その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ROH 『利口な女狐の物語』

2010-03-21 04:59:07 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 レオシュ・ヤナーチェクのオペラ『利口な女狐の物語』を見に行きました(→あらすじはこちらから)。正直、この公演は、行くかどうか迷っていました。知らなかったし、ファミリー向けオペラという売り込みだし、原語(チェコ語)上演でもないし・・・と思ったためですが、マッカラスの指揮を聴いてみたかったのと、金曜日の8時開始なら行けなくなるリスクは極めて低いだろうと考えチケットを購入。それでも、万が一の時を考え、10ポンドの立ち見席を購入していました。

 公演は予想以上に素晴らしいものでした。ヤナチェックの音楽を生で聴くのは初めてだと思いますが、すごく幻想的な音楽で感動しました。それに、ヤナチェック第一人者である(らしい)マッカラスのバトンで、更に色彩豊かな音楽に仕上がっていたと思いました。まずは、音楽に聴き惚れました。

 物語もなかなか奥の深いものです。自然の偉大さへの敬意、人間と動物の関係性、生命への讃歌を表したといえる物語は、日本人には特にしっくりくるもので、感動的です。そして、演出が物語を美しく表現していました。生命が宿る森、そして、その森に生活する動物、虫、鳥といった生き物たちを上手く融けこませていました。音楽とばっちりマッチングしていました。

 歌手陣は、門番役のChristopher Maltmanが陰影のある美しい声を聴かせてくれた以外は、特に際立った人はいませんでした。主役とも言える雌狐役のEmma Mattは、表情豊かな演技で、舞台の軸をしっかり作っていましたが、声量はもう一つパンチ不足でした。ただ、このオペラは美しいアリアがあるというわけではなく、むしろ台詞と歌の中に溶け込んで、劇が進んでいく形式なので、歌よりもむしろ演技の方が気になります。その点、各歌手並びに俳優さん達は其々の役をとても上手に演じていて、物語に完全移入できました。

 ファミリー向けオペラで売っていただけあって、小さな子供を連れた家族連れも目につきました。女狐が殺されてしまったシーンでは、それを見て泣いてしまった子供の泣き声がホール中に響くなど、とって微笑ましい雰囲気の中で進んだ公演でもありました。正直、この公演期間中に、できればもう一度見てみたいと思ったほどでした。大人も子供も楽しめる、おススメオペラです。

 余談ですが、一つラッキーなことが。3階バルコニー席正面の立ち見席(10ポンド)にいたところ、まとまった空席の椅子席が近くにあったので、第一幕終了時点で、一緒にいた4名の立ち見客は椅子席に移動させてもらいました。100ポンド席への昇格。ちょっと、うれしかったです。




The Cunning Little Vixen
Friday, March 19 8:00 PM

Credits
Composer: Leoš Janácek
Director: Bill Bryden
Designs: William Dudley
Lighting Design: Paule Constable
Movement: Stuart Hopps

Performers
Conductor: Charles Mackerras
Vixen Sharp-Ears: Emma Matthews
Gamekeeper: Christopher Maltman
Fox: Elisabeth Meister
Schoolmaster / Mosquito: Robin Leggate
Gamekeeper's Wife / Owl: Madeleine Shaw
Priest / Badger: Jeremy White
Harašta: Matthew Rose
Pásek: Alasdair Elliott
Innkeeper's Wife: Elizabeth Sikora
Pepík: Simona Mihai§
Frantík: Elizabeth Cragg
Rooster / Jay: Deborah Peake-Jones
Dachshund: Gerald Thompson
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする