「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

"返せ 北方領土”運動と日露共同経済開発との間の距離

2017-02-08 05:15:44 | 2012・1・1
昨日2月6日は「北方領土の日」であった。僕はすっかり忘れていたが、夕刻のテレビ.ニュースで根室で元島民らが集まって、例年のように返還要求大会が催されたのを知った。安倍総理も東京の同じ全国大会に参加したが、こちらの大会の画面はなく、今朝の新聞を見たが、わが家が購読している読売新聞は社説だけで大会の報道はなかった。今、ひとつ国民的な関心が薄いのであろうか。

昨年12月、安倍総理はプーチン大統領との日露首脳会談で”自分の世代で懸案の両国間の平和条約を締結し、北方領土を返還させたい”と意気込みをみせた。そして、その第一歩として両国での共同経済開発と現地住民間の往来を拡大することで一致した。これに基づき、両国間での事務レベルでの交渉が開始されたが、昨日の釧路の返還大会の”返せ北方領土”の鉢巻、襷がけの参加者の大会とはあまりにも距離があるように感じた。

僕は1970年代、10年間札幌に在住、根室の納沙布岬にも行き、僅か3キロちょっとの貝殻島を指呼の距離で見たことがある。当時、返還運動のスローガンは”呼び戻そう北方領土”であったが、”呼び戻そう”ではインパクトが弱いと”返せ”と変わり81年には、国民的な運動に高めようと「北方領土の日」が制定された。

日露両国間の共同経済活動は具体化へと前進しており、来月東京で協議も持たれるようだが,これが平和条約締結への道になるのであろうか。平和条約が結ばれなくては領土の返還にはならない。住民間の往来が自由になったからといって島が返還されなければ何にもならない。安倍総理の平和条約締結への思いは理解できるが、返還運動との距離があまりにも大きすぎる。言葉は悪いが、”食い逃げ”されないよう要注意である。