「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”下流老人”の死は防げないのだろうか

2015-11-24 06:16:41 | 2012・1・1
昨日,NHKテレビのニュースで高齢者に関係する痛ましい事件を二つ伝えていた。一つは埼玉県の利根川で貧困と母親の認知症看護に疲れた三女(47)が両親と一緒に車ごと入水心中を試みたが、自分は死にきれず、殺人と自殺ほう助容疑で逮捕された事件。もう一つは東京.江東区の都営住宅で死後数か月を経た81歳の兄と71歳の妹の遺体が”孤独死”状態で発見されたニュースだ。

いやな言葉だが、最近”下流老人”という言葉を耳にする。老後、年金だけでは生活出来ず、生活保護を受ける老人家庭が急速に増えている。厚労省の統計(平成26年2月)では、すでに163万世帯をこえ、そのうち65歳以上の高齢者世帯は45.5パーセントと半分に近い。この数字は今でも毎月、更新続けている。

利根川の事件を見ると、亡くなった父親は最近まで新聞配達をして生計を立てていたが、病気になり収入が立たれた。その上、妻が認知症とあれば、申請すれば生活保護は受けられると思うのだが、申請しなかったのか、それとも受給できない事情があるのだろうか。都営住宅の兄妹の”孤独死”も考えさせられう。集合住宅には管理組合もあると思うのだが、何故数か月も放置されていたのであろうか。

老人の福祉医療の相談窓口として、各地に「包括センター」があり、昔から民生委員がいるが、最近この種の事件、事故が起きるたびに思うのは、こういった制度が果たして機能しているか、どうかである。僕の周囲の健康な老人の仲間は最近まで「包括センター」が何をする役所なのか知らなかった。一方、民生委員も未曾有の高齢化時代を迎え、いまのようなボランティアでは手が回らないという声を聞く。いずれにせよ”下流老人”が、国の援助の手が届かず、死に至るのは問題である。