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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

コーンウォール(Cornwall)旅行 (3) 続いてPorthcurnoを訪れる

2010-08-03 23:01:57 | 旅行 海外
 Land's Endに続いて、隣の(バスで15分)のPorthcurnoを訪れる。主目的は、ここにあるMarmick Theatereを見に行くためだ。

(Porthcurno Telegraph Museum)
 降りたバス停の前にあったパブで食事を済ませ、まず、Porthcurno Telegraph Museum(電信博物館)へ。イギリス人の同僚が、「子供には退屈だけど、行ってみる価値はあるところ」と教えてくれた博物館である。



 なぜこんなところに電信博物館かと思うが、このにには1870年に当時英国植民地だったインドに向けての電信線の海底ケーブルが歴史上初めて施設され、電信局が置かれたところなのである。そして、第2次大戦中は、大切な電信局をドイツの爆撃から守るために、地下に移設して、秘密文書のコーディング、ディコーディングが行われた。まさにその、地下電信局がそのまま博物館になっている。



 その歴史だけでも私には感動モノなのだが、博物館そのもののも期待以上の優れたものだった。観光客寄せの子供騙しかと思いきや、展示品が量も質もレベルが高い上に展示のしかたもうまい。ガイドさんのお父さんがここの職員として35年働いていたと言っていたが、そういう気持ちの入った解説だった。時間があればもっといたかったが、5時半のバスを逃すと夜10時の最終バスまでないので先を急ぐ。





(Porthcurno Beach)
 電信博物館から3分ほど歩くと、ビーチへ出る。海を目前にしたそのとき、コバルトブルーに輝きを見て息を飲んだ。丁度、厚い雲が切れかかり、太陽が覗き始め、白い砂浜に、透明度の高い水が空の色を反射して青く眩しく光っている。イギリスにこんなビーチがあるとは思いもしなかった。





 ビーチそのものは、左右を岩壁に挟まれそれほど大きくは無いが、それが故に別世界を作っている。海の家もなく、ファミリー層が多く、若者は少ないので、アットホームなローカルビーチの趣がある。子供の歓声が止むことがなく、岸壁に反射してこだましているようにも聞こえる。まさに秘境ビーチである。海の水は思いのほか、冷たかった。写真を取りまくるが常に全体の一部しか捕らえられないのが悔しい。





 Minack Theatreに向かうべく、岸壁を登るが、上れば上るほどそのビーチの美しさの全体像が目に入ってくる。岸壁の茶色、草の緑、花の赤、水の青、素晴らしい色彩だった。





(Minack Theatre)
 そして圧巻はそのビーチの海に向かって左手にそびえ立つ岩壁の中腹に築かれたMinack Theatre 劇場。イギリス人の演劇好きの女性が50年の歳月をかけ作り上げた野外劇場である。





 岩壁を上ってその劇場に足を踏み入れると、その景観だけでなく、劇場そのものからオーラを感じる。その女性の執念が染み付いているような感覚である。一昨年、バリ島のケチャックダンスを見たタナロット寺院の劇場も岸壁に建った素晴らしい劇場だったが、劇場としてはこちらのがもっと凝ってある。観客席で腰を下ろして、劇場全体を眺める。舞台の上では、次の公演の準備だろうかぱっと数えただけでも20人近くの人が働いている。イギリス人の演劇にかける情熱が判るような気がする。文化っていうのは、こういう形にも現れるものだと何かわかった気にもなる。今日は公演はない(何故か公演は週日のみなのである)が、是非見てみたい。







 ここから見る海の大きさ、青さも素晴らしい。




 バスに乗って街に戻る際に色々思うところを考えた。夜行列車で、移動の風景を見ていないからならのか、同じイギリスなのに今まで訪れたイギリス旅行とは明らかに違う雰囲気は何なのか不思議だった。別の国に来たような感覚がある。十分観光地なのだが素朴で、穏やかな雰囲気。そして、一番のハイシーズンのはずなのに、人も多いということは決してない、このゆったり感。垢抜けないといえば、垢抜けない。辺境の地のせいか、気候のせいか、よく判らないが、間違いなく自分が好きな雰囲気だった。





 2010年7月30日






コメント (2)
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