その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

LSO/ Sir Colin Davis with Mitsuko Uchida

2010-05-11 07:32:21 | コンサート (in 欧州)
 随分前にチケットを買ったので忘れていましたが、チケットを引き取り、席に着いたら何と一階席の一番前のど真ん中の席でした。まさに指揮台のすぐ斜め後ろ。きっと、今日のピアノ独奏の内田光子さんを近くで見ようと思って買ったのだと思います。

 その内田さんのモーッアルトピアノ協奏曲第17番。最高でした。柔らかく、繊細で、美しい。これぞ、モーツアルトって感じでした。近くで見ると、当たり前かもしれませんが、その集中力の凄まじさも、痛いほど伝わってきます。そして、いかに内田さんが一つ一つの音符の強弱や質感を大切にしているかということが手に取るように分かりました。素晴らしいピアノ演奏なのですが、ピアノだけを目立たそうとしているわけでないのも良くわかります。LSOの演奏とピアノのお互いが、そっと寄り添い、仲の良い夫婦のような感じで、共同作業として音楽を創り上げていくという、印象を持ちました。演奏後は、聴衆から爆発的な拍手。皆、思いは同じだったようです。

 今日は、コンサートマスターがいつもと違う女性の方(コンサートミストレス)でした。とっても若くて綺麗な方な上に、演奏する姿勢が背筋が伸びて、美しい。見とれてしまいました。演奏はとっても力強く、オケをグイグイ引っ張っていく感じでした。一列目の席だと、第一ヴァイオリンの前の方にいる人の演奏は、一人ひとりの音までも個別に聞き取ることができるという、前列ならではの面白さがありました。一曲目のハイドンは、その弦パートがフルに活躍する、とっても重厚な演奏でした。

 そして、最後はニールセンの第4交響曲。これをLSOの演奏で聴くのに最前列はちょっときついです。音の塊がダイレクトにぶつかってきて、耳が潰れるかと思った。演奏は、これまた重厚かつキレのある素晴らしいもので、LSOの金管、ティンパニー陣が炸裂しているのが、演奏者の姿は見えませんが良くわかりました。それに、フルボリュームの弦パートの音まで加わりますから、すごいのなんのって。この迫力は高級オーディオのヴォリュームを一杯にしてCDを聴いても、絶対味わえないと思います。生演奏の醍醐味でした。

 デイヴィスさん、相変わらず元気です。真下で聴いていると、かれも時々声を出しているのが分かりました。いつも、細かい指示と言うよりも全体に気を配った指揮ぶりに御見受けしますが、私はデイヴィスさんのスケールの大きな演奏が大好きで、今日も十分堪能させてもらいました。

(ピアノが目の前です。感動しすぎで、内田さんの写真は撮れませんでした)


(ニールセン終演後。いつも折り目正しいコリンズさんです)


(目新しいコンミスさん)



London Symphony Orchestra / Sir Colin Davis
with Mitsuko Uchida
9 May 2010 / 19:30
Barbican Hall

Haydn Symphony No 97
Mozart Piano Concerto No 17, K453
Nielsen Symphony No 4 ('Inextinguishable')

London Symphony Orchestra
Sir Colin Davis conductor
Mitsuko Uchida piano


コメント
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