その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロンドン リーダーシップ・セミナー

2010-03-27 08:27:40 | ロンドン日記 (日常)
 とあるビジネススクールからリーダシップについての講演会のご案内を頂き、聞きに行きました。

 2人のスピーカーがそれぞれ30分程度話をし、質疑応答を入れて90分という内容です。久しぶりに、ちょっとアカデミックな香りを嗅いで、賢くなった気分でした。

 最初のスピーカーは、そのビジネススクールの教授です。内容を一言でいうと、「最近はやたらとリーダーシップが流行で、マネジメントというのはその対極の概念として、隅っこに追いやられている感じだけども、リーダーにはリーダーシップとマネジメントの両方を使い分ける必要がある」ということでした。「オバマ大統領は優れたリーダーだが、保険法案を通す際には、議会対策をはじめとして、優れたマネジャーであることを示した」とのことです。ふむふむ・・・という感じです。

 興味深かったのは、二人目のスピーカー。そのビジネススクールの卒業生で、今はとある建設会社の社長さんをやっている方。

 この方は、現場で何が起こっているかを知るために、新入りの建設現場員として、2週間自社の現場仕事に汗を流したとのこと。これは、BBCの"Undercover Boss"というタイトルで、ドキュメンタリー番組としてテレビ放送されたそうです。

 何が興味深かったかというと、発言のふしばしに、欧州の会社では、現場とマネジメントがここまで乖離しているのかと感じさせられるコメントが次から次への繰り出されたからです。

「スーツを脱いで、作業服を着て、フロントの人たちと同じ目線にたてた」
「現場とのコミュニケーションがいかに大切かが骨身にしみた」
「マネジャーが彼らから見てどのように写っているのかが分かった」
・・・・

 良くも悪くも日系企業との違いを感じざる得ませんでした。日系企業で育った会社員としては、「そんなの当たりまえだろう」ということばかりです。やはりこちらには、マネジメントと非マネジメントの間に歴然たる明確な線が引いてあって、その線のこちらとむこうでは、基本的に世界が違うんだ。ということが前提になっているということがとても強く感じられました。

 日本の建設会社の新卒社員が最初、現場仕事から始まるかどうかは知りませんが、少なくても日本の会社は、今マネジメント職についている人も、最初は現場から始まった人が殆どだと思います。そこから、段々とキャリアアップしていくので、現場の目線や、現場の大切さというのは、もう最初から社会人としてのDNAの中に折り込まれていると思うのです。

 もちろん、これはいいことばかりではありません。現場主義の発想ができる反面、大胆な改革ができない、カイゼンの積み重ねしかできないという限界でもあるからです。

 ひょんなところで、凄く企業カルチャーの違いということを実感した1時間半でした。

 2010年3月25日
コメント
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