「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

"終活"と”健常老人”の施設入り

2016-04-08 05:58:30 | 2012・1・1
”引っ越しました”-小学校時代の旧友から転居の挨拶状が届いた。79年前の今頃、桜満開の東京の小学校の校門を一緒にこぐった数少なくなった友人の一人からだ。転居先を見ると、旧居と同じ東京郊外の市にある有料老人施設である。彼は数年前、夫人に先立たれ、子供もなく一人で独立家屋で生活していた、80歳半ばには珍しい国から介護も支援も受けていない”健常老人”である。

ここ数年、僕の周辺でも老人施設入りする友人、知人が多くなってきた。そういう”年頃”なのだろうが、国の特別養護老人施設に入居したというケースはない。厚労省によれば、特養老人施設への入居を希望する待機老人は全国で52万人いるという。友人、知人の中にも多分、特養入居希望者もいるのだろうが、無理してか、あるいは仕方がなくか有料施設に入居したものと思う。

旧友の住所の施設をネットで検索して調べてみたら、立派な建物だ。外観から内部まで写真で紹介されており、僕も出来たらお世話になりたくなるが、肝心の費用が家賃、共益費が16万円、食事は別途だが、頼めば1日3食で月3万9千円、それに介護、支援の等級に応じて最低6千円(支援1)の1割保険負担が必要で、なんだかんだで月20万円は必要だ。入居費はいらないが、これではよほど恵まれた老人でなければ入居できない。

兵庫県加東市で78歳の夫が82歳の認知症の奥さんの看護疲れから殺して警察に捕まった。同じような事件が多すぎる。旧友のように”健常”のうちに施設入りを決断できるのは、きわめて幸せなケースだ。数年前、なくなった親友の場合も、係累がなく生前に成年後見人制度のお世話になったが、”終活”を自分で真剣に考える時代になってきたのであろうか。