「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

東京マラソンに競歩行軍の時代を想う

2017-02-27 07:01:58 | 2012・1・1
今年も東京マラソンをテレビを見ながら参加した。3万6000人が都大路を駆け抜ける姿は素晴らしい。平和あっての賜物である。テロを警戒して入国制限をはかる米国では、いくらトランプさんが強いことを言っても出来ないのでは。思い思いの服装をして走るランナーたち、そして、これを応援する沿道の市民たち、すっかり、東京マラソンはこの時季の風物誌として定着してきた。

戦争体験者の僕らの世代は被害者意識が強いのであろうか。テレビ観戦をしながらも一方では戦争中の”競歩行軍”を想い出した。戦争中はマラソンどころではなかった。代って”競歩行軍”が奨励された。まだ東京が空襲に見舞われない昭和19年、東京の全中学校(旧制)が参加して”競歩大会”が催された。東京ドームの今ある地が公園だった地点をを出発、靖国神社を経て中野の沼袋を折り返し地点にして明治神宮までのコースだった。今、思うとマラソンと同じ距離だったのかもしれない。戦闘帽に足にゲートルを巻季、国旗を先頭にした文字通り行軍であった。

今年からマラソン.コースの一部が変更されて両国や門前仲町も走り、東京駅がゴール地点になった。コースを全走すれば、東京の名所旧跡がすべて巡れることにななる。素晴らしいアイディアである。杖つき老人は家に居ながらにして変貌する東京の姿を楽しめる。戦後の焼跡を知っている僕らにとっては感無量なものもある。

感無量といえば一位に入ったケニヤ選手の2時官3分58秒という記録だ。日本国内で出た最速記録だそうだが、前回、昭和39年の東京五輪で優勝した裸足のランナー、エチオピアのアベベ選手の記録は2時間16分15秒で、今回のマラソンでは30位にも入らない。女子優勝の記録に近い。半世紀の月日の経過を感じる。