「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

晴れの特異日ではなくなった「文化の日」

2015-11-04 05:46:41 | 2012・1・1
11月3日は「文化の日」、国民の祝日であった。何故この日が「文化の日」か今まで寡聞にして知らなかったが、、テレビ番組で憲法の交付日であるの事を初めて知った。僕ら昭和1ケタ世代にとっては、やはり「文化の日」というより「明治節」の方が懐かしく、ぴたりとくる。戦前から昭和22年まで11月3日は「明治節」といい、明治天皇の誕生日であった。戦前は学校は休みで授業はなかったが、祝賀式があり、国歌と「明治節」の式歌を歌い、お祝いのお菓子を貰った。

”亜細亜の光、日出ずるところ”で始まる「明治節」の歌は、70年以上たった今でも僕は楽譜なしでも歌える。中でも三番の”秋の空すみ、菊の香たかき今日の佳き日を皆ことほぎ、定めたまいし御憲(法)を崇め”の歌詞は季節感があふれていて好きな一章だ。「明治節」の日は晴れの特異日といわれていた。昨日も前日雨だったのが3日には朝から晴れ上がった。しかし、NHKのお天気キャスターによると、この20年ほどは必ずしも晴天ではなくなったそうである。

そういえば、東京では昔のような”天高く馬肥ゆる”秋空ではなくなった。また、”菊の香高き”といっても、周囲であまり菊の花を目にすることがなくなってきた。戦前、子供の頃は、遊び場であった路地裏の長屋の家の前にも懸崖の立派な菊があったものだが、今、わが家の周りには一つもない。この季節、昔は東京でも菊人形展が各地で見られたが、今はあまり聞いたことがない。

「文化の日」に変って、お天気まで変わったわけがないが、年々、都会では季節感が失われてきたのは事実だ。それと「明治節」も時代は家の門(かど)ごとに日の丸が見られたものだが、「文化の日」になってからはその風景はなくなった。