テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 先生、ルーヴルを歩く ~

2023-11-30 22:08:30 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あしたはァ、もうゥ~…!」

「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!12月だ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日11月30日は《絵本の日》……なのですが、明日からは12月。

 12月といえば、この御方の出番だわ!という訳で、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 岸辺露伴 ルーヴルへ行く ――

 

 

 原作は荒木飛呂彦(あらき・ひろひこ)さん、

 脚本は小林靖子(こばやし・やすこ)さん、

 小説は北國ばらっど(きたぐに・ばらっど)さん、

 2023年5月に発行されました。

 『ROHAN AU LOUVRE』と仏語題名が付されています。

 

「ろはんせんせいィ、だいにんきィ~なのでス!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:フランスでもね!)

 

 日本を超えて、海外でも大人気の漫画家

 岸辺露伴さん。

 

 新作の取材にかかろうとしていた露伴さん、

 ふっと思い出したのは、

 ずいぶんと昔――

 漫画家としてデビューした頃の、出来事です。

 

 静かで、集中できて、気ままに過ごせて、

 それでいてよく見知った場所だからと、

 若き露伴さんが住まっていたのは、

 祖母が経営していた下宿の一室。

 

 自分の他に下宿人は誰もいない、

 と思い込んでいたそこに、

 実は、一人の女性が滞在していたと分かって、

 心穏やかではない露伴さんでしたが……

 

「ふしぎなァ、おはなしィ??」

「がるぐるるる?」(←訳:本当なのかな?)

 

 どこかワケ有りな彼女――菜々瀬(ななせ)さんとの会話から、

 露伴さんは知りました。

 

   この世で《最も黒い絵》。

   

   光をまったく反射させない……

   見ることもできないほど黒い絵の具で描かれた絵……

   《最も邪悪な絵》。

   その絵は、ルーヴルにある……。

 

「むむむゥ! そうぞうゥできませんでスゥ!」

「ぐるるるるがるる??」(←訳:どういう絵だろう??)

 

 見ることも出来ないなら、それは絵と言えるのか。

 いや、遠い記憶が不意に蘇ったのは、なぜだろうか。

 

 自問しつつ、露伴さんは

 《黒い絵》が出品されると聞いてオークションに参加し落札、

 それでも飽き足らず、

 パリへと旅立ちます。

 

 《最も黒い絵》は、

 ここにあるのか……?

 

「わァいッ♪ おふらんすゥ~!」

「がるぐる~!」(←訳:花のパリ~!)

 

 露伴先生に同行する編集者の京香(きょうか)さんは、

 完全に観光モードで、

 凱旋門!シャンゼリゼ!エッフェル塔!と大はしゃぎ。

 

 しかし、観光気分は程なく吹き飛びました。

 ルーヴル職員さんの説明を聞きながら

 展示室を巡っていた露伴さんたちの目前で、

 事件が……!

 

「きんきゅうゥじたいィ~でスよゥ!」

「ぐるるるがる!」(←訳:救急車を早く!)

 

 《最も黒い絵》が秘める謎とは。

 特殊能力者・露伴さんが惹かれずにはいれない、《黒》とは。

 

 NHKで《岸辺露伴》シリーズが放送されるのは、

 決まって12月。

 なのに、今年2023年は、まだ新作放送のアナウンスがありません。

 今年はお休みかな?

 時期をずらして放送するのかな?

 とちょっと心配ではありますが、

 新作来た!のニュースに沸く日が来るまで、

 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』のノベライズ作品を、

 ファンの皆さま、ぜひ~♪

 

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~ お家で作る《新》中華 ~  

2023-11-29 22:08:30 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 くんくんッ!……ぐぐゥ~ッ!」

「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!お腹が鳴るね~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 鍋料理の素材がデパ地下やスーパーにずらりと並んで、

 私たちの食欲を大いに刺激する初冬の読書タイムは、

 いま大評判のレシピ本にフォーカスしてみましょう。

 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― あたらしい家中華 ――

 

 

 著者は酒徒(しゅと)さん、2023年10月に発行されました。

 SNSに投稿するお料理の写真が何度もバズり、

 雑誌『dancyu』の中華特集号にも登場した酒徒さんが

 満を持して放つレシピブックです。

 

「すごいィのはァ、ここッ!」

「ぐるるぅるるる!」(←訳:驚いちゃうんだ!)

  

 酒徒さんいわく。

 

    鶏ガラ、

    オイスターソース、

    豆板醤。

    中華料理ではお馴染みの、

    いえ、必須と言える調味料は、いりません。

 

    紹興酒?

    日本酒で代用できます。

    蒸篭(せいろ)や中華鍋も、なくても大丈夫!

 

 ……って、ホントに?!?

 

「びッくりしたけどォ~」

「がるぐるる!」(←訳:アリかもね!)

 

 御本の冒頭では、

 少年時代からの中国料理への憧れ、

 学生時代に初めて中国に旅行して水餃子に感激したこと、

 以後、食探求のため中国各地を巡り、

 2度の留学をして、

 さらには社会人となって中国駐在員となって……

 という、

 酒徒さんの“いま“に至る経緯が

 コミックの形式で紹介されています。

 

 毎日夢中で中華料理を食べて、

 食べたら調べて、

 ノートに記録して、

 異なる食文化にどっぷり浸かる。

 

 そうして、

 本当に旨い中国料理を考えたとき、

 行き着いたのは、家庭の食――

 民宿のおばあちゃんが振る舞ってくれた

 飾り気がなくて、

 味付けもシンプルな

 《家中華》。

 

「あッさりしていてェ~」

「ぐるるがっるる!」(←訳:野菜がたっぷり!)

 

 韮菜炒薄荷(ニラとミントの炒めもの)。

 白切鶏(茹で鶏)。

 干貝豆腐湯(干し貝柱と豆腐のスープ)。

 葱油蚕豆(空豆の葱油炒め)……

 

 書籍版『家中華』本文には、

 78のレシピが掲載されていますが、

 応援書店さん(有隣堂さん、くまざわ書店さん他)で購入すると、

 ↓こちらの『応援書店限定特典 小冊子』をいただけるようです。

  

「こッちのもォ、おいしそうゥ~!」

「がるぐるるがっる!」(←訳:特別レシピだって!)

 

 ありそうでなかった、

 《家中華》の新風から感じられるのは、

 日本の中華料理を大きく変え得る可能性?

 

 2023年後半刊行のレシピ本ジャンルでは

 大ヒット作品になりそうな快作です。

 酒徒さんによるコラムや美食地図など、

 読み物としてもとても面白いので、

 全活字マニアの皆さま、

 ぜひ、チェックしてみてくださいね~♪

 

 

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~ ミセス・ハリス、決断す。 ~

2023-11-28 22:08:08 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むッ? いちごォ、はッけんでスゥ~!」

「がるる!ぐるるがるーる!」(←訳:虎です!果実も冬モード!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 スーパーマーケットの果物売場では、

 真っ赤なイチゴが目立つようになりました。

 梨やブドウとはもうお別れなのね~と季節を惜しみつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― ミセス・ハリス、ニューヨークへ行く ――

 

 

 著者はポール・ギャリコさん、

 原著は1958年に、日本語版は1980年に講談社版が刊行、

 画像の角川文庫版は2023年4月に発行されました。

 英語原題は『MRS HARRIS GOES TO NEW YORK』、

 『ミセス・ハリス パリへ行く』に続くシリーズ第2作です。

 

 2022年、映画化されて話題になった

 『ミセス・ハリス、パリへ行く』は、

 クリスチャン・ディオール氏のドレスに恋をしたミセス・ハリスが、

 パリのディオールのメゾンへ突撃しちゃう

 愉快&爽快な物語でした。

 

 ロンドンに戻ってきたハリスさん、

 以前と同じに家政婦のお仕事を頑張っておりましたが……。

 

「あうううゥ! またァきこえるのでスよゥ!」

「ぐるるるるるる!」(←訳:止めさせないと!)

 

 目下、ハリスさんと

 親友のバターフィルドさんを悩ませているのは、

 怖ろしい物音です。

 

 ハリスさんが住むアパートの一室、

 そのお隣りの、ガゼット家から響くのは、

 ドスンという音と、

 痛そうに泣きじゃくる子どもの泣き声。

 

 子どもの泣き声が何を意味するのか、

 長いこと家政婦のお仕事をしている二人には、

 もちろん分かっています。

 

 ヘンリー・ブラウン少年は、

 両親が離婚したため、

 ガゼット家の里子となりました。

 ヘンリー少年のための養育費が

 米国の父親から送られてきた間は良かったけれど、

 そのお金が届かなくなると、

 里親たちの態度は一変……!

 

「むぐぐゥ! ひどいィ~でス!」

「がるぐるるるがるるる!」(←訳:通報できたらいいのに!)

 

 狡猾なガゼット家は、

 虐待の証拠をつかませません。

 

 ハリスさんたちは歯噛みしながら、

 なんとかヘンリー少年を救い出す方法はないかと

 頭をひねっていたところ――

 

 天啓が、新聞紙に!

 

「えェ~とォ、どれどれッ?」

「ぐるるがるる!」(←訳:社交界消息欄?)

 

 家政婦のお仕事中、

 ハリスさんが手にした新聞に載っていたのは、

 米国人ジョージ・ブラウン氏の結婚記事。

 

 これは、これはもしや

 ヘンリー少年の父親では……!

 

「ぱぱッ?」

「がるぐるるー!」(←訳:パパですかー!)

 

 少年を救う手段は米国にある、

 とハリスさんは察するものの。

 

 大西洋を渡って見知らぬ国へ行くのは、

 正直にいうと、怖い。

 パリへ行った時と違って、自信がない。

 

 それでも、やっぱり、

 じっとしていられないのが“ハリスおばさん”です。

 

「いざッ、みなとへッ!」

「ぐるるる!」(←訳:新大陸へ!)

 

 海の彼方の国に、

 ヘンリー少年の幸福は見つかるのか。

 そのために、ハリスさんはどう手を尽くすのか。

 

 ディオールのドレスからつながる

 ハリスさんの冒険第2弾を、

 皆さま、ぜひ~♪

 

 

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~ 今夜も猫たちは ~

2023-11-27 22:08:08 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ぷふふッ! ひでたださんがァ~おもしろいィ~!」

「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!斬新かもね!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 大河ドラマ『どうする家康』第44回は、

 徳川秀忠さんの造型に感心いたしましたよ。

 多くの小説や映像作品で冴えない二代目と揶揄されてきた彼を、

 平凡がいいのさ!と肯定的に描くとは……!

 なるほどなぁ、と頷きながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

            ―― 夜廻り猫 10 ――

 

 

 著者は深谷かほる(ふかや・かほる)さん、

 2023年11月に発行されました。

 今年はアニメ化されてNHKで放送されちゃったりして♫

 ますます好調のシリーズ第10巻です。

 

「どォ~んとォ、きましたでスゥ!」

「ぐるるるがるるる!」(←訳:重量級のアイツが!)

 

 この第10巻では、

 御本の巻頭にはカラーページの短編が、

 そして本文のモノクロページには

 8コマを基本とする作品が収録されていますが。

 

 本文冒頭の、第808話~第815話『お兄さんと犬と猫』が

 連作スタイルになっていて、

 インパクト大!です。

 

 主人公のはずの《夜廻り猫》こと遠藤平蔵さんも

 ぐいぐい脇に押しのけてしまう、

 愛嬌たっぷりでパワフルな乱入者さんは、あら、まあ、

 

 セント・バーナード犬?

 

「わんこッ??」

「がぅるるるぐるがるるるぐる?」(←訳:ニャンコの本でワンコが主役?)

 

 アパートで一人暮らしをする青年・アオイくんは、

 “犬に好かれる体質“の持ち主です。

 

 子どもの頃のこと、

 公園や道端で犬に出くわすと、

 なぜか、あとをついてくる……

 尻尾をフリフリしながら、ついてくる……

 窓の外で、僕を待ってオスワリしている……。

 

 ワンコと引き合う、

 そんな特異体質が、一人暮らしを始めた今も

 いかんなく発揮されました。

 

 ええ、見つけてしまったのです。

 段ボール箱に入れられ、

 捨てられていた仔犬を。

 

「わほッ♪ むくむくゥ~!」

「ぐるがるるる~」(←訳:よく寝てるね~)

 

 犬。飼いたいんだ、本当は。

 親に禁止されて、でも本当は飼いたかった。

 いまだって、アパートがペット禁止じゃなかったら……

 

 いや、大家さんに頼んでみようか。

 俺が飼うことはムリだとしても、

 飼ってくれるひとを見つけるまで

 一時的に預かることを、なんとか許してくださいと。

 

「おにいさんッ、えらいィ!」

「がるっるるぐるる!」(←訳:良かったねワンコ!)

 

 ここまではね、良かった、んですけどね。

 病院でワンコを診てもらったら、

 お医者さんは言ったんです。

 

 セント・バーナードだね。

 大きくなるよ。

 

「……なりまスねェ~」

「ぐるるる~」(←訳:なるよね~)

 

 アオイくん、慌てて調べ、知りました。

 セント・バーナード犬の成犬は、体重80キロを超えること。

 散歩は朝晩、1時間以上すること。

 大型のケージやベッドが必要で、飼育費は月に4.5万円。

 そして……

 寿命は、8年から10年。

 

   8年! 短すぎやしないか!

   ……探す!

   こいつの安住地、すごくいいとこを!

 

 と、新たに決意を固めるアオイくんですが、

 ネットで里親さんを募集しても、

 反応は無く。

 

 はたして、

 ワンコを散歩させながら、

 夜道を行くアオイくんの選択は――

 

「むむむゥ、むずかしィ~…!」

「がるるぅ~!」(←訳:悩むよぅ~!)

 

 そっと涙を流すすべてのひとに、生きものに、

 あたたかく寄り添う《夜廻り猫》平蔵さんと

 小猫の十郎くん。

 

 彼らが見守る“ワンコとヒトの物語”は、

 いったい何処へ流れ着くのか。

 涙も笑いもたっぷり染み込んだ一冊を、

 皆さま、ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ 走るひと ~

2023-11-26 22:08:50 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まふゆにィ~なッちゃッたでス!」

「がるる!ぐるがるぐる!」(←訳:虎です!除雪列車起動!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 日本では全国的な寒さでブルブル震えているのに、

 南半球からは気温40℃超えのニュースも……!

 安穏な秋の気候を懐かしく思いながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 脱走王と呼ばれた男 ――

 

 

 著者はディヴィッド・M・ガスさん、

 日本語版は2019年3月に発行されました。

 英語原題は『THE 21 ESCAPES OF LT ALASTAIR CRAM』、

 『第二次世界大戦中21回脱走した捕虜の半生』と日本語副題が付されています。

 

「……しらいしィ?」

「ぐる~!」(←訳:白石~!)

 

 ええ、私ネーさも連想してしまいましたよ。

 脱獄王・白石!

 映画公開も予定されている『ゴールデンカムイ』のトリックスター、

 脱獄王こと白石由竹さんを。

 

 けれど、

 こちらは脱獄王ではなくて、脱走王さんです。

 そして、何から脱走したかといえば……

 

「ほりょォしゅうようじょッ?」

「がるるるぐる!」(←訳:鉄条網の牢獄!)

 

 時代は、1941年――

 スコットランド生まれの

 アレスター・クラム中尉は、

 英国陸軍砲兵連隊に所属する将校として

 第二次世界大戦に出征していました。

 

 英国軍が向かったのは、北アフリカ戦線。

 欧州列強国の戦争の、最前線に投入されたクラムさんは

 激闘の末に負傷して

 ドイツ・アフリカ軍団に捕らえられます。

 

 そして、身柄をイタリアへ送られる途中で。

 

 クラムさん、2度ほど逃亡を試みました。

 

「すッ、すばやいィ~!」

「ぐるっるがるぐる??」(←訳:捕まってすぐ脱走??)

 

 なぜ、脱走するのか。

 

 その答えは、

 収容所の塀の中に閉じ込められているのが不満だから、

 ではなく、

 敵軍のヤツらが気に食わないから、

 でもなく。

 

 将校にとって、

 脱走は軍人としての義務だから。

 

「ぎむゥ……!」

「がるるる???」(←訳:そうなの???)

 

 私たち日本人には馴染みの薄い考え方ですが、

 西洋人・クラムさんの思考は、↓こんな具合でしょうか。

 

   捕虜となって、

   どれほど肉体的、精神的ダメージをこうむっていようとも。

   このままでいいのか? 負け犬のままで?

   いいや、御免だ!

   すべてを取り戻してやろうじゃないか。

   《脱走》という、

   残された最後の手段を使って。

 

 故国スコットランドでのお仕事は、弁護士。

 が、実はクラムさん、幼い頃から登山に夢中で、

 エヴェレスト遠征隊に加わることを目標にしていたほどの、

 登山家さんだったのです。

 

 クラムさんにとって《脱走》は、

 いわば、登山のようなもの?

 山岳登攀の技術を応用した、ごく自然&当然の行動?

 

「ふわわァ~…やまのぼりィでスかァ~?」

「ぐるぅがるぐるるるがるるる!」(←訳:そりゃ塀を越えたくなるよね!)

 

 トンネルを掘って。

 綱渡りをして。

 列車から飛び下りて。

 病気と偽って。

 仲間と一緒に、

 或いは独りで、

 “外“を目指して。

 

 イタリア、ドイツの収容所を、

 脱走して捕まっては、またも脱走し、

 心身を擦り減らす日々のはて、

 やがて迎えたのは、

 “もう脱走しなくてもいい日々”。

 

「せんそうゥ、おわりましたでス!」

「がるぐるるるがる!」(←訳:でもこれからが大変!)

 

 著者・ガスさんは、クラムさんが遺したメモをもとに、

 クラムさんの戦時下と戦後を辿ってゆきます。

 巻末の『謝辞』では、

 クラムさんと行動をともにした

 捕虜さんたちの“その後”にも触れてあって、

 戦争とは何なのか、あらためて考えざるを得ません。

 

 塀の外へ、外へと走り続けた

 ひとりの将校さんの記録を、

 ノンフィクション好きな活字マニアさんは

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 光と時刻の、千の顔 ~

2023-11-25 22:08:10 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さむゥ~いィしゅうまつゥ、なのでス!」

「がるる!ぐるるぅ~!」(←訳:虎です!凍えるぅ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 連日の寒暖差に疲労困憊ですが、

 さあ、温かい飲み物など片手に、

 本日は読書……をサボって、こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  

 

 

              ―― モネ ――

 

 

 東京・上野の上野の森美術館にて、

 会期は2023年10月20日~2024年1月28日

 (2023年12月31日と2024年1月1日は休館)、

 『Claude Monet : Journey to Series Paintings』と英語題名が、

 『連作の情景』と日本語副題が付されています。

 

「ぜェ~んぶゥ、もねさんッ!」

「ぐるる~がる!」(←訳:いいね~それ!)

  

 印象派を代表する画家さん、

 いえ、印象派の代名詞とも言える

 画家・クロード・モネさん(1840~1926)。

 

 この展覧会では、

 国内外の美術館が所蔵する

 モネさんの代表作60点以上が展示されていますよ。

 

「ちゅうもくはァ、れんさくゥ~なのでスゥ!」

「がるるぐるる!」(←訳:違いが際立つ!)

  

 同じ場所、同じ建物を、

 季節や時刻を変えて、幾度となく描く――

 モネさんがこだわった《連作》の成果が、

 展覧会の主題となっています。

 

 スイレンの、積み藁の、ジヴェルニーの庭の、

 同じだけれど、違う貌(かお)。

 モネさんのファンの方々は、

 ぜひその違いを間近で、じっくり堪能してくださいね♪

 

 なお、この後、展覧会は大阪へ巡回します

 (中之島美術館にて、2024年2/10~5/6)。

 東京と大阪では展示作品が一部異なる予定、とのことです。

 詳細については公式HPでご確認くださいな。

 

 

 

    では、ここで美味しいオマケ画像も、ポーンと。

   

   『亀田製菓』さんの

   《白い風船》は……たぶん秋冬の風物詩ですね。

   原料がお米ですから、えーと、煎餅かな? 餅菓子の一種なのかな?

   「ぽふぽふッ!」

   「ぐるるる!」(←訳:サクサク!)

   ロングセラーお菓子をパフっ!とかじりながら、

   皆さま、どうか穏やかな休日を♪

   

   

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~ ここが詩人の踏ん張りどころ! ~

2023-11-24 22:08:20 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 あわわゥ! あれもォ~これもォ~♫」

「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!SALE価格だ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 いよいよBLACK FRIDAY本番!ですね。

 掘出し物はあるかな~とネットの海をさまよいながらも、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの海外作品を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― 最後の三角形 ――

 

 

 著者はジェフリー・フォードさん、2023年8月に発行されました。

 英語原題は『THE LAST TRIANGLE』、

 『ジェフリー・フォード短篇傑作選』と日本語副題が付されています。

 

 著者のアメリカ人作家ジェフリー・フォードさんは、

 世界幻想文学大賞に7回、シャーリー・ジャクスン賞に4回、

 ネビュラ賞、MWA賞、と輝かしい受賞歴をお持ちの

 現代幻想文学のマエストロさんです。

 

 日本で独自に編まれたこの御本では、

 フォードさんの作品の中から、

 SF、ホラー、ミステリなど、

 14の短編1品が選出&収録されていますよ。

 

「ふしぎでェ~こわいィ~!」

「ぐるる~がるるる!」(←訳:怖くて~ヘンテコ!)

 

 表題作品『最後の三角形』をはじめ、

 シュールでミステリアスで、

 けれど何処かコミカルな、

 フォードさんの作品世界。

 

 いずれもなかなかのヘンテコっぷりが愉しい14篇のうち、

 今回ご紹介いたしますのは――

 

  『恐怖譚』。

 

 原題は『A Terror』、

 2013年に発表されたこの作品の主人公は、

 エミリー・ディキンスンさんです。

 

「じだいはァ~…」

「がるるるる!」(←訳:1861年!)

 

 日本ではあまりメジャーではありませんが、

 優れた詩人として米国で高く評価されている

 エミリー・ディキンスンさん(1830~1886)。

 

 マサチューセッツ州アマーストの自宅で暮らすエミリーさん、

 このところ、体調がひどく悪くて苦しんでいました。

 身体がだるい……手足が重い……頭痛がして……

 呼吸が……気持ちも落ち込んで……うう、つらい。

 

 が、眠りからふと目覚めると。

 不調が失せて、手足が軽い!

 気持ちも軽くなったエミリーさんは、

 具合が良くなったことを家族に報せようと、

 部屋を出て――

 

 あれ?

 

「むむむッ、いないィ~?」

「ぐるがるるる?」(←訳:誰もいないよ!)

 

 家の中に、誰もいない。

 愛犬のカーロも、いない。

 いえ、家の中だけじゃなく。

 外にも、生きものの気配はない……?

 

 その静けさを破り、

 当惑するエミリーさんの前に現れたのは、

 黒塗りの優美な四輪箱馬車と、

 非の打ち所がない服装の若い紳士でした。

 

「どッ、どなたァでスかッ」

「がががるるるるっ」(←訳:もももしかしてっ)

 

 問答の末、エミリーさんは理解します。

 

 死神が、わたしを迎えに来た……。

 

 体調が悪かったのは、ああ、そういうことだったのか。

 そうか、なら、ならば、仕方ない……

 仕方ない……けど、けれど……

 

   わたし、まだ三十一歳なのよ。

   仕上げの必要な詩が何十篇も、

   ドレッサーの引出しで、

   わたしを待ってるわ。

 

「うんうんうんッ、そうだよゥ!」

「ぐっるがっるるっる!」(←訳:もっと言ってやって!)

 

 この事態を覆す妙手は、ないものか。

 粘るエミリーさんに

 死神紳士は答えます。

 

   取引は得意かな、ミス・ディキンスン?

 

 こうして、詩人エミリー・ ディキンスンさんと死神の、

 生命を賭した”取引“が始まりました。

 

「きけんなァとりひきィ……!」

「がるるぐるるるぅ??」(←訳:上手く行くかなぁ??)

 

 エミリーさんの生命の灯はここで消えるのか、

 それとも?

 

 全力で応援したくなる

 エミリーさんの『恐怖譚』ならぬ冒険譚は、

 英米文学好きな活字マニアさんにおすすめです。

 巻末の『翻訳者あとがき』も併せて、

 ぜひ、じ~っくりと味わってみてくださいね~♪

 

 

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~ 鎌倉、樹影のアプローチ ~

2023-11-23 22:08:38 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 かんしゃのォ、しゅくじつゥ~でスよゥ!」

「がるる!ぐるるがるるるる~!」(←訳:虎です!いつもありがとう~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日11月23日は《勤労感謝の日》!

 家族に、ちょっぴり自分に、そして

 日本&世界中のエッセンシャルワーカーさんに感謝を送りつつ、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 鎌倉の名建築をめぐる旅 ――

 

 

 著者は内田青蔵(うちだ・せいぞう)さん、

 中島京子(なかじま・きょうこ)さん、2023年10月に発行されました。

 前回記事でご紹介した『日本美術・この一点への旅』は

 “美術館を訪ねる旅の本”でしたが、

 こちらは古都・鎌倉の“名建築を訪ねる旅の本”です。

 

「むかしからァ~だいにんきィ!」

「ぐるがるぐるるるがる!」(←訳:森に海に富士山の絶景!)

 

 将軍・頼朝さんが拓き築いた都市・鎌倉。

 その地理的魅力にいち早く気付いたのは、

 明治初期に来日したドイツ人医師ベルツさん、でしょうか。

 

 温暖な気候、海水浴ができる海岸、

 避暑・避寒のための保養地にぴったりだ!

 

「そこでェ、とんてんかんッ!」

「がるるぐるるる!」(←訳:響くは木槌の音!)

 

 こうして、明治政府の要人さんや大財閥の主さんの別荘が

 鎌倉周辺に陸続と建設されてゆきました。

 ただ残念なことに、

 多くの別荘は関東大震災の際に被災し、

 ほとんど現存していない、といいます。

 

 いや、それでも。

 

 今も美しい外観のまま、

 緑に囲まれてひっそりと、

 静かに佇む洋館、和館、庵がある――

 

 そういった鎌倉の名建築32軒を、

 著者・内田さんはめぐります。

 

「まどがァ、すてきィでスゥ!」

「ぐるがるるぐるるる!」(←訳:海が見える大きな窓!)

 

 《鎌倉の3大洋館》とされるのは、

 『鎌倉文学館(旧加賀前田家別邸)』(1936)、

 『旧華頂宮邸』(1929)、

 『古我邸 邸宅レストラン(旧荘清次郎別邸)』(1916)。

 

 この御本では、

 3館とも丁寧に取材されていて、

 かつては容易に相模湾の海原が、

 富士山の白い峯も望めたであろう大きな窓が

 とても印象に残ります。

 

「でもォ~しんぱいィでス!」

「がるぐるるる……」(←訳:ここ寒そうだ……)

 

 『鎌倉文学館』『古我邸』と違って、

 『旧華頂宮邸』が一般公開されるのは春と秋の年に2回のみ。

 そのせいか、屋内にはどことなく、

 元気がない、ような空気が。

 

 同じく、少々しょんぼりしているように見えるのは、

 F・L・ライトさんの弟子・遠藤新さんが設計した

 葉山の『加地邸』(1928)で、

 これがまあ!

 

 玄関へのアプローチ、石材の使われ方、

 アールデコ風の照明も内装も、

 なんてステキ! 

 さすがはライトさんの高弟とされる遠藤さんの作品だわ!

 と拍手喝采してしまうほどの傑作なんですけど、

 一般の見学は受け付けていない、と……。

 

 建築を完成し維持させるのは、

 やはり、ヒトが行き来し、住まうこと、なのか。

 ヒトが発する熱がないと、

 “家“は冬眠してしまうのか……。

 

「げんきなァおうちもォ、ありまァ~ス!」

「ぐるるがる!」(←訳:現役は強し!)

 

 鎌倉駅すぐ近くの『ホテルニューカマクラ』(1924)、

 若宮大路の『湯浅物産店』(1936)、

 江ノ島駅近くの『星野写真館』(1927)は、

 元気に活動中の建築です。

 壁が呼吸していて、

 窓から射し込む日光は暖色で、

 可愛いらしさが漂いますね。

 

「いきいきィ!」

「がっるるるるぅ~」(←訳:あったかいなぁ~)

 

 森の香と、波の響き。

 鎌倉の人びとに慕われる名建築たち。

 

 中島京子さんのコラム、

 中島さんと内田さんの対談も楽しい一冊は、

 鎌倉散策ガイドとしても活用できますよ。

 特に、F・L・ライトさんのファンの方々は

 必読ですので、ぜひ~♪

 

 

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~ “この一点“と、日本美術 ~

2023-11-22 22:08:55 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 かくちでェ、よせんッしんこうゥちゅうゥ!」

「がるる!ぐるるるがるるるる!」(←訳:虎です!生き残れJAPAN!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 日本代表は見事2連勝!となりましたが、

 2026W杯予選が世界各地で催行されています。

 出場枠が増えたことで、はたして、どんな波乱が……?

 JAPANチームにエールを送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 日本美術・この一点への旅 ――

 

 

 著者は山下裕二(やました・ゆうじ)さん、

 2023年9月に発行されました。

 アート好きさんなら誰もが夢見る

 《“この一点“を目指す旅》のための美術館ガイドブックです。

 

「あのォさくひんをォ、みにィゆこうゥ!」

「ぐるがるるぐるがるる!」(←訳:距離なんて関係ないさ!)

 

 大好きな作家さんの、油彩画、水彩画、水墨画、日本画、

 版画や素描、あるいは彫刻、宝飾品、

 いえもう、どんなジャンルであろうと一向にかまいません。

 

 我が最愛の作品を、この眼で観るべく、

 旅に出ましょう。

 

「まずはァ、ほッかいどうゥ~!」

「がるぐる!」(←訳:東北もね!)

 

 本文は、

 AREA1『北海道・東北』

 AREA2『関東』

 AREA3『中部』

 AREA4『近畿』

 AREA5『中国・四国』

 AREA6『九州・沖縄』

 と6つのエリアに分けて、

 計62施設の美術館・博物館が紹介され、

 山下さんが推す“この一点“が解説されています。

 

 北海道編のいっちばん最初に挙げられているのが、

 三岸好太郎さんの『飛ぶ蝶』(1934)

 (北海道立三岸好太郎美術館所蔵)

 っていうのは、嬉しいですね♫

 私ネーさ、大好きなんですよ、この作品!

 

「にゃんこォまにあさんにはァ~…」

「ぐる!」(←訳:これ!)

 

 長谷川潾二さんの『猫』(1966)

 (宮城県美術館所蔵)、

 猫好きさんにとっての聖画ですね。

 

 ワンコ好きさんがにっこりするのは、

 長澤芦雪さんの『狗児図』(1789~1801頃)

 (本間美術館所蔵)。

 

 モダンな日本画がいい!という御方には、

 山口晃さんの『深山寺参詣圖』(1994)

 (群馬県立館林美術館所蔵)。

 

 一気に富山県に飛んで、

 篁牛人(たかむら・ぎゅうじん)さんの『天台山』(1969)

 (富山市篁牛人記念美術館所蔵)。

 

 近畿圏なら、

 京都国立博物館の

 本阿弥光悦さん×俵屋宗達さんのコラボ作品(17世紀)、

 平等院ミュージアム鳳翔館の

 『雲中供養菩薩像』(1053)

 は外せませんし、

 さらに南へ飛んで、

 日本画家・田中一村さんの作品を所蔵する

 奄美の田中一村記念美術館にも

 うっとり……。

 

「どれもォ~れきしてきィめいさくゥ!」

「がるるるるぐるるるる!」(←訳:美術史上のたからもの!)

 

 幾多の名作に劣らず、

 私たちの胸を打つのは、

 御本冒頭の『はじめに』で山下さんが語る

 赤瀬川原平さんとの思い出です。

 

 当初、『この一点を見る旅』は

 赤瀬川さんと山下裕二さんが対談する雑誌連載の企画から始まって、

 やっぱりホンモノを一緒に見なきゃ、と

 実際に旅に出ることになったのでした。

 

 けれども、

 旅の大切なパートナー・赤瀬川さんは、

 2014年に彼岸へと旅立ってしまわれました。

 

「いまもォ、こいしいィ~」

「ぐるるがるぐる!」(←訳:二人の美術行脚!)

 

 愛してやまない、“この一点“。

 列車に乗って、飛行機に乗って、

 “この一点“に会うために、歩いてゆけば。

 

 ページのそこここに

 日本美術をこよなく愛する山下さんと

 赤瀬川さんの優しい笑顔がふっと浮かぶような、

 美の旅のガイドブックです。

 アート好きさんも、旅好きな方々も、

 どうかぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ カレーライスを友として ~

2023-11-21 22:08:15 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 いまがァ、ちょうどォいいィいろあいィ~?」

「がるる!ぐるるるるぅ~!」(←訳:虎です!赤も黄色も!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 多摩エリアの紅葉は、程良く色付いていて、

 今週が見頃でしょうか(週末は寒波が?)。

 濃い紅色に染まったサクラの街路樹を見上げながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― カレーライスと餃子ライス ――

 

 

 著者は片岡義男(かたおか・よしお)さん、

 2023年9月に発行されました。

 

 『スローなブギにしてくれ』『ロンサム・カウボーイ』他、

 人気作品多数の作家・片岡さんは、

 ベストセラーとなったエッセイ『珈琲が呼ぶ』をはじめ、

 『豆大福と珈琲』『僕は珈琲』など

 飲食をテーマとする作品も大好評となっています。

 

 今回、新たに片岡さんが選んだ“食“は、

 カレーライス!

 &

 餃子ライス!

 

 ……って、え? カレー? 餃子??

 

「わほほゥ! ぜんこくてきにィ~だいにんきィ!」

「ぐるるがるる~!」(←訳:国民食だよね~!)

 

 片岡さんの短編小説集『くわえ煙草とカレーライス』は

 フィクション作品でした。

 

 エッセイであるこの御本では、

 カレーライスを食べるために

 片岡さん御自身がアクションを起こします。

 

 僕が子どもだった頃に食べた、

 母親が作ってくれたカレーライス。

 

 原点とも言える“母の一皿“を

 記憶の底から掘り起こして、

 あちこちのお店のカレーライスと比べてみれば。

 

「せんもんてんッ、じゃないィんでス!」

「がるるるぐるーるるる!」(←訳:喫茶店のカレーライス!)

 

 上着のポケットにそっと忍ばせたのは、

 欅(ケヤキ)のスプーン。

 

 木製のスプーンでカレーライスを食べたい、

 と思い立った片岡さんが探し当てた

 “実に美しい姿態のスプーン“です。

 

 この欅のスプーンをデビューさせるために、

 新幹線に乗って、京都へ……!

 

「きょうとォ??」

「ぐるるるがっるるる!」(←訳:大ごとになってきた!)

 

 喫茶店で、珈琲とともにいただくカレーライス。

 ええ、専門店のカレーではありませんが、

 どのお店のカレーライスもなかなかの力作です。

 

 で、カレーライスで満腹になった後は、

 餃子ライスが待っている、と。

 

「くッ、くるしィ~…」

「がるぐるるぅ~…」(←訳:もうダメだぁ~…)

 

 本文は、

 1『カレーライスは漂流する』

 2『餃子ライスはひとりで食べる夕食の幸せ』

 とふたつのパートに分かれていますが、

 全体にエッセイとフィクションが混在しているかのようで、

 私たち読み手は著者・片岡さんに振り回されます。

 

 《記憶に残るカレーライス》を、

 探して、食べて、また探して、また食べて……?

 

「きょうもォ、ちゅうもんするのはァ~」

「ぐるーるるる!」(←訳:カレーライス!)

 

 冒頭に収録された

 『母親の黄色いカレーライス』と、

 本文後半部分の

 『餃子ライスはひとりで食べる夕食の幸せ』は

 書き下ろし作品です。

 片岡さんのファンの方々は読み逃さないでくださいね。

 特におすすめしたいのが、

 『母親の黄色いカレーライス』!

 皆さま、ぜひ~♪

 

 

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