「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

ご先祖の戦歴への関心と戦友会誌

2015-10-28 06:05:19 | 2012・1・1
「永遠の〇」(百田尚樹著)の映画化や漫画化もあってか、若い世代の間で祖父、曾祖父の軍歴や戦歴調べに関心が集まっているが、「個人情報保護条例」の開示条件が三親等までのため四親等の曾孫世代は、調べられない、と新聞にあった。戦後70年”先の戦争”も遠くなり、従軍体験者は、ほとんど90歳代となり、直接戦争の話を聞く機会がすくなってきた。

インドネシアを中心に南方地域の軍政を調査している僕宛てにも、時々問い合わせがくる。先日も戦後スマトラに残留した旧日本兵の消息が判らないかとの手紙を頂いた。戦後インドネシアに残留した旧日本軍関係者については、ジャカルタに本部がある「福祉友の会」(Yayasan Warga Persahabatan)発行の”インドネシア独立戦争に参加した日本兵一千名の声”に残留者リストが載っているが完ぺきではない。僕宛ての問い合わせの方の名前はないが、戦後昭和24年になって、スマトラから2トンの小舟に乗って、タイ国経由帰国した長谷川豊記さんの著書「スマトラ無宿 虎憲兵潜航記」(昭和57年 叢文社)には出てくる。

海外戦地での犠牲者の数は推定200万人といわれるがはっきりしない。一応、政府から戦死公報があり、”白木の箱”に入ったご遺骨が届けられることになっていたが、ご遺骨の代わりに石が入っていたいう話をよく聞く。逆に僕の友人の父上はサイパン玉砕で死亡したと公報が入ったが、戦後無事で帰国した例もある。いずれにしても大混乱の時代で、正確な犠牲者の数や実態はつかめていない。

僕の家の屋根裏には、10数年前本を出版した際、知り合いの戦友会の方々から頂戴した戦友会の記録や資料がある。戦後80年、僕が生きているという保証はない。機会を見て整理し、しかるべきところに寄贈したいと思っている。あの戦争が遠くならないためにも必要である。