「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

春の彼岸の墓参り 断食祭前の墓参り

2015-03-22 05:58:31 | Weblog
昨日は国民の祝日「春分の日」であった。昭和23年制定の「祝日法」によれば”自然を讃え生物を愛しむ”日、これに対して「秋分の日」は”祖先を尊やみ、亡くなった人々を慕う”祝日である。しかし、一般には、「春分の日」「秋分の日」ともお彼岸の中日と呼ばれ、祖先の霊を偲び墓参に行く日とされている。

お彼岸はもともと仏教用語の「到彼岸」からきており、”煩悩の迷いの世界”「此岸」から”悟りの世界”「彼岸」へ到達する意だとのこと。昼の時間と夜の時間が同じで、到達距離が最も短いことから春秋二回、この日が彼岸の日とされている。しかし、何故この日に墓参りをするのか判らない。わが国だけの行事で、仏教の発祥の地インドでも直接仏教渡来の地である中国や韓国でもこの習慣はないそうである。

国民の大半がイスラム教徒であるインドネシアでは、断食明けの大祭”ハリラヤ”の前にお墓を清掃し家族でお参りする習慣がある。10数年前、スマトラのメダンに滞在していた時、僕の知り合いの元残留日本兵の二世は、華僑と結婚しイスラム教徒ではないが、やはり、この時期に英雄墓地に家族と墓参していた。

同じメダンの経験だが、マレー系のイスラム教徒宅にホームステイしていた時、知り合いが亡くなった。その死後の行事が、仏教と同じように一週間ごとに行われていた。知人にこれはイスラムの習慣かと尋ねたら知らないが、もしかすると、8-9世紀ごろスマトラが仏教王国(スリブジャヤ)であった頃の名残ではないかと答えた。真偽は解らないが、わが国のお彼岸の日の墓参りといい、宗教と庶民の習慣との関係には解からないことが多い。