本州(青森)と北海道(函館)との間にまだ青函連絡船が就航していた1970年代、筆者は夏になるとJRA(日本中央競馬会)主催の競馬の取材に函館を訪れた。連絡船の港近くの安宿に泊まったが、朝早く出航を告げる船のドラの音と、獲れたばかりのイカ売りの”イガイが”の声が聞こえて快い旅愁を誘った。
函館は札幌、旭川に次ぐ人口25万人の道南の中核都市だ。青函連絡船は1988年(昭和63年)就航を中止したが、青函海底トンネルの完成で今では列車に乗ったまま東京から新幹線で4時間足らずで新函館北斗につける。
北海道の地名にはアイヌ語を語源にするもの多いが函館は足利時代、津軽の豪族がこの地に箱状の館を建てたことに由来しているという。偶然だが明治維新のさい江戸から官軍に負けて逃げてきた榎本武揚らが西洋式の五稜郭を築城した。今その城跡は観光資源となっている。5月の桜の頃は人出で賑わう。
函館は観光資源に富んでいるが、最高は函館山(標高344m)である、形が牛の臥せているのに似てることから牛臥山とも呼ばれるが、市内の麓から車でもロープウェで頂上まで行ける。展望台からは函館湾が一望でき晴れた日には下北半島まで望める。特に函館の夜景が良い。
函館駅前の朝市も函館も「昔」があってよいが、市電に乗って湯の川温泉で一泊するのもよい。深山幽谷ではないが、遠くに海鳴りを聞き、新鮮な海鮮料理に舌づつみ極楽である。