その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤル・オペラ・ハウス 『賭博師』 (The Gambler)

2010-03-01 01:47:50 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 プロコフィエフのオペラ「賭博師」をロイヤル・オペラ・ハウスへ見に行きました(最終公演日)。プロコフィエフのオペラは初めて見るのですが、歌唱、演奏、演出の高いレベルで三位一体となった素晴らしい公演でした。

 ※筋はdognorahさんのブログを参考に願います。こちらから

 まずは、General役のトムリンソン(John Tomlinson)。昨年の迫力ある低音は舞台を引き締め、狂気迫る演技は舞台に緊張感をもたらしてくれました。アレクシ役のサッカ(Roberto Saccà) も魅力あるテノールです。そして、Polina役のダンケ(Angela Denoke)。昨年末にLSOのオテロで聴きましたが、相変わらず声といい、ボリュームといい素晴らしいです。演技も抜群で、文句なしで光っていました。
※John Tomlinsonの挨拶


※Roberto Saccàの挨拶


 オーケストラも主任指揮者パッパーノの元、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。賭博の緊張感、リズム感、その裏に潜む人間のもろもろの欲望を描いたプロコエキフの音楽を迫力満点で聴かせてくれました。拍手もパッパーノへの拍手が一番大きかったように聞えました。


 舞台・演出も非常によく出来た、楽しめるものでした。冒頭、幕にかかったCASINOの電光掲示板が光って舞台開始となるサプライズに始まり、それ以降も、頻繁に変わる舞台は、演劇的なこのオペラを一層盛り上げてくれました。第3幕以降、もろもろの騒動の場面にホテルの従業員(靴磨き師?)を入れていたのは、当事者たちとは無縁の世界に生きる第三者の視点から騒動を眺めるという趣旨なのだと思うのですが、それも効果的だったと思います。


 ギャンブルやお金を通じて人間の感情や行動を描くこの物語は風刺的で奥が深いものです。公演を見ていて、ドストエフスキーの原作の重みが、原点にあることと強く感じました。一度、是非、原作を読んでみたいと思います。

 総合芸術としての、オペラの素晴らしさ、楽しさを堪能した公演でした。

 蛇足です。いつもお金の話で恐縮ですが、この演目はロイヤルオペラの新規観客開拓のためのプロモーション価格設定です。一番高い席で50ポンド。今日の私の席は、4階席2列目。通常でしたら、100ポンドはするのでなかなか手がでない席なのですが、今日は何と15ポンド。お陰で、舞台も全体が良く見えるし、オケも歌手もよく聴こえるという素晴らしい環境でした。是非、この手の企画は続けてほしいです。

The Gambler
Saturday, February 27 7:00 PM

Credits
Composer: Sergey Prokofiev
Director: Richard Jones
Set Designer: Antony McDonald
Costume designs: Nicky Gillibrand
Lighting Designer: Mimi Jordan Sherin
Movement Director: Sarah Fahie

Performers
Conductor: Antonio Pappano
Alexei: Roberto Saccà
Polina: Angela Denoke
General: John Tomlinson
Blanche: Jurgita Adamonyte
Marquis: Kurt Streit.
Mr Astley: Mark Stone
Babulenka: Susan Bickley
Prince Nilsky: John Easterlin
Potapytch: Dawid Kimberg§
Baron: Jeremy White
Gaudy Lady: Simona Mihai§
Pale Lady: Elisabeth Meister§
Dubious Old Lady: Elizabeth Sikora
Lady Comme Ci, Comme Ça: Carol Rowlands
Venerable Lady: Kai Rüütel§
Rash Gambler: Jeffrey Lloyd-Roberts
Hypochondriac Gambler: Steven Ebel§
Hunchback Gambler: Alasdair Elliott
Aged Gambler: John Cunningham
Fat Englishman: David Woloszko
Tall Englishman: Lukas Jakobski§
Director: Graeme Danby
First Croupier: Hubert Francis
Second Croupier: Robert Anthony Gardiner§
コメント
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