「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

"血に塗られた土曜日”から52年

2015-11-09 07:06:26 | 2012・1・1
早朝NHKラジオの「今日はなんの日」を聞いていたら昭和38年11月9日(土)、九州大牟田の三井三池炭鉱の坑内粉塵爆発で458人が死亡、839人が重軽傷を負った日であり、東海道線鶴見駅近くの踏切で貨物列車が脱線、これに乗り上げた横須賀船線との衝突事故で161人が死亡した日であるとたんたんと伝えていた。これを聞いて、僕はほとんど忘れかけていたあの日の事を想い出した。

僕はあの日、新聞社の外信部の朝刊担当の夜勤デスクについていたが、夕刊締切直後に三池三井炭鉱の事故の第一報が入り、時間と共に被害は拡大するばかりである。仲間内で”今日は開店休業”だと冗談いっていた時に夜10時過ぎ、鶴見事故が舞い込んできた。仲間の一人が藤沢から通勤していたので、事故に遭遇しなかったと心配し自宅に電話したことを憶えている。恐らく一日にこんな大事故が二つも起きることはまず、これからもないのではなかろうか。当時この日のことを”血に塗られた土曜日”と呼んだ。

あれから52年、半世紀以上の歳月が流れた。最近、ノスタルディツクの想いをこめて”昭和30年代”が語られるが、思えば、経済大飛躍前の厳しい時代でもあった。ケネディ大統領が暗殺されたのもこの年であり、力道山がジムで暗殺されたのも昭和38年であった。しかし、一方では、将来の老人人口の増加に対応して老人福祉法が制定されたのもこの年で、先人たちが多難な時代の中にあっても将来への先見性があったことに感謝する。