2010年5月23日
朝起きたら、空はどんより曇り。このまま、曇りの天気が続いてくれたらと思ったが、イギリスの天気がそんな甘いもんじゃないことは、百も承知。
朝のB&Bの朝食を済ませ、いよいよ出陣。ランナーたちが続々と集まってくる。スタート地点は、エジンバラ中心部の東端。写真の中央にかすかに小さく写っているエジンバラ城の反対側。
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スタート地点のリージェンストリートは、カールトン・ヒル(昨夏の旅行記はこちら→)のふもとで、ホリルード公園(昨夏の旅行記はこちら→)が見渡せる。朝方は曇っていたが、徐々に雲が切れ、待っている間に晴れ間が覗いてきた。今日はどこまで暑くなるのだろうか。昨日ぐらい暑くなると苦しいなあ。
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丁度、10時スタート。公園の麓を通って、街中を抜け、東方向に向け海に向かう。出だしの数マイル、昨夜は9時半に寝ただけあって好調に走り始める。太陽が覗き、気温がどんどん上がってくるのが分かる。
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前半はとにかく暑さ対策に集中。ポイントでもらう水ボトルを三文の一飲んでは残りは手に持ち適宜体にかけて体温の上昇を防ぐ。白人さんにはこの暑さは辛いだろうなあと、この時は相手を気遣う余裕もあり。
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右手に見える海は静かで、湖のような海だ。暑さはあるものの、ハーフ過ぎまでは順調。2時間47分台、ちょっと速すぎるかなというぐらい。
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急に様相が変わり始めたのは、15マイル地点ぐらいから。微妙な気がつかないぐらいの緩い上り傾斜が続いたせいか足が急に動かなくなってきた。「オーイ、まだハーフちょっと過ぎで後20キロ近く残っているんだぜ。いくらなんでも、足に来るのは早すぎるだろ。勘弁してくれよ。」と自分のからだと対話。話したからと言って良くなる訳でも無く、更にだらだら斜面が続き、とても苦しい。足が釣って動かないなら諦めもつくが、そういう訳ではなく、ただ重く動きにくいのだ。それがかえって自分の意思の強さを試されているようで、無性に自分の体に腹が立つ。 菜の花畑など綺麗な風景を楽しむ余裕は無くなってきた。
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誤魔化し誤魔化しでなんとか30キロ地点へ、一応ラップを刻むが、正直、意識がもうボーっとしていて、時計を見る余裕はない。あと10キロは長いなあ〜。疲れ度から言ったら、もうフルを走りきったような状態。こりゃ、久しぶりに途中棄権かも、とやや諦めにも近い気持ちが湧き始める。ただ、相かわらず海を横手に見ながらの風景は素晴らしい。あと12キロだ。走りきろう!「がんばろう」→「駄目かも」→「がんばろう」→「駄目かも」を5分おきに繰り返していたような気がする。
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ただ、30キロ過ぎから、気合いを入れ直して、走り始めたところで、今度は左ふくらはぎが釣り始める。この症状は珍しくないので、そろそろ来ると思ってたところだ。忍者走りのように、ふくらはぎをなるべく使わずに走ってみる。すると、今度は左腿の裏側、更には右のふくらはぎまで、釣り始める。走れなくなるほどの酷い痙攣ではなかったので、再び、走り歩きのような、傍目で見ているときっと歩いているようにしか見えない走りで誤魔化した。幸い往路で苦しんだ緩い上りが、逆に復路では緩い下りになったので、その誤魔化しも結構通用した。
助かったのは、ゴールが近づくにつれて沿道の応援がすごくなったこと。声援に背中を押されると言うのは本当なのである。この日の自分は押されると言うより、声援に引っ張ってもらった感じだ。沿道の家から、庭の芝生の水まきようのホースからシャワーを浴びせてくれたり、子供が水鉄砲で打ち込んできたりしてくれるのも、熱くなった体には大いに助かった。
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ゴールは、エジンバラのMusselburghという地元競馬場。スタンドに一杯のサポーターが応援してくれている。競走馬になったつもりで最後の直線で、自分に鞭を入れた。タイムは4時間15分17秒。中盤、あんなに情けない走りにしてはタイムはびっくりするほどまずまずだった。
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終了後の華やかさはアムステルダムマラソンを遥かに凌ぐものだった。生ビールの露店がたち、食事の屋台も多数。お祭り気分満載。ただ自分は、余りの疲労と、走りながらかじったアミノ酸錠剤の後味の悪さから、気分が悪くなる始末。まあ自分の場合は今回一人だから話す相手もいないが、よくもまあみんなレース後に楽しそうにビール飲んだり談笑したりできるもんだと、羨ましいというより、恨めしかった。賞品のメダルとTシャツだけはと思い、写真に撮った。
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自己採点は60点の走り。後半は自分が考えていたような走りが全く出来なかった。ここ2年はそれなりに自分が考えていたのに近い走りができていただけに、呆然とするほどのショックだった。何が悪かったのか?やっぱり前半ペースが早すぎたのだろうか?気温の影響か?コースの難しさ?自分でも良く分からないのが、欲求不満が残る。もう、当分、フルは勘弁願いたいと心底思った。(でも10月のアムステルダムマラソンをもう申し込んじゃっているんだけど・・・)。
それにしても、風景の美しさは格別だった。こんなところで暮らしていたら、きっと、穏やかな平和な人間になれるだろうなあなどと思わせるような風景だった。
(手持ちの時計のラップ)
10k 53.07
Half 1.52.46
30k 2.50.04
Final 4.15.17
朝起きたら、空はどんより曇り。このまま、曇りの天気が続いてくれたらと思ったが、イギリスの天気がそんな甘いもんじゃないことは、百も承知。
朝のB&Bの朝食を済ませ、いよいよ出陣。ランナーたちが続々と集まってくる。スタート地点は、エジンバラ中心部の東端。写真の中央にかすかに小さく写っているエジンバラ城の反対側。
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スタート地点のリージェンストリートは、カールトン・ヒル(昨夏の旅行記はこちら→)のふもとで、ホリルード公園(昨夏の旅行記はこちら→)が見渡せる。朝方は曇っていたが、徐々に雲が切れ、待っている間に晴れ間が覗いてきた。今日はどこまで暑くなるのだろうか。昨日ぐらい暑くなると苦しいなあ。
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丁度、10時スタート。公園の麓を通って、街中を抜け、東方向に向け海に向かう。出だしの数マイル、昨夜は9時半に寝ただけあって好調に走り始める。太陽が覗き、気温がどんどん上がってくるのが分かる。
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前半はとにかく暑さ対策に集中。ポイントでもらう水ボトルを三文の一飲んでは残りは手に持ち適宜体にかけて体温の上昇を防ぐ。白人さんにはこの暑さは辛いだろうなあと、この時は相手を気遣う余裕もあり。
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右手に見える海は静かで、湖のような海だ。暑さはあるものの、ハーフ過ぎまでは順調。2時間47分台、ちょっと速すぎるかなというぐらい。
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急に様相が変わり始めたのは、15マイル地点ぐらいから。微妙な気がつかないぐらいの緩い上り傾斜が続いたせいか足が急に動かなくなってきた。「オーイ、まだハーフちょっと過ぎで後20キロ近く残っているんだぜ。いくらなんでも、足に来るのは早すぎるだろ。勘弁してくれよ。」と自分のからだと対話。話したからと言って良くなる訳でも無く、更にだらだら斜面が続き、とても苦しい。足が釣って動かないなら諦めもつくが、そういう訳ではなく、ただ重く動きにくいのだ。それがかえって自分の意思の強さを試されているようで、無性に自分の体に腹が立つ。 菜の花畑など綺麗な風景を楽しむ余裕は無くなってきた。
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誤魔化し誤魔化しでなんとか30キロ地点へ、一応ラップを刻むが、正直、意識がもうボーっとしていて、時計を見る余裕はない。あと10キロは長いなあ〜。疲れ度から言ったら、もうフルを走りきったような状態。こりゃ、久しぶりに途中棄権かも、とやや諦めにも近い気持ちが湧き始める。ただ、相かわらず海を横手に見ながらの風景は素晴らしい。あと12キロだ。走りきろう!「がんばろう」→「駄目かも」→「がんばろう」→「駄目かも」を5分おきに繰り返していたような気がする。
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ただ、30キロ過ぎから、気合いを入れ直して、走り始めたところで、今度は左ふくらはぎが釣り始める。この症状は珍しくないので、そろそろ来ると思ってたところだ。忍者走りのように、ふくらはぎをなるべく使わずに走ってみる。すると、今度は左腿の裏側、更には右のふくらはぎまで、釣り始める。走れなくなるほどの酷い痙攣ではなかったので、再び、走り歩きのような、傍目で見ているときっと歩いているようにしか見えない走りで誤魔化した。幸い往路で苦しんだ緩い上りが、逆に復路では緩い下りになったので、その誤魔化しも結構通用した。
助かったのは、ゴールが近づくにつれて沿道の応援がすごくなったこと。声援に背中を押されると言うのは本当なのである。この日の自分は押されると言うより、声援に引っ張ってもらった感じだ。沿道の家から、庭の芝生の水まきようのホースからシャワーを浴びせてくれたり、子供が水鉄砲で打ち込んできたりしてくれるのも、熱くなった体には大いに助かった。
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ゴールは、エジンバラのMusselburghという地元競馬場。スタンドに一杯のサポーターが応援してくれている。競走馬になったつもりで最後の直線で、自分に鞭を入れた。タイムは4時間15分17秒。中盤、あんなに情けない走りにしてはタイムはびっくりするほどまずまずだった。
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終了後の華やかさはアムステルダムマラソンを遥かに凌ぐものだった。生ビールの露店がたち、食事の屋台も多数。お祭り気分満載。ただ自分は、余りの疲労と、走りながらかじったアミノ酸錠剤の後味の悪さから、気分が悪くなる始末。まあ自分の場合は今回一人だから話す相手もいないが、よくもまあみんなレース後に楽しそうにビール飲んだり談笑したりできるもんだと、羨ましいというより、恨めしかった。賞品のメダルとTシャツだけはと思い、写真に撮った。
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自己採点は60点の走り。後半は自分が考えていたような走りが全く出来なかった。ここ2年はそれなりに自分が考えていたのに近い走りができていただけに、呆然とするほどのショックだった。何が悪かったのか?やっぱり前半ペースが早すぎたのだろうか?気温の影響か?コースの難しさ?自分でも良く分からないのが、欲求不満が残る。もう、当分、フルは勘弁願いたいと心底思った。(でも10月のアムステルダムマラソンをもう申し込んじゃっているんだけど・・・)。
それにしても、風景の美しさは格別だった。こんなところで暮らしていたら、きっと、穏やかな平和な人間になれるだろうなあなどと思わせるような風景だった。
(手持ちの時計のラップ)
10k 53.07
Half 1.52.46
30k 2.50.04
Final 4.15.17