今年の春先にロンドンで行ったLondon Philharmonicとのシベリウス交響曲チクルスが大好評だったオスモ・ヴァンスカ(Osmo Vänskä)さんが手兵ミネソタ管弦楽団を率いてのプロムス公演です。公演は早々に売り切れだったので行く予定はなかったのですが、仕事の関係で行けなくなってしまった来週のPromsにチケットの交替にBox Officeを訪れたところ、当日のリターンチケットが数枚あるとのことで、幸運にも2階席の良い席が追加料金を払ってゲットできました。
前半はベルグのヴァイオリン協奏曲。18歳で亡くなったマノン・グロピウス(アルマ・マーラー(生前のマーラーの奥さん)とヴァルター・グロピウスが設けた娘)の追悼曲として作曲した作品ですが、彼自身の最後の作曲になってしまった曲とのことです。
バイオリン独奏のGil Shahamは、緊張感と優しさが併存するこの曲を美しく演奏してくれました。私はベルグの無調音楽とかはまだまだ慣れないのですが、この曲は所々美しいメロディが響きます。ヴァンスの指揮にもしっかり合わせていこうとする姿勢が、今日の席からは良く分かりました。
満員のアルバートホールなのに、演奏中、殆ど咳や物音がしないのに驚きました。聴衆もみな高い緊張感を持って聴いているのが良くわかります。広いアルバートホールが一点に集中している、そんな感じのする会場でした。
大きな拍手に応えて、アンコールもやってくれました。曲名は聞き取れませんでしたが、優しい音楽で、ベルグのヴァイオリン協奏曲のデザートとして、そして、次の第9の前菜として最高の曲選択でした。
(演奏終了後、ヴァンスカは抱き合ってシャハムを讃える)
(大きな拍手に応える)
後半はベートーベンの第9番。このコンビでこの曲のCDも出しているので、どんな演奏になるのかとても楽しみでした。前に第9を聴いたのは、LSOとガーディナの超高速第9でしたし。
第1、2楽章は良くいえば、堂々と重厚なベートーベン。悪く言えば、正統派すぎてあまり面白みはないなあという感じの演奏でしたCDを聴いているような感じです。オーケストラも悪くはないのですが、何か特徴的なところがあまりないなあと思ってしまいました。
しかし、第3楽章は特筆でした。もともと第3楽章は大好きなのですが、柔らかで包み込むような暖かい演奏は、自分を柔らかい綿の中に包まれているような感覚にトランスさせてくれました。弦楽器が奏でるメロディや木管楽器とのハーモニーは、至福とはまさにこんな感じを言うのだろうというほどの演奏でした。
第4楽章は、ヴァンスカ、オーケストラ、独唱、合唱団がパワー全開。独奏陣は冒頭のバスのNeal Davies の冒頭の出だしの独唱やソプラノのHelena Juntunen の声が良く響いていましたが、ちょっとあのアルバートホールでのステージ後方からの独奏はちょっと大変そうでした。合唱はBBCコーラス。100名を超える合唱は迫力抜群で、クライマックスでは全てが最高潮に達して、曲が終わりました。もちろん、会場からは凄い拍手。何度も何度も、ヴァンスカさん舞台に呼び戻されてました。
(オケを讃えるヴァンスカ)
(独唱陣たち)
(合唱も見事でした)
ミネソタは15年前にミルウオーキー訪れて、ブリューワーズの試合を観たり、ビールのミラーの工場見学をしたりで、とても良い思い出のある土地です。オーケストラの本拠地はミネアポリスですが、ミルウオーキーでも年に何度か公演をしていました。当時は、大植 英次さんが首席指揮者に就任したところでした。今回はミネソタ管そのものには特に目っだところは感じませんでしたが、米国の中西部らしい真面目で、ヴァンスカとのコンビは確固たる信頼関係にある良い楽団だなあとの感想を持ちました。
Date Saturday 28 August 2010
Time 7.30pm–c9.40pm
Venue Royal Albert Hall
Berg Violin Concerto (28 mins)
interval
Beethoven Symphony No. 9 in D minor, 'Choral' (68 mins)
Gil Shaham violin
Helena Juntunen soprano
Charlotte Hellekant mezzo-soprano
Eric Cutler tenor
Neal Davies bass
BBC Symphony Chorus
Minnesota Orchestra
Osmo Vänskä conductor
前半はベルグのヴァイオリン協奏曲。18歳で亡くなったマノン・グロピウス(アルマ・マーラー(生前のマーラーの奥さん)とヴァルター・グロピウスが設けた娘)の追悼曲として作曲した作品ですが、彼自身の最後の作曲になってしまった曲とのことです。
バイオリン独奏のGil Shahamは、緊張感と優しさが併存するこの曲を美しく演奏してくれました。私はベルグの無調音楽とかはまだまだ慣れないのですが、この曲は所々美しいメロディが響きます。ヴァンスの指揮にもしっかり合わせていこうとする姿勢が、今日の席からは良く分かりました。
満員のアルバートホールなのに、演奏中、殆ど咳や物音がしないのに驚きました。聴衆もみな高い緊張感を持って聴いているのが良くわかります。広いアルバートホールが一点に集中している、そんな感じのする会場でした。
大きな拍手に応えて、アンコールもやってくれました。曲名は聞き取れませんでしたが、優しい音楽で、ベルグのヴァイオリン協奏曲のデザートとして、そして、次の第9の前菜として最高の曲選択でした。
(演奏終了後、ヴァンスカは抱き合ってシャハムを讃える)
(大きな拍手に応える)
後半はベートーベンの第9番。このコンビでこの曲のCDも出しているので、どんな演奏になるのかとても楽しみでした。前に第9を聴いたのは、LSOとガーディナの超高速第9でしたし。
第1、2楽章は良くいえば、堂々と重厚なベートーベン。悪く言えば、正統派すぎてあまり面白みはないなあという感じの演奏でしたCDを聴いているような感じです。オーケストラも悪くはないのですが、何か特徴的なところがあまりないなあと思ってしまいました。
しかし、第3楽章は特筆でした。もともと第3楽章は大好きなのですが、柔らかで包み込むような暖かい演奏は、自分を柔らかい綿の中に包まれているような感覚にトランスさせてくれました。弦楽器が奏でるメロディや木管楽器とのハーモニーは、至福とはまさにこんな感じを言うのだろうというほどの演奏でした。
第4楽章は、ヴァンスカ、オーケストラ、独唱、合唱団がパワー全開。独奏陣は冒頭のバスのNeal Davies の冒頭の出だしの独唱やソプラノのHelena Juntunen の声が良く響いていましたが、ちょっとあのアルバートホールでのステージ後方からの独奏はちょっと大変そうでした。合唱はBBCコーラス。100名を超える合唱は迫力抜群で、クライマックスでは全てが最高潮に達して、曲が終わりました。もちろん、会場からは凄い拍手。何度も何度も、ヴァンスカさん舞台に呼び戻されてました。
(オケを讃えるヴァンスカ)
(独唱陣たち)
(合唱も見事でした)
ミネソタは15年前にミルウオーキー訪れて、ブリューワーズの試合を観たり、ビールのミラーの工場見学をしたりで、とても良い思い出のある土地です。オーケストラの本拠地はミネアポリスですが、ミルウオーキーでも年に何度か公演をしていました。当時は、大植 英次さんが首席指揮者に就任したところでした。今回はミネソタ管そのものには特に目っだところは感じませんでしたが、米国の中西部らしい真面目で、ヴァンスカとのコンビは確固たる信頼関係にある良い楽団だなあとの感想を持ちました。
Date Saturday 28 August 2010
Time 7.30pm–c9.40pm
Venue Royal Albert Hall
Berg Violin Concerto (28 mins)
interval
Beethoven Symphony No. 9 in D minor, 'Choral' (68 mins)
Gil Shaham violin
Helena Juntunen soprano
Charlotte Hellekant mezzo-soprano
Eric Cutler tenor
Neal Davies bass
BBC Symphony Chorus
Minnesota Orchestra
Osmo Vänskä conductor