72.5パーセントと比較して高く、苦手であることが判った。「話す」が不得意なのは昔からだが、「書く」が苦手なのは心配だ。

戦前の英語の学習は、いわゆる「Reader」(読本)が中心で、もっぱら読解力を高めることだった。当時の受験参考書、小野圭次郎(オノケイ)の「英文解釈読解法」が、なんと984版、150万部も売れたことが、これを証明している。「読む」に次いで重要視されたのは「書く」で、戦争中中学生(旧制)であった僕らも「英語一」が読本を読むこと、「英語二」が英作文で、書くことを学んだ。

「話す」「聞く」の英語力が問題視されてきたのは、戦後である。NHKラジオの平川唯一の「カムカム・イングリシュ」の頃からであろうか。それでも日本人の「話す」「聞く」能力は一向に上達して来なかったが、今回の調査で「聞く」が「書く」より成績がよかったのは、受験試験に、リスニング.テストが採用されるようになった結果なのだろうか。

戦前の旧制高校生の英語の読解力と作文力のレベルは高かったが、会話となると、からっきしダメだった。戦後すぐ国際ペン大会が東京で開催された時、僕は著名な英文学者の「通訳」をさせられたことがある。英文学者だから、僕よりはるかに英語力はあるはずなのに、日常的な会話が苦手なのだ。この英文学者に限らず、昔の学者には立派な英文で論文を書く人が多かった。「書く」も日本人は得意だったのだが、苦手になってきたのは心配である。