「こんにちわッ、テディちゃでス!
♪るるゥ~♪たびィ~ゆけばァ~♪」
「がるる!ぐるるがる?」(←訳:虎です!鉄路の香り?)
こんにちは、ネーさです。
がたたん、ごととん、と座席を揺らすのは、
眠気を誘われるレールの振動……
本日の読書タイムは、
全鉄道ファン諸氏の旅心をくすぐる
こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪
―― 鉄道無常 ――
著者は酒井順子(さかい・じゅんこ)さん、
2021年5月に発行されました。
『内田百閒と宮脇俊三を読む』と
副題が付されています。
「のりものォつながりィ?」
「ぐるるーがるぐるがる!」(←訳:モルカーから鉄道へ!)
前回記事で御紹介しました『PUI PUI モルカー』は、
車のようにヒトを乗せて運んでくれる
モルモットたちの楽しい物語でした。
対してこの御本は、
日本鉄道マニア界のビッグネーム――
内田百閒(うちだ・ひゃっけん)さん(1889~1971)
宮脇俊三(みやわき・しゅんぞう)さん(1926~2003)
おふたりの”鉄歴”を追いかける
ノンフィクション作品です。
「すじがねェいりィ!」
「がるるるぐる!」(←訳:動作保証つき!)
内田さんと宮脇さんは、
ええ、おふたりとも筋金入りの鉄道ファンで、
列車と見れば反射的に
乗り込みたくなってしまう
無類の鉄道愛好家であり、
《鉄道紀行》作家さんです。
著者・酒井さんもまた
熱心な鉄道ファンとして知られ、
鉄道に関連する作品を著しておられますが……
「まにあァのォ、こころはァ~」」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:マニアのみぞ知る!)
本文は、
『《鉄道紀行》誕生の背景』
『生まれたときから《鉄》だった』
『人生鉄路のスタート地点』
と、内田さん&宮脇さんの《鉄》行程を
進んでゆきます。
順調な《鉄》人生に襲いかかる
戦争という悪夢や、
東京大空襲……
その中で印象深いのは、
『終戦の日の鉄道』
でしょうか。
「あついィなつのォ、なのでスゥ!」
「がるるるるぐるがるる!」(←訳:駅前広場で聴くラジオ!)
宮脇俊三さんが、
父・長吉さんとともに
ラジオ放送を聞いたのは、
1945年8月15日の正午、
山形県の今泉駅でのことでした。
放送を聴き終え、
宮脇さんは混乱します。
これからどうしたらいいものか……
しかし。
―― 時は止まっていたが汽車は走っていた ――
走る汽車が、
時刻表通りに運行されている列車が、
宮脇さんの心を打ちます。
こんなときでも、
汽車は走る。
止まっていた時間が、
ふたたび動き始める――
「きてきがァ、きこえまスゥ!」
「ぐーるるがるる!」(←訳:レールが歌うよ!)
世界中がコロナ禍に見舞われている現在、
気ままな鉄道旅行はもとより、
空の旅も
海の旅も
ままなりません。
けれど、そのためでしょうか、
旅行記や旅に関する書籍の
売り上げが伸びているそうです。
いつか、旅に出る日を信じて。
百閒先生や
宮脇さんのように、
汽車旅へと出発する日を待ちながら、
ノンフィクション好きさんも
鉄道紀行好きな方々も、
ぜひ、手に取ってみてくださいね。
「いつかァかならずゥ!」
「がるるるぐる!」(←訳:ボクらも旅に!)