「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

原発事故で避難地区だった都路の桜

2016-04-16 08:30:20 | 2012・1・1



田村市の老人福祉施設「聖オリオンの郷」の施設長、田中リナ先生のご厚意で、原発事故のさい、一時避難地域に指定された市内の都路地区に案内していただいた。都路は2014年、国から避難命令はは解除されたが、現状はどうなっているのか、わざわざ僕の希望を入れて、タクシーで同行してくれた。

同じ市内でも「聖オリオンの郷」のある神俣から都路までは遠い。タクシーの運転手がいう”除染街道”という国道288の沿道沿いは桜が満開、のどかな日本の春の原風景がみられた。都路地区も見た目には他地区と同じであった。故郷に戻られた住民の洗濯物も望見できたが、住民の姿が見られない。桜が咲く工場の横に車を止めて写真を撮ったが、工場の門は鉄柵で閉鎖されていた。山麓の古刹の山門も閉じられていた。震災の影響なのだろうか。

都路の閑散とした風景と異なり田村市の他の地区の桜の名所は平日なのにお花見客で賑わってた。滝桜で有名な三春にも案内して頂いたが、交通整理が出るほどの賑わいをみせていた。しかし、三春にはいまだに故郷、富岡に戻れない人たちが仮設住宅で生活されている。都路の住民の中にも、安全と政府が保証しても家に帰りたくない人もいると聞く。改めて、原発事故がもたらし影響の大きさと解決の難しさを知った。