その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ギルバート&サリヴァン 『ミカド』 (Gilbert & Sullivan: The Mikado)

2010-03-17 07:23:53 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 昨年読んだ『へそ曲がりの大英帝国』という本に「ミカド」はイギリスの国民的オペラ「サヴォイ・オペラ」の代表作との解説があったので、機会があれば一度是非、見たいものだと思っていました。「サヴォイ・オペラ」とは「作曲家アーサー・サリヴァンと戯曲家W・S・ギルバートが協力して作った現存する十三のオペラにつけられた愛称」です。同書によると「シニカルな要素と感傷的な側面を併せ持っているところが、イギリス人の嗜好とマッチ」し、人気となってきたとのことです。

 「ミカド」はサヴォイ・オペラの中でも最高の人気を誇る作品とのことです。日本の場面設定をしつつ、当時のヴィクトリア朝イギリス社会に向けたジョークや風刺の作品らしいのですが、ストーリーはまるで他愛のないものです(→こちら)。

 会場は「サヴォイ・オペラ」の代表作らしく、お年を召したカップルや家族連れが目立ちました。公演では、何より笑いが満載で、これまで見たオペラやミュージカルの中でも、かなり高いアットホームな雰囲気にあふれたものでした。

 私には、・・・・・・・・・・・・、正直、何が面白いのかわかりませんでした。全体のストーリーは予習済みでしたが、英語の台詞がわからないせいなのか、英語がわかってもジョークが分からないのか、わかりませんが、全然面白くありません。笑いの渦の中で、笑えない悲しさ。結構、つらかったです。

 作品は、オペラもしくはオペレッタというよりも踊りがないミュージカルでした。セミ・コンサート方式とはいえ、舞台の箱物がないだけで、出演者たちは立派に演技をしているし、マイク/スピーカーも使うし、台詞も結構あるので、観ている感じがミュージカルでした。

 音楽のメロディはとっても親しみやすいものでした。演出は登場人物を現代風に置き換え、個々の台詞も所々、現代の設定に修正が施されているようでした。

 出演者の中では、ココ役を務めたSimon Butterissの演技が素晴らしかった。この劇の楽しい雰囲気は彼を中心に作られていたと言ってよいでしょう。歌はナンキン・プーのDavid Curryの綺麗なテノールが印象的でした。

 最後まで残った疑問。なんでこのオペラがイギリス人の間では人気なのだろう?ようわからんな~、イギリス人は。このオペラで笑えるようになったら、イギリス人の理解が深まったと言えるのかもしれませんが、何年居たとしても、分かる気がしませんでした。この日は、この舞台を見て笑うイギリス人が一番面白いものでした。

David CurryとRebecca Bottone


Jill PertとSimon Butteriss




London Concert OrchestraとLondon Concert Chorus


Gilbert & Sullivan: The Mikado (or The Town of Titipu)
(semi-staged concert performance)

London Concert Orchestra
Richard Balcombe conductor
Alistair McGowan The Mikado of Japan
David Curry Nanki-Poo
Bruce Graham Pooh-Bah
Giles Davies Pish-Tush
Simon Butteriss Ko-ko
Rebecca Bottone Yum-Yum
Sophie Louise Dann Pitti-Sing
Anna Lowe Peep-Bo
Jill Pert Katisha

London Concert Chorus
コメント
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