「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

福島の秋 インドネシア国籍の老人施設長の心の美しさ

2015-10-09 06:20:39 | 2012・1・1
福島県田村市の介護老人保健施設で施設長をされているインドネシア国籍の女医のT先生から「季節の挨拶」として新米が贈られてきた。その挨拶文があまりにも美しいので、紹介させて頂く。

「ここ福島県では、田ンぼは見渡す限り黄金色、その周辺はピンクと白のコスモスが咲き乱れ、青く澄み渡る大空と白い雲が綿飴のように浮いている。木々は緑、爽やか秋風が吹き、やがて雪が風により横から降る様に見える地吹雪という季節になり、道はアイスバーンになり、身を引き絞める冬が.......。福島県在住11年目に入りました。今はホットする季節です。新米が一足先に出回りましたので、ご健康を祈りお送りします」

T先生は戦争中旧海軍の小スンダ民政部の軍属だった日本人の御尊父と現地人の御尊母との間で生まれ、戦後、御尊父の復員と共に来日した。まだ幼い頃である。まだ焼け野原の残る東京で、最初日本語ができなかった先生は、ご両親の配慮から小中校は少人数の私立校に通ったが、高校は都立の進学校で学び医大を卒業後博士号を得ている。僕はインドネシアの軍政の調査を通じて先生の御尊父の知己をえた。

いつも僕は先生から頂く四季折々の手紙の文章の美しさに感心する。”文は人なり”とよく言われるが、その通りである。もの書きのはしくれの僕はいつも先生の文章に接するたびに反省している。過去に3回、僕は先生が勤務する、この阿武隈山系の施設を訪れたことがあるが、先生の手紙のよう大自然に恵まれ、働く人たちの明るい親切さに感激した。こういった施設で老後を送れるなら幸せである。