「こんにちわッ、テディちゃでス!
いざッ、まくをォ~あけよッ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!照明ON!)
こんにちは、ネーさです。
開幕を告げるベルが鳴って、
さあ、読書タイムの始まりですよ。
本日は、《演劇ミステリ》とも言える↓こちらの長編作品を、どうぞ~♪

―― 闇が迫る ――
著者はナイオ・マーシュさん、
原著は1982年に、画像の日本語版は2023年5月に発行されました。
英語原題は『Light Thickns』、
『マクベス殺人事件』と日本語副題が付されています。
「ぱちぱちぱちィ~!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:まずは第一幕から!)
ウィリアム・シェイクスピアさん作『マクベス』。
ロンドンのドルフィン劇場では、
いままさに『マクベス』上演準備で
役者さんもスタッフさんも、そわそわ、ピリピリの真っ最中です。
演出を担当するペレグリン・ジェイさんは、
実力ある役者さんを集め、
美術や衣装も優秀なスタッフで固めて、
舞台稽古もリハーサルも、
順調に進行中――
と言ってしまっては、
そわそわピリピリの説明がつきませんよね。
ええ、実は……
「とらぶるゥ、なのでスゥ!」
「がるるぐるがる!」(←訳:何かがヘンだよ!)
ジェイさん、役者さんに倒れ方を実演してみせた際に
怪我をしてしまいました。
いえ、ジェイさんのミスではありません。
倒れた場所に、ある筈のないモノが置かれていたのです。
それは、劇中で使用される、中世の武具。
幸いにもジェイさんの怪我は重傷ではなく、
彼は出演者ではありませんから、
翌日も『マクベス』の稽古は粛々と実行されました。
他にも、細々としたトラブルが、あれこれと。
「ふあんッでスよゥ!」
「ぐるるるるるがる……」(←訳:落ち着かないよね……)
不安を喉元に溜め込んだまま、
最終リハーサルへ、
そして初日の上演へ、と
時間は容赦なく進んでゆきます。
演劇の都・ロンドンで、
薄っぺらい現代モノなんかじゃなく、
あの『マクベス』を、
シェイクスピアさんの最も有名な作品のひとつを、
小学生でも筋書きを知っている作品を上演するということは、
なかなかの《冒険》で《挑戦》なのでした。
はたして、ジェイさんの『マクベス』を、
新聞の演劇欄はどう論評するのか、
批評家さんたちは、貶すのか、讃えるのか……?
「まくがァ、おりるゥまでェ……」
「がるぐるがる……!」(←訳:そわそわそわ……!)
結果は……おお、なんと!
観客さんは総立ち!
新聞は絶賛!
気難しい批評家さんも好意的!
ロングランも即決定!
と、四方八方まぁ~るく治まる成り行きに、
ジェイさんも役者さんも祝杯をかかげて、笑顔また笑顔。
良かったわね、と私たちも
山ほどの拍手を送りたい、んです、が……。
「ゆだんッたいてきィ~!」
「ぐるるがるぅ!」(←訳:急転回だよぅ!)
2週間の大入り満員が続いて後、
ジェイさんは久々に劇場を訪れます。
劇はよどみなく進み、
そして、
血に染まったマクベスの首が掲げられる場面で――
「あッ!」
「がるっ!」(←訳:ああっ!)
現実のものとなった、悲劇。
事故ではない、事件、です。
事件と相対するのは、
ロンドン警視庁の首席警視ロドリック・アレンさん。
アレン警視をよく御存知なのは、
よほどのミステリマニアさん、でしょうか。
著者のナイオ・マーシュさん(1895~1982)は
母国ニュージーランドや英国ではとても有名な作家さんですが、
日本語に訳された作品はあまり多くありません。
私ネーさ、マーシュさんの大ファンなので、
もっともっと訳出されるようにと切望しております!
おっと、話が逸れてしまいました。
ヴィンテージミステリ好きな活字マニアさんに、
演劇好きな活字マニアさんにもおすすめの一冊ですよ。
本屋さんで、図書館で、ぜひ、探してみてくださいね~♪