「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

軍歌を歌えない世代が増えた老人会

2017-02-26 06:44:32 | 2012・1・1

昨日、地域の老人会の誕生日会に招かれて夫婦そろて出席した。夫婦の合計年齢は合わせて170歳。自分で言うのはおかしいが、元気でこうして参加できるのは幸せだ。誕生会には1月―3月生まれ、約60人が出席したが、夫婦そろっての参加者は僕らを含めて2組にすぎない。出席者の9割は女性である。日頃、老人会での集まりの手品、カラオケ、フラダンスといった習い事の発表会であるが、昨日は若い女性たちがボランティアで、中近東のべリーダンスを披露してくれた。(写真)

僕は話し相手もなく、頂いたお煎餅をボリボリ食べながらベリーダンスを見て、半世紀前、仕事でアラブ諸国を旅行した想い出にしたっていたら、世話人の女性が、カラオケを勧めてきた。正直言って僕はあまりカラオケで歌ったことはないがが、昔の小学唱歌や抒情歌、軍歌などは歌える。とくに、銃後の小国民の時代にラジオで聞いた軍歌には郷愁があるのだが、最近は歌う機会がない。

戦後、軍歌は軍国主義の復活だと、毛嫌いされ、右翼の街宣車の騒音もあって社会の隅に追いやられているが、銃後の小国民の僕ら世代にとっては、ほとんど四六時中軍歌を聞いて育った。僕は会の世話人の勧めに乗って、歌うのを引き受け、カラオケ歌集にもある「空の神兵」を歌った。軍歌といっても、この”藍より青き、大空に大空に”で始まるこの歌は当時の少年の夢を膨らますものがあった。

僕の軍歌のカラオケは意外に大受けで大きな拍手を頂戴したが、考えると老人会でも75歳の後期高齢者であっても軍歌には想い出は少ないし、歌えない世代なのだ。あの勇ましい軍艦マーチに乗って大本営発表を聞いたり、「海行かば」を歌いながら英霊の御遺骨を迎えた世代は少なくなってきたのだ。ここでも時代の推移を感じる。